【川越の高校生へ】地理の頻出単元と大学別対策|7大学の出題データで統計・読図・論述の優先順位を決める

こんにちは、EIMEI予備校の二神です。

この記事は、川越とその周辺の高校に通う高校生・浪人生で、地理を受験科目にするか迷っている人、あるいは「どの単元から手をつけるか」で止まっている人に向けて書いています。

最初に、地理だけにある前提を。地理は、そもそも受験科目として選べない大学があります。単元の優先順位より先に、この確認が要ります。EIMEIでは10大学について入試対策読本を自作しており、その制作過程で集めた地理の過去問分析データを単元別に並べ替えました。以下はそこから優先順位に関わる部分を取り出したものです。

先にお断り|大学をまたいだ数字の比較はできません

以下に出る「7大問」「3/3」といった数字は、各大学の分析資料に記載された分母・分子をそのまま使ったものです。分析した冊数も大問の数え方も大学ごとに違うので、読み方は2つに限ってください。同じ大学の中で単元どうしを比べるか、同じ単元で大学ごとの「出る・出ない」を個別に見るかです。対象年度はおおむね2022〜2026年度。法政・学習院・立教・明治は年度別・大問別の詳細データがある一方、早稲田は教育学部A方式のみ、慶應義塾は商学部A方式前期の3冊のみ、東洋は短い要約にとどまるため参考程度の扱いです。

ステップ0|「その学部・方式で地理が使えるか」を先に確かめる

10大学のうち地理を入試科目として確認できたのは7大学で、そのすべてが学部・方式を限定した上での話です。「全学部・全方式で使える」大学は、参照した資料の中にはありませんでした。

  • 早稲田|教育学部A方式のみ。
  • 明治|商・政治経済・文・農学部食料環境政策の4学部。
  • 立教|全学部共通入試ですが2月8日の1回のみ
  • 法政|T日程は文学部地理学科志望者のみ(2026年度はT日程の冊子から地理の設定自体が消滅)。A方式は複数の学部群で共通問題として選択可。
  • 慶應義塾|商学部A方式前期のみ。文・法・経済A方式の地歴は世界史・日本史の2択で、他学部には地理の科目がありません。
  • 学習院|法学部コア・経済学部コア・文学部コアの3方式のみ。国際社会科学部と各学部のプラス試験では選べません。
  • 東洋|文学部の複数方式(全問マークシート方式)。

残る3大学です。青山学院は全学部日程の地理歴史・公民が「世界史探究」「日本史探究」「政治・経済」の3科目に限られ、「地理総合、地理探究」が選択肢にありません(2026年度入学者選抜要項で確認)。個別学部日程は資料の範囲で確認できずデータなしです。中央も確認できた5学部共通選抜・学部別選抜の選択科目が同じ3科目で、地理という科目名が登場しません(全方式を網羅した確認ではありません)。東京電機は地理関連の分析資料が一件も存在せず、データなしです。

大事なのは、「7大学で使える」ことと「7大学のどの学部でも使える」ことは別の事実だという点です。第一志望が地理を選べない大学なら、別科目での受験を検討することになります(日本史・世界史の勉強法日本史はどの単元から固めるか)。あわせて、地理選択者は演習機会そのものが少ない点も織り込んでください。立教は1回勝負、慶應義塾は1本のみ、学習院も演習素材は年3冊です。

優先度1|統計表・グラフの読み取り

単元ではなく技能ですが、志望校が決まる前でも始めてよく、最初に着手すべきはここです。

  • 明治|4学部・全年度を通じて「最重量」と明記。
  • 学習院8冊すべてで統計表を使用。白地図・略地図が8冊中7冊、雨温図3回、人口ピラミッド2回。
  • 法政統計表9/11冊(82%)、グラフ8/11冊(73%)
  • 立教|2025年度の1年だけで雨温図・農産物分布図・折れ線・散布図・人口ピラミッド・地形図・空中写真などを使用。

強い例外があります。慶應義塾商学部A方式前期は、2024〜2026年度の全24ページを通じて地図・統計表・グラフ・写真・雨温図が1枚も掲載されていません。統計は文章中に数値として埋め込まれ、「統計集を読む力」ではなく「統計の順位・概数を覚えている力」が要求されると評価されています。

つまり、資料を読み解く演習が要る大学と、数値・順位の暗記が優先される大学があります。慶應商だけを受ける人以外は、雨温図・人口ピラミッド・散布図など資料の種類ごとに「何を見て判断するか」を言語化する演習から始めてください。

優先度2|人口・都市

系統地理のうち大学差がいちばん小さい分野です。明治商 人口3/3、明治政治経済 人口・民族・移民3/3、明治文 人口・都市2/3、早稲田 都市・人口2/3。学習院は都市・人口5大問で系統地理20大問の中で最多、立教も中核分野と明記。東洋も人口・人文地理(民族・言語・宗教、少子高齢化)の頻度が高いとされています。

この分野は移民・民族・観光と組み合わされた融合型の軸になりやすいのも特徴です。志望校が固まる前でも、ここに時間を使って損はしにくいと考えています。

優先度3|自然地理(地形・気候)

ここから大学差がはっきりします。

  • 法政地形7大問・気候5大問で33大問全体の36%を占め、系統地理の最優先分野と明記。
  • 早稲田地形3/3(自然災害を含む)、気候2/3。日本を扱う大問が毎年1つあり、2024年度は風水害と地震、2026年度は能登半島地震と、前年に起きた災害が時事的に問われます
  • 明治文学部|自然地理(火山・氷河・海岸・扇状地)を「先に固めるべき分野」と明記。立教は大問Ⅰで気候、学習院は気候・地形3大問。
  • 慶應義塾商学部A方式前期|系統地理の中でも後回しでよい分野に分類。

最優先とする大学と後回しでよいとする大学が同じ「自然地理」で並存しています。志望校が決まっているなら、ここは時間配分を大きく動かしてよい単元です。なお自然地理は地誌の大問に溶け込む形でも出ますので、系統地理の章立てだけで学習すると取りこぼします。

優先度4|産業(農業・工業・貿易)

産業は学部の性格をそのまま映します

  • 慶應義塾商学部A方式前期工業・貿易・経済統合が9大問中7題で最頻出
  • 明治|商学部は貿易・経済統合3/3、政治経済学部は貿易・経済地理3/3と農業・食料2/3、農学部食料環境政策学科は農業・食料・土地利用の統計表が全年度で出題の骨格
  • 立教|農業・食料、貿易が中核。一方工業は相対的に薄いと明記され、単独の大問テーマになったのは4年間で2023年度のみです。
  • 早稲田は農林水産2/3・貿易交通2/3、法政と学習院はいずれも農林水産4大問。

商・政経系統なら貿易・経済統合、農学部系統なら農業・食料から入る。学部・学科名から重心を推測し、過去問データで確認する、という順番が効率的です。

資源エネルギーは「大学で最も割れる」単元

出る側は明治商学部3/3、明治農学部食料環境政策学科3/3、東洋も資源・エネルギー(石油・石炭・天然ガス・レアメタル)が2023年の3日程で連続出題出ない側は法政が33大問中資源エネルギー1大問のみ、学習院も資源1大問のみで系統地理の中で最少です。

学習院の系統地理20大問の内訳は、都市・人口5、農林水産4、環境問題4、貿易・交通4、気候・地形3、工業2、資源1、村落・居住1の順です。同じ大学の中で「最多」と「最少」がここまで開くので、志望が決まっていれば資源エネルギーは後回しにできる場合があります。

地誌|配分も重視する地域も、大学ごとに違う

  • 学習院43大問中23大問(53%)が地誌で系統地理を上回ります。アジアが約11大問と圧倒的で、ヨーロッパ・ロシア4、アメリカ大陸3、日本3、アフリカ2、オセアニア2。
  • 法政|33大問中13大問(39%)で系統地理が優位。ヨーロッパ4、アジア4、アメリカ2、その他3と分散型
  • 早稲田|アジア3/3、ヨーロッパ2/3、アメリカ・アフリカ・ラテンアメリカ各1/3。明治は毎年2地域前後です。
  • 立教|2023年度北欧、2024年度イタリアと独立地誌大問が続いたのに、2025・2026年度は独立した地誌大問が消滅し、系統地理のテーマに組み込まれる形へ移行しました。
  • 慶應義塾商学部A方式前期|国名・都市名を語群から選ばせる形が中心で、深い地誌知識より世界地図上の位置と主要産業・資源の対応づけが問われます。

共通点はアジアが相対的に厚いこと。ただし立教のように「地誌だけを切り出して覚える」学習法が通用しにくくなっている大学もあり、系統地理のテーマと結びつけて覚えるのが安全です。

地形図読図|最も明暗の分かれる技能

2万5千分の1地形図や新旧地形図の比較、地形断面図の読み取り。地理に固有の技能で、過去問での読図練習そのものが必要になります。そして要る人と要らない人が分かれます。

  • 立教|大問Ⅲとして4年連続必出、配点は約3分の1。新旧地形図の比較・空中写真・現地写真の組み合わせが定着しています。1回勝負のため、資料は「地形図を落とした時点で挽回不能」と明記しています。
  • 明治文学部大問Ⅰに3年連続必出。傾斜計算・離水年代計算まで問われ、4学部で最も重量級。農学部食料環境政策学科大問Ⅳに3年連続必出で、地図記号・距離・面積計算が定番。一方商学部は3年とも出題なしです。
  • 法政|法学部系とT日程は11冊中5冊(45%)で読図が中核経済学部系は読図ゼロで空所補充中心です。
  • 慶應義塾商学部A方式前期3年間ゼロ学習院8冊中1冊のみ。早稲田・東洋は明示的な集計がなくデータなしです。

同じ明治でも文学部・農学部は必出、商学部はゼロ。「大学名」ではなく「学部名・日程名」まで一致してはじめて、読図対策の要否が決まります。志望が固まっていなければ、必出の大学(立教、明治文・農)を受ける可能性で判断してください。

答案の形式|同じ単元が出ても、必要な練習は別物

  • 学習院全問記述でマークシートは配付されません(日本史・世界史はマーク+記述のセットなのに、地理だけ記述のみ)。「枠内で説明しなさい」型が各冊10問前後、字数指定論述(50〜200字)が毎年出ます。
  • 東洋全問マークシート方式で、記述式・論述は一切ゼロ。7大学の中で唯一の形式的特徴です。
  • 立教|マーク:記述がおよそ5:5で最も記述が重いと明記。ただし2023〜2025年度に毎年3〜4問あった論述と断面図作図は2026年度にゼロになりました。
  • 法政全問記述式。説明記述あり9/11冊、「枠内で字数不問」型が8/11冊で最多。
  • 慶應義塾商学部A方式前期|マークと記述の併用が3年間固定で、記述は一問一答が大半。早稲田論述3年間ゼロ(記述は用語・地名・数値のみ、分量は多め)。
  • 明治|学部で別物です。商学部は論述が毎年1題のみ(2026年度は100字以内)、政治経済学部は4学部で最多の字数指定型で年々増加(2024年度60字+80字→2026年度60字×4+40字×1)、農学部食料環境政策学科は論述が3年とも一切なし

論述型(学習院、明治政治経済など)を受けるなら、字数指定の中で地理的な因果関係を説明する練習を早めに始めてください。「なぜその現象が、その場所で起きるのか」を50字・100字で書ききる訓練は、直前期からでは間に合いません。考え方は世界史の頻出単元と大学別対策で書いた論述の組み立てとも重なります。

時事性|直近1〜2年のニュースが、そのまま素材になる

地理は時事的な出来事が出題に反映されやすい科目です。早稲田は日本を扱う大問で前年の災害が問われます。学習院は新聞記事・ニュース素材が2024〜2026年度の全年度で使われ、2026年度は2025年6〜7月配信のニュースを素材にするなど時事性が突出しています。東洋も2022年度は全6本中4本でコロナ禍と観光・小売・人口移動の統計が絡み、2023〜24年度はエルニーニョと食料価格高騰、外国人労働者といった題材が増えています。一方慶應義塾商学部A方式前期は順位・概数の暗記型が中心で、時事素材はあまり目立ちません。

やり方は簡単です。週に1回、10分だけ。自然災害・国際情勢・資源価格・人口に関わるニュースを1本選び、「どの単元の話か」「地図上のどこか」を一行で書く。これだけで出題への当たりが変わります。

結局、どの順番でやるか

  1. 募集要項で「その学部・方式で地理が使えるか」を確認する。ここで使えないと分かれば、単元の話は意味を持ちません。
  2. 統計表・グラフの読み取りを始める。慶應商が第一志望の人だけは「順位・概数の暗記」を優先します。
  3. 人口・都市を固める。大学差が小さく、融合型の軸にもなります。
  4. 自然地理と産業を志望学部に合わせて配分する。法政・早稲田教育なら自然地理を厚く、商・政経系なら貿易・経済統合、農学部系なら農業・食料。
  5. 地誌はアジアから。ただし系統地理のテーマと結びつけて覚える。
  6. 地形図読図と論述は、志望校が決まった時点で一気に。立教・明治文・明治農・法政法学部系なら読図を最優先、学習院・明治政経なら論述を最優先。慶應商・東洋はどちらも優先順位を下げられます。

逆に避けたいのは「地理は暗記科目だから教科書を頭から通読する」という進め方です。データが示しているのは、地理の得点が資料を読む技能と、志望校の形式への慣れに強く依存するということです(大学別 傾向と対策まとめ)。

そして、この整理は出発点にすぎません。直近数年分の過去問を自分の手で解き、ここに書いた傾向が自分の受ける年度・方式にも当てはまるかを確認してください。立教の2026年度のように、前年まであった論述と作図が一年で消えることもあります。

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二神大輝