【川越の高校生へ】化学の理論化学と無機化学をどう固めるか 大学別の実測データで見る出題と対策の順番

この記事は、化学で点を伸ばしたいのに何から手をつけるか決まらない川越の高校生・既卒生と、その保護者に向けて書いています。取り上げるのは理論化学と無機化学です。理論は出題量がいちばん大きく、無機は後回しにされやすい。この2つの扱いを決めれば、化学の順番はほぼ決まります。

EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作していて、各大学の過去問冊子を年度別・大問別に読み込んだ分析データがあります。以下の数字はそこからの実測値です。化学全体の地図は化学の頻出単元と大学別対策にあります。

理論化学は化学のどれだけを占めるのか

分母つきの数字で確認します。分析した冊数や大問の数え方は大学ごとに違うので、大学をまたいだ比較はできません。同じ大学のなかで単元同士を比べる読み方をしてください。

  • 青山学院大学:化学9冊すべてで理論が出題(9/9)。同じ9冊で有機9/9、無機8/9、高分子3/9
  • 立教大学:6日程すべてで出題(6/6)。しかも毎回2題以上が理論
  • 中央大学:5冊すべてで出題(5冊中5冊)。小問集合まで含めると学部別選抜30題のうち21題が理論
  • 法政大学:A方式6冊すべてで出題(6冊中6冊)。毎回2〜3大問が理論
  • 慶應義塾大学:医学部9/9、理工学部9/9、看護医療学部9/9、薬学部12/15
  • 学習院大学:全9大問のうち理論が11ブロック(有機7、無機4、高分子3)。分析対象が3冊と少ないため判定は慎重に

早稲田大学は全学部で3/3、明治大学は理工学部の理論の枠・農学部ともに3/3とされています(詳細表がないため参考程度)。東洋大学は「ほぼ毎回1〜2大問を占める必出分野」、東京電機大学は「マーク式大問で最頻出」とされています。

つまり、分母が明記されている大学では、理論化学が出ない年度・冊子は見つかりませんでした。志望校が決まっていない段階でも、理論に時間を使うのは外れになりません。理科全体で時間が足りない人は先に理科が間に合わないときの優先順位を読んでください。

理論化学で実際に出ているテーマ

「理論化学」は単一の単元ではなく、物質量・気体の法則・熱化学・反応速度・化学平衡・酸と塩基・酸化還元・電気化学・結晶格子・希薄溶液の集合です。どれが出るかは大学で分かれます。

気体・状態、化学平衡、酸塩基とpH計算

気体は、中央大学が理論5冊のうち3冊で「気体・状態」。早稲田大学は理論の必須項目に挙げ、東洋大学は状態方程式・蒸気圧・分圧・浸透圧が情報連携学部の定番とされます。

酸塩基と平衡は、法政大学が酸塩基・滴定6冊中3冊、化学平衡も6冊中3冊。青山学院大学は2026年度の理工A方式で、酢酸と水酸化ナトリウムの滴定曲線からpHを計算させる出題がありました。学習院大学は二段の中和滴定が理論11ブロックの内数(分母3冊)です。気体の法則と中和滴定・pH計算は共通して重いテーマです。

結晶格子

法政大学は6冊中3冊。慶應義塾大学は理工学部の2024年度・2026年度、看護医療学部の2024年度、薬学部の2026年度で確認できます。東京電機大学は「結晶格子密度の計算は毎年のように出題される」とされています。公式よりも単位格子のなかの原子の数え方でつまずく人が多いです。

電気化学(電池・電気分解)

電気化学は理論のサブ分野ですが、資料が繰り返し名指しします。法政大学はA方式6冊中4冊で、結晶格子(3/6)・化学平衡(3/6)・酸塩基滴定(3/6)を上回る理論の内訳の最多。青山学院大学は理工A・B方式の5冊中4冊(2023年度A・B、2024年度A、2026年度A)で出題があり、個別日程の定番テーマとされています。東京電機大学は15本中7〜8本で、電気量・電流・質量変化の計算が毎年のように出るとされています。

慶應義塾大学は4学部すべてで優先度が高い分野です。医学部は2024年度大問Ⅰ・2025年度大問Ⅱ・2026年度大問Ⅱで出題され、先に固めるべき分野の1位。薬学部は2024年度第1問・2025年度第3問で大問級で2位。理工学部は2025・2026年度とも第1問で電気分解です。

熱化学とエンタルピー表記への移行

熱化学は、新課程への移行で表記が変わったことが複数の大学で確認できます。年度をまたいで過去問を解く人に直接ひびきます。

  • 中央大学:2026年度に熱化学が燃焼エンタルピー・エンタルピー変化の表記へ変更。明治大学農学部も2026年度からエンタルピー表記に切り替わっています
  • 法政大学:熱化学・エンタルピーはA方式6冊中3冊。2026年度から熱化学方程式ではなく生成エンタルピーの表記へ移行しました
  • 慶應義塾大学:薬学部は2024年度第3問・2025年度第1問で熱化学・結合エネルギー、看護医療学部は2024年度大問1・2026年度大問2でヘスの法則からエントロピーまで

古い年度の扱いはこうです。熱化学方程式で書かれた年度も、問題そのものは有効です。反応の中身と計算の筋道は変わりません。変わるのは符号の向きと書き方なので、解いたあとに「エンタルピー表記で書き直すとどうなるか」を1行添えてください。旧課程で覚えた人ほど符号でつまずくので、直近の過去問でどちらの表記かは先に確認します。

理論化学の解き方を手順で固める

思いついた式に数字を入れる進め方は当たり外れが大きくなります。毎回同じ順番をたどってください。

  1. 何がどれだけあるかを表に整理する。物質名を縦に、反応前・変化量・反応後を横に並べて余白に書きます。頭の中で追うのをやめると取りこぼしが減ります
  2. 単位をそろえる。体積、圧力、濃度がどの単位か。一度そろえれば、あとで迷いません
  3. 使う法則を1つだけ決める。気体なら状態方程式、平衡なら平衡定数の式、電気分解なら電気量と物質量の対応。「何と何を結ぶ式か」を確認して書き始めます
  4. 文字で解いてから数値を入れる。最後まで文字式で進めるとミスが減ります。慶應義塾大学理工学部のように文字式で答えさせる設問が毎年ある大学では、この手順自体が答案になります
  5. 有効数字を指定どおりにそろえる。途中は1桁多く持ち、最後に指定の桁へ丸めます

手順3と4を飛ばす癖がある人は計算ミスを減らす具体的な方法も読んでください。理論のミスは計算力ではなく、書く順番の問題がほとんどです。

無機化学は「出る大学」と「出ない大学」がはっきり分かれる

無機は理論・有機に次いで多くの大学で出ます。ただし「単独の大問か」「理論の大問に混ざるか」で実態が変わります。

  • 慶應義塾大学看護医療学部:3年間の9大問のうち3大問で言及はあるものの、いずれも第1問の一部として理論に混ざり、独立した大問は3年間ゼロです
  • 慶應義塾大学の他学部:理工学部6/9、医学部5/9、薬学部3/15(第1問に固定)
  • 青山学院大学:8/9。全学部日程は大問Ⅰが有機・Ⅱが無機・Ⅲが理論の型で4年とも固定
  • 法政大学:6冊中6冊で言及がありますが、単独大問としては4/6。残る2冊は理論や有機の小問です
  • 中央大学:単独大問として5冊中4冊。立教大学:4/6、ただし単独大問ではなく必ず理論と融合
  • 学習院大学:全9大問中4ブロック(分母3冊のため慎重に)

早稲田大学は、理工3学部共通では無機が理論との融合大問に入り、比重の記載は薄いと資料に明記されています。一方、教育学部B方式は「比重が非常に高く、毎年」で、ミョウバン・製鉄・硫酸銅五水和物が毎年出るとされています。明治大学は理工学部の無機の枠・農学部ともに3/3とされます。志望校ごとの配分は理系の大学別 数学・理科の傾向にまとめています。

無機化学は「反応の型」と「製法」でまとめる

無機が苦手な人は、元素を一つずつ覚えようとして力尽きがちです。軸を2本に絞ってください。金属イオンの系統分離工業的製法です。

  • 中央大学:2025年度学部別選抜で製鉄、2026年度でソーダ工業
  • 立教大学:硫黄・銅・鉄・ソルベー法・系統分離・電解精錬が6日程で登場
  • 慶應義塾大学理工学部:アンモニアと錯イオン、硫黄と硫酸、塩素とさらし粉、銅の製錬・電解精錬、オストワルト法
  • 青山学院大学:「工業的製法と系統分離」を優先分野に挙げています
  • 学習院大学:系統分離と遷移元素が第1問の定番テーマ。明治大学理工学部:硫黄と系統分離が3年で2回とされています

覚え方は、単体・化合物を並べるのではなく次の型にします。

  1. 系統分離は「加える順番」で1枚にする。どの試薬で何が沈み、何が溶けたまま残るか。分かれ道を上から下へ流れ図にし、毎回同じ図を書き直せるようにします
  2. 製法は「原料→中間物→製品」の3コマで書く。製鉄、ソーダ工業、オストワルト法、電解精錬を、流れと各段の反応を言葉で説明できる状態にします
  3. 気体は「作り方」で束ねる。性質を単発で覚えず、どの型の反応で発生するかでグループにします
  4. 色や沈殿は別表にせず、系統分離の図に書き込む。別表にすると図と結びつかず、試験中に出てきません

仕上げの目安は、白紙に系統分離の流れ図と製法の3コマを見ずに書けることです。

有効数字と計算過程の指定がある大学

答だけ書くのか過程まで書くのかで、練習の中身が変わります。

  • 法政大学:全問記述で、計算過程を書かせる設問がA方式6冊中6冊。マークシートなし
  • 学習院大学:「数値で答える問題には計算の過程も書き、有効数字2桁で答える」ことが明示(分母3冊のため慎重に)
  • 慶應義塾大学:看護医療学部は「途中の計算過程を全て書きなさい」、医学部は「導出過程も簡潔に記せ」
  • 立教大学:「計算過程もしるすこと」の指定が繰り返し出ます。早稲田大学理工3学部共通:有効数字の指定つき計算が毎年出るとされています

逆に慶應義塾大学理工学部は全問空欄補充で答のみ、導出過程も論述も3年間ゼロです。「過程を書く大学」と「答だけの大学」は練習を分けてください。前者は答案の書き方ごと練習しないと点になりません。

記述・論述が出る大学の対策

論述の量と字数は学部で違います。

  • 慶應義塾大学:医学部は各大問2〜3問で字数無制限、化学史や実験を扱う出題が3年連続。看護医療学部は1〜2問で50〜75字、薬学部は5〜7問で15〜50字
  • 法政大学:論述・説明記述が6冊中5冊(2024年度Ⅱ日程のみなし)で字数15〜60字。構造式の作図も5冊
  • 立教大学:論述が毎回1〜3問で近年は3問へ増加、字数は1〜7行
  • 学習院大学:理由記述が毎年複数、作図も。実験器具名や共洗いの理由を問う実験考察が核とされます
  • 早稲田大学教育学部B方式:理由を述べる短論述が毎年2〜4題(1〜3行)、東京電機大学:大問Ⅲ・Ⅳで20〜30字程度の短論述が複数年とされています

論述が一貫してゼロと明記されているのは慶應義塾大学理工学部と中央大学学部別選抜(5冊中0冊)、東洋大学は全冊マークシート方式で記述式が皆無とされています。

字数別に書く中身を決めます。15〜30字なら原因を1つだけ、「〜のため」で終える形。50〜75字なら条件・原因・結果の3要素1〜3行や字数無制限なら結論を1文、根拠を1文。反応や法則の名前を必ず入れ、指定字数に収めて書き直す練習をします。

理論・無機・有機の時間配分を残り3か月で組む

本番まで3か月という前提で書きます。まず志望校の直近の過去問で、理論・無機・有機・高分子が大問何題ずつかを数え、そのあとに時間を配ります。

  1. 最初の3週間は理論だけ。気体、中和滴定とpH計算、化学平衡、電気化学、結晶格子、熱化学の6テーマを回します。志望校の内訳が分かるなら上位3つを2周してから残りへ
  2. 次の3週間は無機と有機を並行。無機は系統分離の流れ図と製法の3コマを毎日1枚。有機は構造決定を1日1題。有機化学と高分子の対策で、高分子がどれだけ出るかも先に確認してください
  3. 残りの6週間は過去問と埋め合わせ。週1セットを本番と同じ時間で解き、落とした設問を理論・無機・有機に分類して、その日のうちに同じテーマを1題だけ追加で解きます

週あたりの配分は理論5割・無機2割・有機3割を出発点に。法政大学のように理論が毎回2〜3大問なら理論をさらに上げ、慶應義塾大学看護医療学部のように無機の独立大問がない学部なら無機を1割に落とします。配分は志望校の大問構成から逆算する。理科の科目をまだ動かせる人は理科の科目選びも見てください。

理論化学が苦手な人の立て直し手順

「理論が苦手」という人は、範囲全体ではなく特定の入口でつまずいています。次の順に切り分けてください。

  1. 物質量の換算だけを1日やる。質量、体積、粒子の数、濃度の換算を、単位を書きながら20題。ここが遅いとどのテーマも解けません
  2. 間違いの種類を分ける。法則の選び方か、単位をそろえ損ねたのか。ほとんどが後者です
  3. 1テーマを「説明できるまで」やる。結晶格子なら原子の数え方を声に出して説明できるか。できないなら解けたのは偶然です
  4. 手が止まる場所を記録する。どの行で止まったかをノートの端に残します。3日分で、止まる場所がほぼ同じだと分かります
  5. 過去問に戻るのは、上の4つを1テーマでも通したあと。逆にすると点が出ない理由が分からないまま時間が過ぎます

それでも進まないときは、一人で抱えずに学校の先生や保護者に相談してください。つらさが続くときは専門の窓口に相談するのも選択肢です。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
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二神大輝