現代文の選択肢で2つまで絞れたあとに見る5つの場所|川越の予備校が大学別の設問形式から解説

「2つまでは絞れるのに、そこから外す」。現代文の相談でいちばん多いのがこれです。この記事は、その状態にある高校生・既卒生に向けて、2つに絞ったあと何をどの順に見るかを手順にしました。

2つまで絞れているなら、本文の理解は進んでいます。残っているのは読む力の不足ではなく、「どこを比べれば決まるのか」を決めていないという問題です。比べる場所は5つです。読み方そのものは現代文の勉強法にまとめてあるので、この記事は選択肢の切り方だけに絞ります。

まず、選択肢の数と設問の形は大学でこれだけ違う

EIMEI予備校では大学ごとに入試対策読本を自作していて、国語の章を作るときは問題冊子を1冊ずつ数えます。すると「現代文の選択肢問題」とひとまとめにできないことが分かります。

  • 立教大学…確認した国語11冊すべてで「現代文2題+古文1題」の75分。現代文は1題あたり約2,200〜3,300字。20〜40字の説明記述が11冊中9冊に1問入り、残りはほぼマークです。
  • 明治大学…商学部は評論2題+古文1題の3大問で24〜25問、選択肢は5択。法学部は同じ3大問構成で31〜34問、政治経済学部は4大問30〜31問で50字以内の説明記述が3年連続。学部で設問数が10問近く違います。
  • 法政大学…国語9冊のうち、経済Ⅰ・社会Ⅰ・現代福祉が使う冊子は3年連続で現代文のみ・全問マーク・記述ゼロ(2026年度は3大問から4大問に増加)。文学部・経営・人間環境・GISが使う冊子では、現代文2題に各1問、30〜40字で文末が固定された要約記述が入ります。
  • 学習院大学…国語9冊すべてが評論で小説は0冊、字数指定の論述も9冊すべてゼロ。そのかわり法学部コア系の現代文に「三つ選べ。三つ以上マークした場合は0点」型が入ります。
  • 中央大学…現代文の題数が学部で違い、国際経営と総合政策は3題、国際情報は2題+知識1題、文学部は1題に古文と漢文が加わります。自分の言葉で書く記述は法学部だけで40〜60字、2026年度から1問が2問に増えました。

選択肢の数まで数えると、現代文は4択と5択が中心です。6つ以上から複数を選ばせる形は、むしろ英語や社会のほうに多く出ます。だから「選択肢の切り方」を一般論ひとつで済ませるのは危険です。志望校の過去問を開いて、何択なのか、いくつ選ぶ形式なのか、部分点があるのかを先に確認してください。この作業は10分で終わります。

2つまで絞れたあとに見る5つのところ

①から順に見て、決まったらそこで止めます。毎回5つ全部を見る必要はありません。

① 本文に根拠があるか

まず、残った2つの選択肢を前半と後半に切ります。切った部分ごとに、本文の何行目に対応するかを指で押さえられるかを確かめ、押さえられない部分が残ったほうを外します。基準は「そう書いてあったと思う」ではなく「ここに書いてある」と示せるかどうかです。

あわせて、根拠の行が傍線部から離れすぎている選択肢も疑ってください。傍線部の説明なのに、十行以上離れた別の話題から根拠を持ってこないと成立しない選択肢は、たいてい作られたつながりです。

② 程度・範囲を表す言葉

2つの選択肢を縦に並べ、この種の語だけに印をつけます。「すべて」「つねに」「もっぱら」「〜だけ」「一方的に」「まったく」と、「ある場合には」「〜の一面がある」「〜しやすい」。多くの場合、片方だけに強い語が入っています。

本文が「〜の場合が多い」なのに選択肢が「つねに〜である」なら、選択肢のほうが広い。逆に、本文が二つの立場の対立を軸に論じているのに選択肢が「〜も一つの見方である」で終わっていたら、本文より弱い。広すぎる側と狭すぎる側を、語のレベルで突き合わせます。

③ 因果の向き

「AだからB」なのか「BだからA」なのか。2つの選択肢が同じ材料を使い、つなぎ方だけが違うことがよくあります。本文に戻るときは、つなぎの言葉(したがって/そのため/なぜなら/〜によって)を丸で囲み、余白に矢印を書いてから比べてください。

もう一つ多いのが、並んでいるだけの二つを原因と結果にしてある形です。本文が「AとBが同時に進んだ」と書くだけなのに、選択肢が「AがBを引き起こした」になっている。並存と因果は別ものです。

④ 主語がすり替わっていないか

選択肢の主語が、筆者なのか、一般の人々なのか、本文に出てくる特定の立場なのかを確かめます。いちばん多いのは、筆者が紹介している立場を、筆者自身の主張として置き換える形です。本文の「近代の学問はそう考えてきた」を、選択肢が「筆者はそう考えている」にしてある、という具合です。

現代文の抽象概念を扱った読本でも、評論の読みにくさの型として「『能力主義は公平だ』という通念に対し、評論はその前提を疑うところから始まることが多い」ことを挙げています。通念と筆者の主張が同じ文章に並ぶからこそ、入れ替えが成立してしまいます。

⑤ 本文にない価値判断が入っていないか

「〜すべきだ」「望ましい」「危険である」「優れている」。この種の評価の言葉が選択肢にあったら、本文の同じ場所に評価があるかを確かめます。入試の評論には、対立する二つの立場を並べて説明したまま終わる文章がかなりあります。

そこに「筆者は前者を批判し、後者を望ましいとしている」と書いた選択肢が来たら、本文にその評価があったかを確認してください。ないなら外します。現代文の抽象概念とつながる話で、評論は立場の優劣を決めずに構図を示すだけのことが多いのです。

選択肢に仕込まれやすい6つのズレ

①〜⑤を作業に落とすと、探すべきズレは6つの型にまとまります。

  • 言い過ぎ…程度・範囲の語を本文の表現と1語ずつ突き合わせる。本文が「多い」なら選択肢の「つねに」は落とす。
  • 言い足りない…本文の主張の中心が入っているかを見る。間違いはないが当たり前のことしか書いていない側を疑う。
  • 因果の逆転…選択肢を「AだからB」の形に書き直し、本文の矢印と向きを比べる。
  • 時制のずれ…「かつては」「現在は」「これから」に印をつけ、本文のどの時点の話かを合わせる。過去の説明を現在の主張にすり替える形が多い。
  • 本文にない一般化…具体例が一つあるだけの箇所から「一般に〜である」に飛んでいないかを見る。
  • 部分的に正しい…前半が本文どおりの選択肢をこそ疑う。前半で安心させて後半でずらすのが基本なので、最後まで読み切る。

設問のことばで、やることが変わる

設問の一語で、やることが変わります。要求語に丸をつける習慣だけで失点が減る人もいます。

  • 「どういうことか」…傍線部の言い換えを作ります。まず自分で短く言い換えてから選択肢を見る。範囲は傍線部とその前後の数行です。
  • 「なぜか」…理由を答えます。末尾が「〜から」でつながるかを確認。言い換えになっている選択肢は、内容が合っていても外れます。
  • 「合致するもの」…本文全体が範囲です。傍線部がないので、選択肢ごとに根拠の段落を特定します。1つの選択肢に根拠が2か所必要なこともあります。
  • 「合致しないもの」…作業が逆になります。正しい選択肢を確定させて残りを選ぶほうが速い場合が多い。マークする前に設問文をもう一度読んでください。ここを取り違えると、読めているのに落とします。
  • 「最も適当なもの」…複数の選択肢が部分的に正しいことを前提にした指示です。「間違い探し」ではなく「よりよいほうを選ぶ」作業なので、②の比較が決め手です。

「すべて選べ」「2つ選べ」型で気をつけること

  • 学習院大学の法学部コア系の現代文には「三つ選べ。三つ以上マークした場合は0点」型が出ます。迷って4つ目をマークすると全部が消えます。読本では、学習院の国語の平均得点率が法学科53.6%・政治学科52.2%で他学部の64%から72%より低いことに触れ、この形式が効いていると書いています。
  • 学習院大学の英語も、各長文の最後が「(イ)〜(ト)の7択から2つ選ぶ。3つ以上マークしたら0点」で3年間固定。2つに絞り切ることが前提の設計です。
  • 中央大学の5学部共通選抜の日本史では「すべて選べ」型が多く、部分点が出ません。全肢の正誤を判断できる必要があります。
  • 中央大学の商学部の世界史や立教大学の世界史には「該当するものがない場合は(e)」が仕込まれ、立教では4択が実質5択になって消去法が効きません。法政大学の政治・経済でも、経済学部系の冊子は2文正誤型に「すべて正しい場合はオ」が加わります。

部分点が出ない形式では「1つ確信+1つ勘」が0点になりうるので、絞り方を変えます。全部の選択肢に○か×をつけ切り、△を残したまま数を合わせない。減点の規定は設問文に書かれているので、本番で初めて読むのではなく、過去問の段階で自分の志望校にあるかを確かめておいてください。

本文を先に読むか、設問を先に見るか

順番は志望校の形式で変わります。

  • 記述が混ざる形式(立教の20〜40字、法政の文末固定の30〜40字、中央の法学部の40〜60字)は、設問の指示を先に見る。文末固定型は指定の文末に合う形で要点を圧縮する作業なので、指示が先にないと始まりません。
  • 複数選択・全肢正誤型が入る形式は、本文を通して読んでから。全肢の正誤を判定するので、傍線部の周辺だけ読む解き方では足りません。
  • 分量が重い日程は、傍線部の位置と設問の指示だけ先に確認して通読する。立教の2月8日は4年とも6,550〜6,700字で重く、設問群も最多クラスです。1問ずつ読みながら本文を往復すると、往復の回数だけで時間が消えます。

なお立教大学の出題意図には、語彙・文法の設問についても「傍線部の前後あるいは文章全体の文脈や展開をふまえて、的確な正解を選ぶことのできる読解力を必要とする問題とした」とあります。標準は「傍線部の位置と設問の指示を先に確認→本文を通読→解く」に置いてください。

時間が足りないときの切り方

  • 余裕がある(残り10分以上)…①から⑤を順に。2つに絞ってから決めるまでの上限を90秒と決め、超えたら印をつけて次へ進みます。
  • 残り5分前後…①と②だけ。根拠を押さえられるか、程度・範囲の語がずれていないか。この2つで大半は決まります。
  • 残り2分…未マークを作らないことを最優先に。判断は「本文に一度も出てこない語が入っているほうを外す」の一点に絞ります。ただし部分点のない複数選択では、確信のない選択肢を数合わせで足さないでください。

点数が回ごとに動くなら、切り方より配分の問題です。現代文の点数のブレのほうを先に読んでください。

練習のしかた|間違えた選択肢を「なぜ選んだか」で分類する

丸をつけるだけでは選択肢の精度は上がりません。間違えた問題を、解説を読む前に「自分はなぜそれを選んだのか」で分類します。ノートを2列に分け、左に選んだ番号と理由を1行、右に次の分類番号を書く。10問たまったら数える。これだけです。

  1. 根拠を取り違えた…本文の別の行を根拠にしていた。
  2. 語の強さ・範囲を見落とした…本文の理解は合っていたが、程度や範囲のずれに気づかなかった。
  3. 設問の要求を読み違えた…「なぜか」に言い換えで答えた、「合致しないもの」を逆に取った。
  4. 本文の内容が分からなかった…語彙や話題そのものが未知で、選択肢を比べる手前で詰まった。
  • 1が多い…傍線部ごとに根拠の行番号を余白に書き込む練習を10問続けます。押さえる作業を可視化するだけで減ります。
  • 2が多い…程度・範囲の語に印をつける作業を、正解した問題も含め全問でやります。この型は作業を省いた回だけ落ちます。
  • 3が多い…設問文の要求語に丸をつける。最も短時間で直る型です。
  • 4が多い…選択肢の練習では直りません。国語の漢字・語彙と、話題の予備知識のほうに時間を移してください。

10問で4つがばらけるなら、まだ原因が絞れていません。30問まで続けてください。

選択肢が切れるようになると、記述も書ける

①〜⑤で見ている場所は、記述の採点で見られている場所とほぼ同じです。中央大学の法学部の出題の意図には「本文中の該当箇所を抜き出すのでなく、本文全体の趣旨を読み取り、自分の語彙で内容をまとめて説明する能力を試す問題です」とあります。法政大学の出題意図にも「傍線部の意味を指定語数でまとめる表現力」「文章全体の主旨を指定語数でまとめる表現力」という表現が繰り返し出てきます。要求されているのは、主語を正確に置き、因果の向きをそろえ、程度を言い過ぎずにまとめること。選択肢を切るときの5点と同じです。

だから練習は逆向きにも使えます。選択肢を見る前に、自分で10〜20字の答えを作る。そのうえで選択肢を見て、形が合うものを選ぶ。選択肢に引きずられる回数が減り、記述の練習にもなります。字数帯ごとの書き方は現代文の記述の書き方にまとめました。

2つに絞れているのは、すでに半分以上できているということです。あとは比べる場所を決めて、同じ手順を毎回踏むかどうかです。川越校舎では、生徒が解いた過去問の選択肢を一つずつ「なぜ切ったか」から確認します。自分の切り方の癖は、自分では見えにくいからです。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
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二神大輝