自由英作文や小論文を「一応、書けるようにはなった」という高校生・受験生と、その保護者の方に向けた記事です。EIMEI予備校の二神大輝(代表・英語科)が、答案を書いたあと、自分でどう採点して、どう直すかを手順にしてご説明します。川越校舎で英作文の相談を受けるとき、最初にお渡ししている中身です。
この記事は「書いたあと」の話だけをします
自由英作文の話は三つに分かれます。どう書くか(型と表現)、何を書くか(中身・ネタ)、書いたものをどう直すか。前の二つは別の記事にまとめてあります。
- 型・表現・語数配分・和文英訳の注意点は 英作文(和文英訳・自由英作文)の書き方
- テーマごとの論点や具体例の在庫の作り方は 自由英作文のネタの作り方
この記事は三つめだけを扱います。英作文がつらいのは書いても点がつかないからです。読解なら丸つけができ、単語なら覚えた数が見えます。でも英作文は、誰かに見てもらうまで自分がどこにいるのか分かりません。解決策は一つで、その日のうちに自分で点をつけられるようになること。添削はそのあと「仕上げ」に使えばよくなります。
自己採点は、5つの項目に分けると急にできるようになります
「自分で採点しろと言われても分からない」。全体の印象で点をつけようとするから分からないのであって、採点者が実際に見ている観点に分解すれば、高校生でも判定できます。私が演習教材で使っているルーブリックは次のとおりです。
英作文は20点(5項目×4点)
- ①立場の一貫性|最初に立場を示し、最後まで同じ立場でいるか
- ②理由の質|理由が、意見の言い換えになっていないか
- ③具体性|事実・経験・数字が置かれ、その意味が書かれているか
- ④構成と語数|型どおりに並び、指定語数の±10%に入っているか
- ⑤英語の正確さ|文法・語法の誤りが読解を妨げていないか
14点以上が合格圏です。20点満点を狙う必要はありません。
小論文は25点(5項目×5点)
- ①問いへの応答|設問が聞いていることに、そのまま答えているか
- ②立場と論証|立場を明示し、そこへ筋道が通っているか
- ③具体性と根拠|一般論ではなく、根拠のある記述か
- ④反対意見の処理|反論を扱い、しかも応答しているか
- ⑤構成と日本語|段落が機能し、日本語が正確か
17点以上が合格圏です。項目名は違いますが①〜④は実質的に同じことを見ています。だから英語の答案と日本語の答案は、同じやり方で直せます。
モデル答案と違うことは、欠点ではありません
多くの受験生が「模範解答と違う」ことを減点材料にしますが、これは誤りです。採点者はモデル答案を持っていません。あなたの答案だけを見て点をつけます。反対の立場で書いても同じ点は取れます。見るべきは結論ではなく、骨組みと具体例の置き方です。
順番も決まっています。模範解答を見る前に、自分の答案だけで採点を終える。逆にすると採点ではなく答え合わせになり、自分の癖が見えません。
採点の手順|声に出して1回、文法だけでもう1回
読み方は二段階です。
- 一度目は、声に出して通しで読む。意味が止まった箇所に印をつけるだけです。内容(①〜④)の点はここでつきます。
- 二度目は、文法の項目だけを探す。後述する11項目だけを見ます。⑤の点はここでつきます。
この二段階で、減点される箇所の大半は見つかります。文法書を引きながら全文を点検する必要はありません。
自己採点は甘くなります。対策は「時間をあける」ことだけです
自分が書いたものは、自分には意味が通って読めます。本人の頭には、紙に書かれていない補足が残っているからです。だから直後に読むと甘い点になります。対策は単純で、書いた直後ではなく翌日に読む。これだけで他人の目にかなり近づきます。日曜に書いて月曜に採点する、と曜日で固定すると続けやすいです。
減点されるパターン|中身の側(①〜④)
失点はほとんど同じ形をしています。自分の答案に同じ傾向がないかという目で読んでください。
①立場|「便利だが危険だ」で終わる
最も多い失点です。「AIは便利だが危険でもある」「制度も意識もどちらも大切だ」「時と場合による」。両論併記のまま終わると、①は0〜2点になります。
両方に触れること自体は悪くありません。問題は自分の線引きを示していないことです。「時と場合による」と書いたなら、どんな場合かを必ず書く。「どちらも大切だ」はどちらを先にやるかに言い換えると答案になります。二者択一を拒む統合型を選ぶなら最初の1文で宣言すること。途中から変わった答案は、立場が揺れたと判定されます。
①立場|設問の要素を落とす
自分では気づきにくい失点です。
- 設問が「用途と倫理的問題の両方」を求めているのに、片方しか書かない
- 「最も深刻な問題は何か。また誰が主導すべきか」の後半に答え忘れる
- 「リーダーシップの観点から述べよ」という観点指定を落とす
- 問いの動詞が Why(理由を聞いている)なのに、賛否を書いてしまう
いずれも内容がどれだけ良くても①が0点になる大学があります。対策は書き始める前です。設問文の中の「動詞」と「and / また」に丸をつけてから書く。これだけで防げます。
②理由|意見の言い換えを理由にしている
二番目に多い失点です。
- 「SNSは危険だから規制すべきだ」→ 危険だという判断は意見であって理由ではありません
- 「男女は平等であるべきだから」→ 設問の前提を繰り返しただけで、②は0点
- 「意志が強いから続いた」→ 習慣を意志で説明すると、②も③も伸びません
確認はひとつです。because のあとが、主張の言い換えになっていないか。なっていたら、そこに事実を1つ差し込む。「SNS企業の収入は広告で、利用時間が長いほど売上が増える」のように、誰が読んでも事実だと分かる文を1つ置けば②は動きます。
③具体性|事実を出しただけで、その意味を書かない
具体例は書いてある。でも点が伸びない。理由は、③は「事実+その事実が何を証明するのか」で初めて成立するからです。実例を1文で出したあと、「だから何が言えるのか」を1文足してください。「着物・和食・アニメ」のように列挙して止まるのは評価されません。1つに絞って意味を書くほうが点は高くなります。
逆に、具体例が一つもなく最初から最後まで一般論、という答案は③が0〜2点です。「美しい自然があります」「一人ひとりが意識を変えるべきだ」で終わる答案は、ここで大きく落としています。
③具体性|資料つきの設問は、失点の形が決まっています
グラフや表がついた設問では、失点が三つに集中します。資料の数字を一つも引用しない(③が0〜2点)、描写に3文以上使って意見の分量が足りなくなる(④が2点)、資料にない数字を作って書く。
三つめは特に重い失点です。事実の捏造は、この分野で最も重い減点だと考えてください。研究に触れるときも「ある研究によれば」と書けば十分で、出典を作ってはいけません。
④構成と語数|同じ理由の水増しと、描写のふくらみすぎ
200語の設問で理由を1本しか立てず、同じ理由を言い換えて字数を埋める。読み手にはすぐ分かります。200語なら理由は2本、と決めてください。
自分の経験を書く型では逆の失敗が起きます。出来事の描写に語数の大半を使い、学んだことが最後の1文だけになる。描写は全体の半分までが目安です。そして「いい経験になりました」で終わる答案は、そのあとに何を変えたかがなければ2点以下です。
反対意見|譲歩したまま次へ進む
「たしかに〜という意見もある」と書いたあと、反論せずにそのまま次の話題へ行く。譲歩は、応答とセットで初めて加点されます。
もう一つ見落としやすいのが反論を弱い形に作り替えていないかです。自分が勝てる相手を作って倒しても点は伸びません。「相手側の最も強い言い分は何か」を1つ書き出してから譲歩の文を作ると改善します。
減点されるパターン|英語の側(⑤)は11項目だけ見れば足ります
⑤で実際に多い誤りは、数えるほどしかありません。自己採点のときは、この11項目だけを見てください。これ以外の細かい誤りは、入試の採点ではほとんど響きません。
- 主語の欠落|× Because is dangerous. → ○ Because it is dangerous.(日本語では主語を省けますが、英語では省けません)
- 三単現の s|× The government need to act. → ○ needs。he / she / it の主語だけ拾って確認します
- 不可算名詞|× many informations → ○ much information。ほかに advice、homework、research、equipment
- people|× People is … → ○ People are …(× peoples は「民族」の意味になります)
- because の品詞|× because of he is young → ○ because he is young / because of his age(of のあとは名詞)
- カンマつなぎ|× It is cheap, it works well. → ○ and を入れるか、ピリオドで切る
- almost|× Almost students have a phone. → ○ Most students … / Almost all students …
- should のあと|× should to protect → ○ should protect(must / can も同じ)
- 時制の混在|× Last year I go to … → ○ went。経験は過去形、意見は現在形と決めておきます
- But の連発|× But … But … → ○ However を1回だけ使い、あとは and / so で処理します
- I think の重複|冒頭と結びの2回まで。途中は断定して書きます
この11項目を印刷して書き終えた直後に点検し、それ以上はやらないと決めるのが続けるコツです。
語数の数え方|目分量は必ずずれます
④は、数え方を知らないだけで落とすことがあります。
- a / the / and も1語です
- ハイフンでつないだ twelve-year-old は1語
- don’t は1語
- 算用数字で書いた場合(9,000,000)も1語
そして必ず実際に数えてください。速い方法は決まっていて、1行あたりの語数を最初に数えておき、行数を掛けて概算し、最後の行だけ実数を足す。これなら30秒で終わります。
時間配分|見直しの時間を、最初から取ります
「時間内に書き切れない」という相談も多いのですが、目指すべきは時間内に見直しまで終えることです。目安は次のとおりです。
- 50語|構想2分・執筆6分・見直し2分(計10分)
- 100語|構想3分・執筆9分・見直し3分(計15分)
- 200語|構想5分・執筆15分・見直し5分(計25分)
一番伝えたいのはこれです。見直しゼロで書き切った答案より、8割書いて見直した答案のほうが点は高くなります。⑤の11項目は見直し2〜5分で拾える失点だからです。練習のときからタイマーを使い、構想の数分で紙の端に型(O / R1 / E1 / R2 / E2 / O)を書いてから英語に入ってください。
書き直しの手順|同じ問題を、もう一度書く
採点しただけでは点は伸びません。伸びるのは書き直したときです。
- 1回目の点数を、5項目ごとに記録する。合計点より、どの項目で落としているかが重要です。
- 満点に届かなかった項目に、正の字で1画ずつ書き足す。10本、20本と積み上げると、最も画数の多い項目が出てきます。それがあなたの弱点です。
- 弱点に対応する手当てだけをやる(次の一覧)。全部やろうとすると続きません。
- 同じ問題を、もう一度書く。1回目との差が、伸びた分です。
弱点別・次にやること
- ①(立場)|書き出す前に日本語で結論を1文だけ書いてから英語に移る。書き終えたら最初と最後の文だけを読み返す。
- ②(理由)|because のあとが意見の言い換えになっていないか毎回確認し、事実を1つ置く癖をつける。
- ③(具体性)|頻出テーマごとに「使える事実」を1つずつ暗記する。自分の経験を日本語で15本分用意する。
- ④(構成と語数)|書く前に型を紙の端に書く(O / R1 / E1 / R2 / E2 / O)。1行あたりの語数を数えておく。
- ⑤(英語)|前述の11項目だけを、書き終えた直後に必ず点検する。それ以上はやらない。
③が弱点の人は、書く練習より先に材料集めを(自由英作文のネタの作り方)。④が弱点なら、型をもう一度確認するのが近道です(英作文の書き方)。
小論文も、まったく同じ手順で直せます
減点の形は同じです。書いた翌日に、この5つを答案に当ててみてください。
- 「制度も意識も大切だ」で終わっていないか
- データか実例が1つ以上あるか
- 反論を、自分が勝てる弱い形に作り替えていないか
- 「一人ひとりが気をつけるべきだ」で締めていないか
- 提案型なら、提案を1つに絞り、効果を2つ挙げたか
なお、自分の経験を書く型ではきれいにまとめすぎないほうが有利です。できていないことを1つ書いてあるほうが、かえって信用されます。書き方そのものは 小論文の書き方 をご覧ください。
この採点項目は、総合型選抜・学校推薦型選抜の英語課題や小論文でもそのまま使えます(総合型・学校推薦型の集団討論・プレゼン・英語)。
週のまわし方|週1時間で回ります
続けるための形は単純です。週2本、タイマーを使って書き、採点は翌日。落とした項目に印をつけ、月末に画数の多い項目へ手当てをする。月に1本は2回目を書く。1本25分+採点10分なので、週に1時間ちょっとです。
慣れてきたら、志望校の過去問で実際に出た自由英作文を解いてください。形式が違っても、採点は同じ項目でできます。語数指定が「80語程度」なら100語型、「150語以上」なら200語型の骨組みを使えば対応できます。
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「書いてはいるが、点が取れているのか分からない」という相談が一番多いです。その場合は1問書いてもらい、5項目のどこで落としているかを一緒に見るところから始めます。答案がまだない方は、日本語で論点をメモするところからで大丈夫です。
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