こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、国際・外国語・国際教養・異文化コミュニケーション・グローバル教養といった系統の学部を志望する高校生・既卒生と、その保護者の方に向けて書いています。この系統は「英語が得意なら有利」と言われますが、入試対策読本を作るために問題冊子と要項を突き合わせると、英語の試験を解かない大学、英語で書かせる大学、英語の配点が満点の6割近い大学が、同じ併願リストに並びます。読本の実測値だけで整理します。
扱うのは、読本のうちこの系統の学部の記述がある8大学(早稲田・立教・青山学院・明治・法政・中央・学習院・成蹊)です。読本は大学ごとに作っていますが、慶應義塾・東洋・東京電機・埼玉の4冊にはこの系統の学部の入試内容の記述がないため扱いません。
1. この系統の入試は、3つの型に分かれる
学部名が似ていても設計思想は3つに分かれます。自分の志望校がどの型かを最初に確定させてください。
- 型A 英語で書かせる、英語で考えさせる…早稲田 国際教養、学習院 国際社会科学、青山学院 国際政治経済。
- 型B 外部スコアがそのまま英語の得点になる…立教(文学部日程を除く)、学習院 国際社会科学のプラス試験、法政GIS。出願資格か、加点か、得点そのものかで準備の重さが変わります。
- 型C 英語の配点が突出して重い…明治 国際日本(満点の57%)、中央 国際経営、成蹊 国際共創、立教 異文化コミュニケーション。
2. 大学ごとの違いを、読本の実測値で
早稲田大学 国際教養学部(2月13日)
満点200点の内訳が特殊で、共通テスト100点+学部独自の外国語80点+英語4技能テスト20点。外国語はReading 90分とWriting 60分の2冊子に分かれます。
Readingは長文3本、各本に「段落の要旨マッチ」「下線語の語義」「一致しない記述を個数指定で選ぶ」の3セットが3年とも固定。記述ゼロ、設問文もすべて英語で、語義問題だけで毎年25〜30問。1本1,200〜1,500語です。WritingはⅠ意見論述/Ⅱ図表の説明/Ⅲ英文の日本語要約の3部で、語数・字数の指定が一切なく、解答用紙の枠が事実上の制限です。2026年度は合格最低点74%、倍率4.6倍でした。
早稲田大学 文化構想学部(2月12日)
英語は文学部と形式が完全に同じで、中身が完全に違います。Ⅰ空所補充14問/Ⅱ内容一致10問/Ⅲ文挿入7問/Ⅳ会話文7問/Ⅴ英語要約1問で、設問番号1〜38まで両学部・3年とも一致。75点・90分です。記述はⅤだけで、書き出しが与えられ4〜10語で完成、本文から3語以上の連続借用は禁止。題材は社会・現代思想(AI、多文化主義、気候変動)です。
方式は一般200点/英語4技能125点/共通テスト利用200点。英語4技能テスト利用方式は出願資格で、スコアによる加点はありません(英検2,200・各技能500など)。2026年度の一般は得点率67%・10.5倍です。
立教大学 異文化コミュニケーション学部
立教で独自の英語問題が出るのは2月11日の文学部日程だけです。それ以外は資格・検定試験のスコアか共通テストの英語に統計的処理を行って得点化します。基準点方式ではないので「2級を取れば十分」ということはありません。2026年度の合格者の共通テスト英語の最低点は170点(85%)、CEFRはB2(英検準1級相当)でした。この年の全国平均は117.46点ですから、平均より52点上に合格者の下限があります。
同じ立教でも法学部 国際ビジネス法学科グローバルコースだけは英語を得点化しません。国語100+選択100の200点で判定し、英語は出願条件です(英検4技能2,450点以上など)。共通テスト利用では、異文化コミュニケーション学部は3科目型6.6倍に対し6科目型2.8倍と差が最大級でした(外部スコアが入試でどう使われるかの記事)。
青山学院大学 国際政治経済学部(2月17日)
個別学部日程では国語も地歴も解きません。独自試験は「論述・総合問題」70分100点で、3学科とも時間・配点は同じですが別問題です。大学は国際政治学科について「歴史や社会に関する知識、および語学力」「特に英文資料を読み解く力」「簡易な数式やグラフを読み取る力」と説明し、2026年度には「論理的に類推し、簡潔に表現する力が重要」という一文を加えました。「英語の試験がないから英語はやらなくていい」ことにはなりません。
B方式は115点=論述・総合問題100点+英語資格・検定試験15点。合格最低点は得点率82.6〜83.5%と高く見えますが、資格の15点がほぼ満点で加算されるためで、実質は論述で8割前後です。ただし3学科とも募集5名で5.1〜6.7倍です。
明治大学 国際日本学部(2月9日)
学部別入試の英語は200点で満点350点の57%、80分。この学部の対策は英語の対策とほぼ同義です。直近2年は4題(Ⅰ・Ⅱ長文、Ⅲ文法語法10問、Ⅳ人物インタビューの空所補充10問)で安定。記述は和文英訳の空所に1語ずつ書く部分英作文で計10語ぶん、完全な英訳や自由英作文は出ません。題材は言語習得、AIと教育、富士山のオーバーツーリズムなど日本文化と国際・社会科学が交差するところです。国語も150点あり60字記述が出るので、2科目方式では国語を捨てられません。なお全学部統一の英語4技能3科目方式は得点率90%・倍率8.5倍と明治でもっとも狭い門です。
法政大学 GIS(グローバル教養学部)・国際文化学部
GISは例外だらけです。A方式が2科目、T日程は14学部共通問題ですがGISだけ除外。英語外部試験利用入試も、他学部がスコアを出願資格としてしか使わないのに対しGISだけは英語の得点に換算します。A方式の合格最低点79.0%は法政の文系最高水準。ただし2027年度からGISは英語の配点が120点に下がり、英語外部試験利用入試が廃止されてC方式が新設されます。
国際文化学部は法学部Ⅱ日程・キャリアデザイン学部と同じ冊子(216)で同じ問題。英語は長文4本のみで文化史・メディア史など人文寄り、全方式とも全問マークで記述・英作文はありません。倍率8.7倍は2026年度の法政で最高です。
中央大学 国際経営学部(2月10日)・国際情報学部(2月11日)
国際経営学部の英語は、大学公表の出題の意図に設計思想が出ています。設問Ⅰが正しい綴りの単語の選択、設問Ⅱが単語のアクセントと下線部の発音、設問Ⅵがプレゼンテーションの原稿とスライドなどの視覚資料を統合して答える問題。簡単な計算問題まで入ります。「英語を使って仕事をする」前提の出題で、ほかの学部と同じ準備では足りません。国際情報学部は設問文が英語で、統計グラフや旅行サイトといった実用素材の図表が出ます。
学習院大学 国際社会科学部・国際文化交流学部
読本に「別世界」と書いたのが国際社会科学部のコア試験の英語です。満点も時間も他学部と同じ150点90分ですが、設問文がすべて英語で共通点がありません。大問はⅠ図表つき長文読解70点/Ⅱ文完成10/Ⅲ誤り指摘10/Ⅳ会話文20/Ⅴ空所補充20/Ⅵ自由英作文20。大問Ⅰだけで全体の47%で、棒グラフ・散布図・帯グラフの読み取りが小問に組み込まれます。Ⅵは賛否4択から立場を選んで理由と具体例を書く形式で、2025年度から「本文から4語以上連続して使ってはいけない」条件が付きました。
一方プラス試験には英語の筆記がなく、外部資格を最大150点に換算します(英検1級/CSE2,630で150点、準1級/2,540で140点、2級/2,260で120点)。級とスコアの両方を見るので「準1級を持っている」だけでは足りません。2028年度にはコアの募集が80→70に減り、プラスが15→20に増えます。なお2026年4月新設の国際文化交流学部は英語コミュニケーション学科だけ英語300点・満点500点ですが、過去問がないため読本でも分析対象に入れていません。
成蹊大学 国際共創学部
2026年4月開設の2専攻(国際日本学・環境サステナビリティ学)です。A方式は英語200・国語100・選択150の450点満点で英語の比重が最大。文系5学部はすべて全教科60分なので、時間の感覚が他大学と違います。2026年度の英語は経済学部2学科と共通の1冊で長文2題(約1,200語と約1,500語)、表紙の「記述式あり」に反して設問はマークだけでした。E方式は英語90分でA方式より30分長く、総語数が3,000語を超えます。ただし国際日本学専攻ではE方式が15.5倍・合格最低点92%(A方式は9.0倍・62%)。方式で満点が違うので、点数は必ず得点率に直して比べてください。
3. 「英語で差をつける」とは何を指すか
この系統は、英語が得意な受験生が集まる前提で設計されています。早稲田 国際教養の英語4技能テストは、2026年度の受験者平均が20点満点で14.143点=71%。一方、学部独自の外国語80点の平均は54%でした。スコアではすでに差がつきにくく、しかしないと不利になる。では、どこで差がつくのか。読本の実測値からは4つです。
- 語彙の「外側」。早稲田国際教養のReadingは語義問題が毎年25〜30問、文化構想のⅠ空所補充14問も最大配点ですが、問われる語彙が標準的な単語帳の外側にあることが多い。知らない単語を文脈から絞る訓練が直接得点になります(テーマ別の頻出英単語の記事)。
- 図表を英語で読む力。学習院の大問Ⅰが70点、早稲田国際教養のWriting Ⅱ、青山学院の論述・総合問題、中央の国際情報・国際経営。この系統ほど図表が出る系統はありません。
- 書く型を先に持っておくこと。早稲田国際教養は語数指定がないので、どれだけ書くかを自分で決める型が要ります。本文の切り貼りを封じる条件(学習院「4語以上連続禁止」、早稲田文化構想「3語以上連続禁止」)も、この系統では標準です。
- 英語以外の2科目。立教は英語がスコアで決まったあと、実質「英語以外2科目」で勝負が決まります。明治 国際日本も国語150点。英語が得意な人ほど、ここで落とします。
4. 対策が重なる大学と、別に時間が要る大学
A ― 過去問と訓練を共用できる
- 早稲田の文化構想と文学部…形式が完全に同じで問題が別なので互いの過去問がそのまま使えます。3年分でも実質6年分です。
- 法政の国際文化・法Ⅱ日程・キャリアデザインと成蹊の国際共創・経済学部A方式…それぞれ同じ問題冊子ですが同じ試験日なので併願はできません。過去問選びのときに効きます。
- 立教の異文化コミュニケーション…最大5日程受けられ、合否は日程ごとに独立して出ます。追加コストなしで受験機会を増やせます。
B ― 別枠で時間を取るしかない
- 早稲田 国際教養…冊子が2つ。Writingは全問記述です。
- 学習院 国際社会科学(コア)…他学部の過去問は準備になりません。図表読解・全編英語の設問文・賛否を書く英作文を別に積みます。
- 青山学院 国際政治経済と中央 国際経営…論述・総合問題、綴り・発音・プレゼン資料と、他大学の過去問では埋まらない設計です。
C ― 英語の試験そのものを解かない
立教(文学部日程以外)、学習院 国際社会科学のプラス試験、明治 国際日本の英語4技能試験利用方式、法政GISの英語外部試験利用入試(2027年度で廃止)。この群ではスコアの確保そのものが英語対策で、高2の終わりから高3の夏までに資格試験を受けておくのが基本線です。
Aを軸に受験回数を確保し、Bは第一志望の1校に集中、Cは高2のうちからスコアの計画を立てる。この順序をおすすめしています(早慶上理の英語の比較、GMARCHの英語の比較)。
5. 大学別のオリジナル予想問題を、どう作っているか
EIMEIでは英語の予想問題を大学別に自作しています。この系統に関わるものだと早稲田 文化構想学部(文学部も同一形式)本番1回分×3セット、青山学院 全学部日程、中央 5学部共通選抜、法政 T日程、学習院 コア試験(作成中)など。英文・設問・解説はすべてオリジナルです。
- テーマより先に、形式と語数を固定する。文化構想ならⅠ〜Ⅴの5大問と設問番号1〜38、Ⅴは「書き出しが与えられ4〜10語、3語以上連続借用禁止」まで再現し、本数と総語数も本番に合わせます。テーマが当たっても形式が違えば練習になりません。
- 素材を、その大学が好むジャンルから選ぶ。20大学の入試英語の長文パッセージ約860本を大学・学部別に分析してあります。文化構想なら人文評論、国際教養なら科学史・言語学の学術長文。同じ早稲田でも「購読している雑誌」が学部ごとに違います。
- 本番レベルに届かない生徒には段階レベル版を作る。テーマと形式はそのままで英文の難しさだけ落とした入口用です(慶應経済と早稲田商でやっている方法)。
正直に書いておくと、この系統でそのまま使えるのは早稲田の文化構想と青山学院の全学部日程、それに作成中の学習院コア試験です。国際教養・国際社会科学コア・中央の国際経営といった「別世界」型はまだ作っていません(成蹊は制作中です)。該当しない生徒には、形式に合わせた演習問題をこちらで用意して対応しています。
予想は的中がゴールではありません。頻出テーマを日本語で先に理解しておけば、外れた英文にも「知の隣町」から入れます。2027年度なら、生成AIと仕事・教育・倫理、スマホと若者のメンタルヘルス、ジェンダー・格差・多様性、日本社会もの、ことばの変化と規範。この系統の学部は、どれもこの5つと相性が良いという点は覚えておいてください(大学別 入試対策記事のまとめ)。
川越で、国際系の併願設計を相談したい方へ
「自分の志望校はA・B・Cのどの型か」「英検はいつまでに何点そろえるのか」が気になった方は、一度お話ししましょう。受ける学部・日程・方式が決まれば、やるべき訓練も具体的に決まります。
EIMEI予備校 川越校舎は2026年6月に開校しました。川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。1対1の個別指導なので、英作文の添削量とマーク演習の配分を志望学部の形式に合わせて変えられます。ふじみ野校舎・鶴瀬校舎もご利用いただけます。
無料体験・個別説明会は川越校舎の開校特設ページから受け付けています。「国際系に興味はあるが英語だけで決めていいのか迷う」という段階の相談でも構いません。
※この記事の数字と出題内容は、EIMEIで自作した大学別入試対策読本のうち上記8大学の記述と、私大グループ別の傾向分析にもとづきます。学部の新設や方式変更が続く分野です。最新の募集要項は必ずご自身でご確認ください。
あわせて読みたい
EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
川越校舎の詳細・無料体験のお申し込みはこちら/ふじみ野・鶴瀬校舎のことは公式LINEからお問い合わせください。
