この記事は、これから総合型選抜や学校推薦型選抜を考える高1・高2の生徒と保護者に向けて、文部科学省が2026年5月に出した「令和9年度大学入学者選抜実施要項」で年内入試の何が変わったのかを整理したものです。今まさに受験している高3の人にも関わる話なので、最後に今年の受験生向けの一言も入れています。
いちばん大きな変更は「年内入試で面接が必須に」なったことですが、通知を読むと、面接のほかに「学力をどう確かめるか」についての考え方も示されています。ここでは文科省の通知と実施要項、その後に出たQ&Aを読んで確認できたことだけを書きます。
まず押さえたい「年度」の数え方
文科省の資料は「令和9年度大学入学者選抜」のように、入学する年度で書かれています。試験そのものはその前の年に行われるので、少しややこしくなります。
| 資料上の呼び方 | 受ける人(2026年11月時点の学年) |
|---|---|
| 令和9年度入試(2027年4月入学) | いまの高3 |
| 令和10年度入試(2028年4月入学) | いまの高2 |
| 令和11年度入試(2029年4月入学) | いまの高1 |
このあと出てくる「遅くとも令和11年度までに」という期限は、いまの高1が受ける入試のことです。
今回の通知で変わったこと
文部科学省は令和8年5月27日付けの高等教育局長通知(8文科高第318号)で、令和9年度の大学入学者選抜実施要項を各大学や教育委員会に示しました。通知と実施要項のうち、年内入試に直接関わる点を二つ取り上げます。
1. 面接による評価を必ず行う
総合型選抜と学校推薦型選抜では、面接による評価を必ず行うことになりました。総合型選抜については、実施要項に「志望する学問分野に対する意欲や適性等に係る面接」による評価を含めることが書かれています。
面接はオンラインで行ってもよいとされています。ただし、2026年9月2日に更新された文科省のQ&Aでは、評価する人が直接評価すること、受験者がその場で双方向にやりとりすることなどが求められ、AIによる面接やペーパーインタビュー(書面での質問への回答)で面接の代わりにすることはできないとされています。
また同じQ&Aでは、教科・科目の個別テストを行うかどうか、いつ行うかにかかわらず、面接による評価が必要だと説明されています。つまり「学力試験型だから面接はない」という形は、原則として認められない方向です。
例外として、学校推薦型選抜のうち、高校と大学が緊密に連携した非公募型(いわゆる指定校推薦などの形)で、合格したら入学することを確約して受けるものは、大学の実情に応じて面接をするかどうかを判断できるとされています。
2. 学力の確かめ方と、学力試験への偏り
もう一つは、学力をどう把握するかです。通知の背景説明では、2月1日より前に行う個別テストの配点割合が著しく高いなど、学力検査の成績に大きく偏った合否判定が一部の大学で見られたことが挙げられています。
実施要項では、総合型選抜・学校推薦型選抜とも、出願書類だけで判定せず、次の四つのうち少なくとも一つを必ず使い、その旨を募集要項に書くことになっています。
- 教科・科目に係る個別テスト
- 大学入学共通テスト
- 小論文、面接、実技検査、口頭試問、プレゼンテーションなど
- 英語の資格・検定試験などの成績
このうち教科・科目のテストを使う場合は、高校段階での基礎的な学習の成果を問うものとし、他の評価方法とバランスの取れた配分で判定に使うこととされています。Q&Aでは、その成績が評価・判定の大部分を占めないようにすると説明されています。
小論文や面接についても、教科の知識を確認するだけのものに偏らないよう留意することが書かれています。学力テストだけで決まる入試にも、書類と面接だけで決まる入試にも寄せすぎない、というのが実施要項の考え方です。
いつから適用されるのか
新しいルールは令和9年度入試、つまりいまの高3が受けている入試から適用されます。
ただし実施要項には経過措置があり、令和8年度にすでに実施していた選抜区分のうち、令和9年度から面接を入れるのが難しいものは、遅くとも令和11年度入試までに面接を導入するとされています。言いかえると、前からある方式は最長で2年間の猶予があり、新しく作る方式は最初から面接が必要になります。
そのため、2027年度入試の時点では大学によって対応が分かれています。たとえば、立正大学の総合型選抜 基礎学力テスト型は、選考方法に調査書・入学希望理由書・基礎学力テスト・面接が並んでいます。東洋大学で2027年4月に開設予定の環境イノベーション学部の学校推薦型入試(小論文型)などでは、面接に「環境」に関する基礎知識を問う口頭試問が含まれると案内されています。一方で、大東文化大学の総合型選抜 基礎学力テスト型は、受験生サイトの「最新入試TOPICS 2027」で、試験当日は基礎学力テストのみで面接なしと案内されています。
同じ「基礎学力テスト型」という名前でも、面接の有無はこのように分かれています。高1・高2の人が志望校を見るときは、今年の要項に面接がないからといって、自分が受ける年もないとは限らないと考えておくのが安全です。
指定校推薦の面接はどうなるのか
先ほどの例外は、入学を確約する非公募型の学校推薦型選抜が対象です。指定校推薦を考えている人は「それなら面接はなくなるのか」と思うかもしれませんが、例外は大学が面接をしなくてもよいと判断できるという意味で、面接をしないと決まったわけではありません。これまで面接をしていた大学が引き続き行うことも十分ありえます。指定校推薦についての考え方は指定校推薦は取るべきかも参考にしてください。
出願と合格発表の時期のルール
年内入試の日程の枠組みは、令和9年度の実施要項で次のように定められています。
| 方式 | 出願と合格発表の時期 |
|---|---|
| 総合型選抜 | 出願受付は2026年9月1日以降、判定結果の発表は11月1日以降 |
| 学校推薦型選抜 | 出願受付は2026年11月1日以降、判定結果の発表は12月1日以降で、一般選抜の試験期日の10日前まで |
どちらの方式でも、高校教育への影響や受験者の負担に配慮することを条件に、教科・科目の個別テストを2月1日より前に行うことができるとされています。また文科省のQ&Aでは、学校推薦型選抜の募集人員は学部などの募集単位ごとに入学定員の5割を超えないこととされ、総合型選抜には募集人員の制約がないと説明されています。
書類と推薦書の扱いも確認しておく
面接の話題が目立ちますが、総合型選抜では、活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書など志願者本人が書いた資料を必ず評価に使うことも実施要項に書かれています。志望理由書は「出しておけばよい書類」ではなく、面接と同じく評価の材料です。
学校推薦型選抜の推薦書には、学力の三要素に関わる評価の記載を求め、努力を要する点についても記載を求めることになっています。推薦書を書くのは高校の先生なので、日ごろの授業や提出物の様子がそのまま書類に表れると考えておいたほうがよいでしょう。推薦をお願いするときの相談の仕方は推薦の準備、学校の先生と塾にどう相談するでまとめています。
受験生にとって何が変わるのか
一番大きいのは、年内入試を受けるなら、ほぼどの方式でも面接の準備が必要になることです。これまで「テストの点だけで年内に決まる」と考えて選んでいた方式も、いまの高1の代までには面接が入っていく流れです。
面接で聞かれるのは、実施要項の言葉でいえば「志望する学問分野に対する意欲や適性」です。なぜその分野を学びたいのか、そのために高校で何をしてきたのか、大学で何を学ぶつもりなのかを、自分の言葉で答えられるかどうかが見られます。面接そのものの準備は面接対策を読んでください。
面接が必須になると、志望理由書と面接の答えがずれていないかも、これまで以上に見られやすくなります。書類に書いた活動について「そこから何を考えたか」「大学で何につなげたいか」を聞かれたとき、書類の文章をそのまま読み上げるのではなく、具体的な場面を挙げて説明できるかどうかで印象は大きく変わります。書類を書く段階から、面接で質問されたら話を広げられる内容を選んでおくと、準備が一度で済みます。
もう一つは、学力の見られ方です。基礎学力テストや共通テストを使う方式でも、それだけで合否が決まるのではなく、書類や面接と合わせて判定される方向になりました。逆に、書類と面接が中心の方式でも、実施要項の四つの方法(個別テスト、共通テスト、小論文・面接・口頭試問など、資格・検定試験)の少なくとも一つで学力を確かめることになっています。「勉強が苦手だから推薦で」という選び方は、ますます通りにくくなると考えておいてください。
学年別にいまからやること
高1(令和11年度入試を受ける学年)
経過措置が終わる年に受験するので、総合型・学校推薦型のほぼすべてで面接があると考えて準備します。この冬から春にかけては、次の三つを意識してください。
- 定期テストで評定を崩さないこと。学校推薦型の出願条件や推薦書の内容に直結します。
- 興味のある分野について、本を読んだり大学のオープンキャンパスの情報を見たりして、「なぜそれを学びたいか」を話せる材料を少しずつ集めること。
- 英検などの資格は、学力把握の方法として使われることがあるので、早めに受けておくこと。
学年ごとの流れは総合型の準備は高1から(学年別)にまとめています。
高2(令和10年度入試を受ける学年)
経過措置の途中の年なので、面接がまだない方式が残っている可能性はあります。ただ、志望校の方式がいつ変わるかは大学の発表を待つしかありません。面接がある前提で準備しておけば、なかったときに困ることはありません。
この12月から3月は、志望分野を一つに絞り込み、志望理由書の下書きを始めるのにちょうどよい時期です。2027年の春から夏には各大学が次の年度の入試の予告や要項を出し始めるので、志望校の公式サイトを定期的に確認する習慣をつけてください。具体的な進め方は高2の冬から始める推薦準備で紹介しています。
高3(いま受験している学年)
今年の学校推薦型選抜は11月1日以降に出願が始まり、合格発表は12月1日以降です。これから面接がある人は、自分が出した志望理由書を読み返し、書いたことを自分の言葉で言い直せるかを確認しておきましょう。オンライン面接の場合も、画面越しにその場で受け答えをする形なので、通信環境と話し方の練習を前日までに済ませておくと安心です。
年内入試と並行して一般選抜も考えている人は、大学入学共通テストの本試験が2027年1月16日・17日であることを手帳に書いておいてください。
参考にした公式情報
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項及び大学院入学者選抜実施要項等について(通知)」
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
- 文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項等に関するQ&A」
- 文部科学省「入学者選抜実施要項」
- 立正大学 入試情報サイト「総合型選抜」
- 東洋大学「2027年度入試情報」
- 大東文化大学 受験生サイト「最新入試TOPICS 2027」
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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