大学入試のことばの意味がわからない人へ|要項で迷わない用語の読み方【川越の予備校が解説】

この記事は、大学の募集要項(ぼしゅうようこう)に出てくる言葉の意味が分からない受験生と、その保護者の方のために書きました。実例は、EIMEI予備校が大学ごとに自作している入試対策読本から引きました。ただし制度の細部は毎年変わるので、自分が受ける年度の募集要項で必ず確認してください

言葉が分からないまま出願すると、何が起きるか

1つめ。受ける予定でなかった日程に出願してしまう。法政大学には「A方式(個別日程・3科目)」と「T日程(統一日程・2科目)」があり、名前だけでは違いが分かりません。

2つめ。必要な試験や書類が足りない。明治大学の経営学部は2026年度から、学部別入試の2方式ともが共通テスト併用型になりました。読本にはこうあります。「ここを見落とすと出願そのものができません」。

3つめ。過去問を間違える。法政のA方式とT日程は完全に別の問題です。

以下、意味 → なぜそうなっているか → 何が変わるかの順に見ていきます。

入試の種類をあらわす言葉

一般選抜

年明けに行われ、学力試験で合否が決まる入試です。募集人員がいちばん多い入口で、法政では一般選抜の募集4,011名のうちA方式が2,682名、67%を占めます。募集が少ない入口は、それだけで倍率が上がります。

学校推薦型選抜・総合型選抜

文部科学省の実施要項では、学校推薦型選抜は「出身高等学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料としつつ」評価する入試、総合型選抜は「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせる」入試です。主な資料が違うので、学校推薦型は自分の意志だけでは出願できません。

日程も2か月ずれ、2027年度入試なら総合型は2026年9月1日以降、学校推薦型は11月1日以降の出願です。ただしこれは制度が定めた「もっとも早い日付」だけで、実際の日付は大学ごとに決まります。

「年内入試」という呼び方

上の2つをまとめた通称で、要項に載っている正式な区分名ではありません。要項は「総合型選抜」「学校推薦型選抜」で探してください。

方式と日程をあらわす言葉

全学部統一入試(全学部日程)/学部別入試

統一入試は、1日の試験で複数学部を同じ問題で判定します。明治の全学部統一入試は2月5日に全10学部が同じ問題で行われ、全国8都市で受けられます。ただし人が集まるので倍率は上がりがちで、法政の統一日程にあたるT日程は2026年度8.5倍、A方式の6.2倍より厳しい水準でした。

学部別入試は学部ごとに試験日と問題があります。明治は複数学部が同じ問題を使う組み合わせがなく、他学部の過去問を流用できません。かわりに形式が安定していて、同じ3年分を3周する使い方が合います。

A方式・T日程などの呼び方

同じ「A方式」でも、大学によって中身がまったく違います。法政のA方式は「個別日程・3科目」。慶應義塾大学の経済学部のA方式は「数学で受ける方式」、B方式が「地理歴史で受ける方式」で、両方式の併願はできません。アルファベットで覚えず「何科目で、大学に行って試験を受けるのか」で覚えてください。

同じ大学でも、日程が違えば問題が違う

法政の問題は学部ごとではなく試験日ごとに作られています。法学部Ⅱ日程の試験日には法学部Ⅱ日程・国際文化学部・キャリアデザイン学部の3学部が、まったく同じ英語・国語・日本史を解きます。逆に同じ法学部でも、Ⅰ日程とⅡ日程は別の問題です。過去問を買う前に、受ける日程を確定させてください。

共通テストまわりの言葉

共通テスト利用は、共通テストの点数だけで判定する入試で、大学に行って試験を受ける必要がありません。法政のB方式(3教科)・C方式(6教科7科目)や、独自試験が一切ない立教の共通テスト利用入試がこれです。楽に見えますが、法政の2026年度は1科目で受けられる英語外部試験利用入試が16.2倍、6教科7科目のC方式が2.6倍。科目が少ない入口ほど人が集まり、倍率が跳ね上がります共通テスト利用入試の記事)。

共通テスト併用は、大学の試験と共通テストの点を足す方式です。明治の経営学部の3科目方式は、国語100点・外国語150点に共通テスト1科目100点を加えた350点満点。「一般選抜だから共通テストは関係ない」が成り立ちません。

独自試験は、その大学が自分で作る試験です。必ずあるとは限りません。立教の一般入試で会場で英語を解くのは2月11日の文学部だけで、それ以外の日程は英語資格のスコアか共通テストの英語を使います。

点数まわりの言葉

素点(そてん)

答案の上で実際に取った点数です。過去問を自分で採点して出るのがこれです。ここから先は「素点をそのまま使うのか、加工してから使うのか」の話です。

得点調整・標準化

選択科目の難しさの差で有利不利が出ないよう、大学が統計的な処理で点を付け直すことです。呼び方は「得点調整」「標準化」「補正」と分かれます。法政の公式Q&Aには「全科目において本学独自の計算式を使って得点調整(標準化)を行い、合否判定します」とあり、計算式は公表されていません。

変わるのは2点。「点が取りやすそうな科目を選ぶ」作戦が成り立たなくなることと、合格最低点の読み方が変わることです。しかも同じ大学でも「する入試」と「しない入試」が分かれます。法政も立教も、共通テスト利用入試では独自の得点調整を行いません。明治は要項にも入試結果の資料にも記述がありませんが、「記載がない」ことは「していない」ことの証明ではありません

段階採点

先に一部の答案だけを採点し、一定の点に届いた人の答案だけを続けて採点する仕組みです。届かなければ残りは読まれません。慶應の経済学部B方式の要項にはこうあります。「『外国語』の問題の一部が一定の得点に達した受験生について、『外国語』の残りの問題と『地理歴史』および『小論文』を採点」。慶應の法学部も同じ構造で、小論文は外国語+地理歴史の合計点と地理歴史単独の得点が、どちらも一定に達した人の分だけ採点されます。「1科目を捨てて他で稼ぐ」設計が使えません。

足切り(あしきり)

一定の点に届かない人を選考から外すことです。段階採点はその一種ですが、要項に載っていないことが多い言葉です。逆に「ある」と思い込むのも危険で、法政の公式Q&Aには「科目ごとの基準点は設けていません」とあります。ただしA方式3科目・T日程2科目なので、科目数が少ないぶん1科目の穴は重く響きます

満点

満点は同じ大学の中でも方式・学部・学科で違います。法政ならT日程が200/250/300点、A方式(文系)が300/350/400点です。だから「250点だった」という報告には意味がありません。得点率に直して比べてください。

「合格最低点」の読み方

合格者の中で最も低かった点数です。目標の材料に見えますが、そのまま使えるかは大学によって違います。

調整後の点数を公表している場合

法政の入試結果データには「*合格最低点は、得点調整(標準化)後の点数です」と注記されています。過去問の素点と直接比べても意味がありません。ただし学部・方式ごとの相対的な難しさを比べる材料には使えます。同じ処理を通した数字だからです。法政のA方式の合格最低得点率は多くが62〜75%で、A方式38学科のうち16学科が7割を超えています。読本は「標準化後7割」を基準にしつつ「素点で7割ではありません」と繰り返します。過去問の素点は、公表値ではなく過去の自分と比べるのが正しい使い方です。

調整前の素点を公表している場合

立教は逆です。全日程・全科目で得点調整をしていますが、公表値には「合格者最低点:統計処理(得点調整)前の得点を示しています」と注記されています。公表値は素点で、合否は調整後の点で決まります。

2026年度の観光学部観光学科「英語以外2科目」(350点満点)の合格者最低点は、2月8日が286点、2月13日が208点。同じ学科・同じ年度なのに78点も違います。合格者のレベルの差ではなく問題の難しさの差で、素点なので難易度がそのまま数字に出ます。だから自分が解いた過去問と同じ日程の数字と比べるのが唯一の使い方です。読本は「その日程の最低点+1割」を当面の目標に勧めています。

要項に調整の記載がない場合

明治は得点調整の記述がないので、合格最低点を答案の上の目安として読める、というのが読本の立場です。2026年度の合格最低得点率は学部別入試で6割台後半から7割台前半、全学部統一入試で7割台後半から8割台。読本は学部別なら最低点の1割増し、全学部統一なら最低点+数点を目標に勧めています。

同じ大学の中で分かれる場合

慶應の要項には「選択科目間での難易度の違いから生じる不公平をなくすため、統計的処理により、得点の補正を行う場合があります」とあります。2026年度は商学部・総合政策学部・環境情報学部・看護医療学部が補正あり(公表値は補正後)。一方で法学部は「得点の補正を行いませんでした」と明記され、こちらは素点です。同じ大学でも学部によって合格最低点の意味が違うのです。補正の有無は毎年判断されます。

どの大学にも共通する注意

細かい点差は気にしないでください。小数点のついた最低点はたいてい換算後の数字です。設問ごとの配点を公表していない大学も多く、過去問から正確な得点は出せません。「だいたい6割か7割か」という粗い目安として使うのが安全です。

英語の資格・検定まわりの言葉

出願資格は、基準に届いていれば出願できるが、スコアの高低は合否に影響しない使い方です。法政の英語外部試験利用入試はこれで、英語が免除され1科目だけで判定されます。明治の国際日本学部の英語4技能試験利用方式も同じ形で、判定に使うのは国語150点のみ。基準を1点でも超えたら、それ以上伸ばしても入試の点にはなりません。

得点への換算(「みなし得点」と呼ばれることもあります)は、スコアを英語の点数に置き換える方式です。立教の一般入試は英語資格のスコアと共通テストの英語を同時に提出でき、「もっとも高得点に換算されるスコアを合否判定に自動的に採用します」と公表されています。両方あるなら両方出すのが得です。

加点は、他の科目の点に決まった点を足す使い方です。立教の法学部国際ビジネス法学科グローバルコースは国語と選択科目の合計200点満点で判定し、英検なら4技能2,600点以上などで5点が加算されます(出願の条件は2,450点以上)。明治の経営学部の英語4技能試験利用方式は、加点が0点・20点・30点のいずれかで満点230点です。

法政の公式Q&Aによれば、4技能のスコアは同一受験回のものに限られ、英検は「合格級」と「CSEスコア」の両方が必要です(英検などの外部スコアの記事)。

書類まわりの言葉

調査書は高校が作成して大学に提出する書類です。実施要項は「調査書の提出を求める」と定めていて、方式を問わず必要です。

評定平均(学習成績の状況)は、調査書に載っている各教科の成績を平均した数字です。実施要項が定めているのは、大学が「一定水準以上の具体的な評定の獲得を出願要件等として求めることができる」という点だけです。ですから「推薦は評定4.0以上が必要」といった一般則は存在せず、あるのは大学ごとの募集要項に書かれた数字だけです。専願か併願かも同じで、実施要項に直接定める条文はありません。

志望理由書は志願者本人が書く書類です。実施要項には「調査書等の出願書類だけではなく、第6の1から4に掲げる評価方法のうち少なくともいずれか一つを必ず活用」という条文があり、志望理由書や調査書はこの「1から4」に入りません。つまり書類とは別に、学科試験・共通テスト・小論文や面接・資格検定のうち少なくとも1つが必ず課されます。「推薦は書類と面接だけ」は正しくありません年内入試の種類の記事)。

要項を読むときに見る順番(5ステップ)

  1. 入試の種類と方式名を特定する。「A方式」では足りず、「〇〇大学 △△学部 A方式」まで書き写します。
  2. 試験日と、その日の問題がどの区分かを確定する。ここが決まらないと買う過去問が決まりません。
  3. 科目・配点・満点を書き出す。共通テストが必要かどうかもここで見ます。
  4. 合格最低点の注記を読む。素点か、調整後か。書いていなければ粗い目安として使います。
  5. 出願書類・締切・英語資格の扱いを確認する。資格は出願資格・換算・加点のどれかを見ます。

この5つを志望校ごとに1枚にまとめれば、出願の事故はほとんど防げます。出願校の決め方は出願校をいつ確定させるか併願校の決め方、日程で問題が変わる大学の例は法政大学の日程別を参考にしてください。

保護者の方へ

お願いしたいのは、確認の分担です。科目・配点・過去問・目標点は本人が決めるしかありません。一方で締切の日時、提出書類、検定料の払込、郵送かwebか、証明書の取り寄せは、保護者の方のほうが正確に扱えるはずです。

要項を印刷して1回だけ一緒に見て、「この欄は自分が確認する」と線を引いて分けてしまうのが早いです。あとは締切の3日前に一度声をかける。それで十分です。制度の細部は年度で変わるので、最後は必ず受ける年度の募集要項で確認してください。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
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二神大輝