参考書が多すぎて決められないとき|川越の予備校が教える選ぶ順番と「1冊終わった」の基準

こんにちは、EIMEI予備校の二神です。

この記事は、川越とその周辺の高校に通う高校生・浪人生で、「参考書が多すぎて、どれをやればいいか決められない」と感じている人と保護者の方に向けて書いています。面談でいちばん多く出る悩みのひとつです。

先に結論を書きます。決められないのは、本の知識が足りないからではなく、選ぶ順番が逆になっているからです。参考書は志望校の出題 → 足りない力 → その力がつく本という順番で決まります。この記事では、その順番と、今日30分でできる仕分けの手順、「1冊終わった」を数字で判定する基準を説明します。

「決められない」は4つに分けられる

同じ「決められない」でも、原因によって打つ手は違います。面談で聞いていると、だいたい次の4つに分かれます。複数当てはまるなら①から順に片付けます

①持っている本が多すぎる

机の上に同じ科目の本が3冊以上あり、どれも途中まで進んでいる状態です。これは「選べない」問題ではなく「捨てられない」問題で、新しい本を探しても解決しません。必要なのは仕分けだけです。

②人によって言うことが違う

学校の先生、先輩、ネットの情報で勧められる本が食い違い、判断できない状態です。これは自然なことです。勧める人は、自分が受けた大学と、自分がつまずいた場所を前提に話しています。志望校も現状も違えば結論は違って当たり前で、基準は自分の志望校の出題と、自分の失点の中身に置き直すしかありません。

③今の自分に合うレベルが分からない

簡単すぎる気もするし、難しすぎる気もして手が止まる状態です。感覚では判定できません。志望校の過去問を1年分、時間を計って解き、落とした問題の原因を分けるのがいちばん早い判定法です(今の立ち位置の測り方過去問はいつから何年分やるか)。レベルは本の帯ではなく、自分の失点から決まります

④終わらせた本が1冊もない

いちばん多いのがこれです。どの本も最初の3分の1だけ何度も進み、後半に入ったことがない状態です。ここで新しい本を買うと、「最初の3分の1」がもう1冊増えるだけです。④の人は買い足す判断を保留し、まず1冊を最後まで到達させる基準を決めます。

選ぶ順番は「出題 → 足りない力 → 本」

参考書選びで迷う人は、ほぼ順番が逆です。「評判のいい本」から入り、その本に合う勉強をしようとする形で、本の難易度や範囲が志望校とずれていても気づけません。

逆から選ぶと、具体的に何が起きるか

逆順で選ぶと、次の3つが起きます。

  • 志望校で出ない単元に時間を使う。網羅型の問題集はどの大学にも対応できるよう作られているので、自分の志望校では出ない単元も同じ厚さで入っています。頭から順にやると、そこに数週間かかります。
  • 形式が合わない。全問マーク式の大学を受けるのに記述・証明中心の本で練習する(逆もあります)。練習量の配分がずれます。
  • やめる判断ができない。「この本をやれば力がつく」と入ると、途中でやめることが失敗のように感じられます。出題から逆算していれば「この本はここまででいい」と切れます。

「出題を見る」とは具体的に何を見るのか

一段目は志望校の出題です。次の5つだけをメモします。1科目15分で足ります。

  1. 解答形式(全問マーク式か、記述があるか、記述の量)
  2. 大問の数と、各大問の単元・テーマ(同じ番号に同じ単元が並んでいないか)
  3. 試験時間と問題量(1問に何分使えるか)
  4. 出題範囲の指定(募集要項の科目・範囲。ここで単元が丸ごと外れることがあります)
  5. 設問文の言語(英語の設問文が使われているか)

この5つが分かると候補は一気に減ります。全問マーク式なら証明を厚く扱う本は最優先ではなく、記述量が多い大学なら答えだけ合わせる練習では足りません。本の善し悪しではなく、自分の試験と噛み合うかどうかで選べるようになります。

出る単元・出るテーマから逆算する|読本の実測値から

EIMEIでは大学ごとに入試対策読本を自作していて、その制作のために過去問の冊子そのものを年度別・大問別に読み込んだ分析データがあります。その集計の一部で、「出題から本を選ぶ」とはどういうことかを示します。

例1|数学は、同じ単元でも大学で重さが変わる

数学の分析データを単元ごとに並べ替えると、単元は3つの層に分かれます。

  • ほぼどの大学でも出る層。場合の数・確率は、分析した複数大学のどのデータでも高頻度で、出題ゼロの事例が原資料に見当たりません。慶應義塾大学は文系4学部の12セットすべてで出題(12/12)、理系4学部も各3/3、立教大学理系は大問Ⅰで6/6、学習院大学は12セット中10セットです。志望校が固まっていない段階でも、この単元を後回しにする根拠はありません。
  • 大学・学部で真逆になる層。ベクトルは、中央大学の文系(17冊)では主題3回+複合2回で計5回出題されている一方、同じ中央大学の理系(5冊・20大問)では3年間で一度も出ていません(0/5)。複素数平面も、慶應義塾大学理工学部は3/3で毎年出るのに対し、法政大学理系は0/9、学習院大学は12セットすべてゼロです。
  • そもそも範囲に入っていない層。東洋大学の文系(数Ⅰ・Ⅱ・A系列)は、出題範囲に数列・ベクトルを含まないと原資料に明記されています(この大学のデータは原資料が簡潔なため参考情報として扱っています)。

結論は具体的です。網羅型の問題集を頭から順にやるのではなく、志望校が上の3層のどこに当たるかを見て、着手する章の順番を組み替える。範囲外の単元はやらない。0/9の単元は基礎だけ確認して先に進む。この判断だけで、同じ1冊から取り出せるものが変わります(数学の頻出単元の記事)。

例2|英語の単語帳は「どこを回すか」で決まる

英語の語彙も、全国約190大学の入試英語問題(2007〜2026年度)からテキスト化した415題・約86万語のコーパスで、テーマ別に頻度を集計しています。テーマごとの出題量には偏りがありました。歴史・文化・人類学が125題でパッセージ数最多、心理・脳科学が104題、物語・エッセイ系が101題、医療・健康が86題です。環境・気候変動のテーマでは ocean が67回、plastic が65回、waste が61回、climate が50回、carbon が42回と、頻出が数字に出ています。

ここから言えるのは、単語帳を買い替えるより、今ある1冊のどこを何回回すかのほうが効くということです。志望校の長文が物語・エッセイ寄りなら必要なのは論説語よりも心情・表情・動作の語、理系で科学系の英文が続くなら実験や測定の語と設問文の英語が先です。同じ単語帳でも、優先して回す範囲は志望校で変わりますテーマ別の頻出英単語の記事)。

「1冊終わった」を数字で決める

④の人にいちばん効く対策はこれです。「終わった」の定義が自分の中にないから、いつまでも終わらないのです。EIMEIでは次の基準で判定してもらっています。数字は一例で、科目と本によって調整します。

  • 2周目で全問正解できる状態を「終わった」とする。1周目で全問解けた本はレベルが合っておらず、2周目でまだ半分しか合わないなら終わっていません。
  • 1問あたりの時間を決める。英語の文法四択なら1問20秒、英文和訳や数学の標準問題なら1問10分を上限にし、超えたら手を止めて解説に進みます。決めないと、1問に30分かけて「今日は3問しか進まなかった」になります。
  • 印は3種類だけ。◯=正解して理由も言える。△=正解したが理由が曖昧、または勘。×=手が止まった、間違えた。△を◯に入れないことが肝心です。△を◯に数えた本は2周目で崩れます。
  • 2周目は△と×だけ、3周目は×だけ。全部やり直すと時間が足りません。×が0になったら、その本は役目を終えています。
  • やった日付を問題番号の横に書き、1周の期限を先に決める。たとえば6週間で1周と決め、総ページ数を週数で割って1日あたりの分量を出します。期限のない本は終わりません。

期限について補足します。作業時間を実際より短く見積もる傾向は、研究で繰り返し報告されています。学業課題を対象にした実験では、予測5.8日に対して実際は10.7日かかり、予測内に終わったのは37.1%でした。計画が遅れるのは意志の問題ではなく、見積もりに共通のクセがあるということです。対策は単純で、期限を決める前に「前回、似た作業に実際何分かかったか」を1つ思い出すことです(受験期の自己管理の記事)。

今日30分でできる|手持ちの本を3つに仕分ける

タイマーを30分に設定してください。科目ごとではなく、持っている本を全部一度に出すのがポイントです。

  1. (5分)全部出して並べる。教科書・学校のワーク・問題集・単語帳・過去問をすべて机に出し、デジタルのものはタイトルを紙に書き出します。
  2. (5分)1冊ずつ、進んだページ数を表紙にメモする。「何ページ中、何ページまで」「最後に触った月」の2つだけ。何冊を途中で止めているかが見えます。
  3. (10分)3つの箱に分ける。A=今やる(今月、毎日触る本)/B=入試までにやる(必要だが今は着手しない本)/C=やらない(役目が終わった本、志望校の出題と噛み合わない本、同じ用途の本が他にある本)。
  4. (5分)Aを1科目1〜2冊まで絞る。同じ用途の本が2冊あるときは、進んでいるほうを残します。新しく買ったほうではありません。
  5. (3分)BとCを机から下げる。Bは本棚の別の段、Cは箱か紙袋に入れて視界の外に出します。
  6. (2分)Aの各冊に期限を書く。「◯月◯日までに1周」と表紙に直接書きます。

Cの本は捨てなくて構いません。「今は使わない」と決めるだけで、決められない状態からは抜けられます。この仕分けは模試や過去問のあとに月1回やり直すと精度が上がります。

買い足すかどうかを決める2つのテスト

「今の本で足りているのか」は感覚で決めず、次の2つで確かめてください。どちらも1時間以内で終わります。

テスト1|後半からランダムに10問

手持ちの本の後半(まだやっていない範囲)から無作為に10問選んで解きます。

  • 8問以上正解で、理由も言える→その本は役目を終えています。次の段の本に進む判断が成り立ちます。
  • 4〜7問正解→その本が今のレベルです。新しい本は不要で、この本を最後まで終わらせるのが最短です。
  • 3問以下→今の自分には重すぎます。買い足すのではなく、1段やさしい本(教科書や学校の教材を含む)に戻ります

テスト2|過去問1年分で、失点の原因を3つに分ける

過去問を1年分、時間を計って解き、落とした問題を3つに分類します。

  • 「知らなかった」(知識・解法そのものを持っていない)
  • 「知っていたが出てこなかった」(見たことはあるが再現できない)
  • 「時間が足りなかった」(解けたはずだが到達しなかった)

新しい本が必要なのは、「知らなかった」が失点の半分以上を占めるときだけです。「知っていたが出てこなかった」が多いなら必要なのは今の本の2周目と印の付け替え、「時間が足りなかった」が多いなら1問あたりの時間配分と解く順番の練習です。3つのうち2つは、本を買っても直りません。

科目別の注意

英語

単語帳は途中で乗り換えないことのほうが、どれを選ぶかより効きます。乗り換えると、覚えていない語だけが毎回リセットされます。文法問題集は解答形式で選び分け、四択中心なら選択肢を切る練習、記述や和文英訳があるなら書いて直してもらう前提の本が必要です。設問文まで英語の大学もあるので、設問の英語表現も語彙の一部として扱ってください

数学

網羅型の問題集は、索引と単元名を先に読み、志望校で出る単元に印をつけてから着手します。頭から順に進めるのは、範囲が広い分だけ後半に到達しにくい進め方です。同じ単元でも、マーク式なら計算の処理速度、記述式なら論証を書ききる練習が必要です。記述の多い大学なら、答えの一致だけで◯をつけないことです。

社会

用語集・問題集・過去問の役割を混ぜないことです。用語集は引くための本で、頭から読む本ではありません。通史を一度通し終えるまでテーマ別の本に手を広げないほうが、結果として早く終わります。選択式か記述・論述かも先に確認します。論述があるなら覚える単位が「用語」から「因果のつながり」に変わり、必要な本も変わります。

それでも決められないときは

ここまでの手順でも決めきれない理由は、たいてい志望校の出題をまだ見ていないか、自分の失点の中身を言葉にできていないかのどちらかです。どちらも、過去問と手持ちの本を並べて一緒に見たほうが早く片付きます。

EIMEIの無料体験では、今持っている本を全部お持ちいただければ、その場でA・B・Cの仕分けまでご一緒します。志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせてどの本のどの章から着手するかを決めます。決まっていない人は、どの科目から固めるかから始めます。

なお、勉強が手につかない状態やつらさが続くときは、参考書選びの問題ではないこともあります。その場合は学校の先生・保護者の方・専門の相談窓口にも相談してください。

※大学ごとの数値はEIMEIが自作している大学別の入試対策読本の分析データ(過去問冊子を年度別・大問別に読み込んだもの。数え方が大学ごとに違うため、大学をまたいだ単純比較はできません)、語彙の頻度は入試英文コーパスのテーマ別集計、研究の数値は読本『受験期の自己管理』によります。出願前に最新の募集要項でご確認ください。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
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二神大輝