こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、川越とその周辺の高校に通っていて、「志望校をどう決めればいいか分からない」まま勉強を続けている高1〜高3生と、その保護者の方に向けて書いています。偏差値表を眺める時間ばかり増えて何も決まらない状態を、決める順番を固定して終わらせるための記事です。
結論から書きます。志望校は偏差値から決めるものではありません。「今の実力で半分は届く帯」を仮置きし、その帯の過去問を1年分解いて、取れたら一段上げる。大学名を最初に決めようとするから決まらないのです。
前提:志望校は「仮置き」でよく、変えるのが普通です
学校で書く進路希望調査は、指導や集計に使う書類で、将来を縛る契約ではありません。文部科学省のキャリア教育の手引きでも、進路指導は「出口を決めさせること」ではなく、情報を集めて計画を立て直す力を育てることだとされています。書き換えることが前提の書類です。
数字も同じです。リクルート進学総研「進学センサス2025」(大学進学者2万7千人以上が回答)では、興味を持った大学は平均4.67校、資料を取り寄せたのは6.29校、最終的に出願したのは2.42校。興味を持った学校の半分以上は、出願しないまま候補から外れます。それが普通の経路です。
同じ調査で、不安の1位は「将来やりたいことが分からない」(33.5%)。ただ、進路の心理学では興味は「自分にもできそうだ」という感覚のあとに生まれることが分かっています。順番が逆なのです。だからこの手順では、やりたいことの確定を最初に置きません。
偏差値と判定の、正しい読み方
偏差値は、その模試を受けた集団の中での自分の位置です。受験者層の広い模試ほど高く出て、難関大志望者の多い模試ほど低く出ます。違う模試の偏差値を比べても意味がなく、公式の換算表もありません。見るのは「同じ模試での自分の推移」だけです。
判定の定義も会社ごとに別物です。C判定はある大手模試で合格可能性50%、別の大手模試で40%以上60%未満。定義上は五分五分で、「だめ」ではありません。D判定も河合塾で35%、ベネッセで20%以上40%未満、3人に1人は受かります。
合格最低点にも落とし穴があります。換算後の点数を公表している大学があり(小数点のついた最低点は、たいてい換算後です)、設問ごとの配点を公表しない大学も多い。「6割か7割か」の粗い目安として使うのが正しい使い方です。
第1段:今のレベル帯を決める(30分)
最初にやるのは、大学名を決めることではありません。どの「帯」から始めるかを決めるだけです。私立なら「早慶上理」「GMARCH」「成成明学獨國武」「日東駒専」「大東亜帝国」がそのまま帯になっています。国公立なら共通テストの得点率の帯(8割以上、7割台、6割台)です。
帯で見る理由は二つ。同じ帯の大学は入試の難しさと出題の質が近いこと。そして、1校ずつ並べると選択肢が多すぎて決められなくなることです。
- 直近の模試の成績表を出し、志望校欄の判定を見る
- C判定が出ている大学がどの帯にあるかを確認する。志望校欄になければ、偏差値から帯の一覧表(模試の冊子やウェブ)で探す
- その帯を「出発点の帯」と決めて書き出す。まだ大学名は決めない
- 模試未受験の高1・高2は、定期テストの校内順位と学校の進学実績から仮に置く
C判定の帯なら、過去問を解いたときに解ける問題と解けない問題が混ざる状態になります。これが学習にいちばん向いた状態です。A判定の帯では診断になりませんし、E判定の帯では、解けなさが実力の情報ではなく絶望の材料になります。高すぎる帯を目指すのは自由ですが、出発点は別です。
第2段:過去問を1年分、診断として解く(半日)
ここが手順の中心です。過去問は「仕上げ」ではなく「最初」に使います。合否を占うのではなく、自分の位置を知って次の一段を決めるためです。
- 出発点の帯から、学部系統が合いそうな大学を1校選ぶ(迷ったら、その帯で最も一般的な大学で可)
- 直近1年分を、受験科目すべて、本番と同じ時間で解く。途中で答えを見ない
- 採点し、科目ごとに「得点率」「時間内に到達したか」「落とした分野」「落とし方」を書き出す
- 合格最低点と比べ、粗く「7割に届いたか」で判定する
素点でおよそ7割を「この帯は届く」の目安にします。多くの私立大学の合格ラインは換算前の素点で6割から7割の間にあり、年ごとの変動を吸収するには7割が安全です。7割に届いた科目が過半数なら、次の模試を待たずに一段上げてかまいません。
初めての過去問で点が取れないのは普通です。大事なのは原因をどこに置くかで、「能力がない」と説明する人は無力感に向かい、「やり方を持っていなかった」と説明する人は次の行動に向かうことが分かっています。だから落とし方を知らなかった/使えなかった/時間切れ/ミスの4つに分けて数えてください。どれも能力ではなく、次にやることの話です。
分野の優先順位は、大学ごとの出題のクセを知ると早く決まります。EIMEIでは東洋・青山学院・中央・東京電機・学習院・法政・慶應・明治・立教・埼玉・成蹊・早稲田について、問題冊子を通読して大学別の入試対策読本にまとめました。帯が決まったら大学別の傾向と対策まとめから該当大学の記事を読んでください。
第3段:学部・学科は「やりたいこと」ではなく「経験」で絞る(1〜2時間)
レベル帯が縦の軸なら、学部学科は横の軸です。興味は「できそうだ」の感覚のあとに生まれるので、何も経験していない段階で「やりたいことは何か」と問うても答えは出ません。答えが出ないのは欠点ではなく、順番が違うだけです。代わりに、小さな経験を2つか3つ作って、感触を比べます。
- 気になる学部系統に2つまで印をつける(3つ以上は絞れていない印です)
- 出発点の帯にある大学のカリキュラム表(1年次の必修科目)を1校分読む。「面白そう」ではなく「これなら4年間続けられそう」で判断する
- その系統の模擬授業を1つ受ける(志望帯の2〜3校が目安。オープンキャンパスの参加率は9割で、行かなかった人の後悔理由の1位は「必要性を感じなかった」)
- 2つの系統に「続けられそう度」を5段階でつけ、高いほうを仮の学部学科軸にする。同点なら、受験科目が今の得意科目に近いほうを選ぶ
この段を飛ばすと何が起こるかは、統計で分かっています。文部科学省の調査では、大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」(22.0%)で、学力不振(7.3%)の3倍。学部学科を調べるのは丁寧さのためではなく、4年間を守るためです。
入試科目の傾向も材料になります。文系(文・人文・法・社会)は英・国・地歴公民で国語重視方式が多く、経済・経営・商は数学選択が有利な大学があります。外国語・国際は英語外部試験の利用が広い。教育は国公立が共通テスト5〜7科目、私立は3科目。理学・工学は英・数(Ⅲまで)・理科で工学は記述式が多く、情報系は文系型も理系型もあります。同じ「経営学部」でも数学を多用する大学とそうでない大学があるので、絞ったら必ずカリキュラム表を開いてください。
通学時間と費用は、絞れてから「一度だけ」調べる
最初から費用と通学時間で候補を切ると、実力も系統も定まらない段階で選択肢だけが減ります。調べるのは帯と系統が仮に決まったあと、一度だけです。
- 初年度納付金と4年間の総額を、公式サイトで1ページ分だけ調べる。金額は大学・学部・年度ごとに違うので、必ず志望校の公式情報で確認してください。まとめサイトの数字は要項で裏を取ること
- 通学時間を、乗換案内で片道1回だけ調べる。自宅通学か下宿かで年間の費用が大きく変わるので、金額より先に決まる項目です
- 調べた結果を、保護者と1回だけ共有する。一度も話さないと、合格したあとで問題になります。意見が合わないときは「現在の帯」「過去問の得点率」「3校の構成」「費用と通学時間」を1枚にして見せると、話が気持ちから事実に移ります
川越からなら、都内の大学でも自宅から通える範囲に入るところは少なくありません。逆に、同じ大学でも学部でキャンパスが違い、1・2年次と3・4年次で移動する大学もあります。「大学」ではなく「学部のキャンパス」で片道時間を調べてください。
第4段:一段上げる、戻す(模試ごとのループ)
- 出発点の帯の過去問で受験科目の過半数が7割に届いたら、同じ学部系統で一つ上の帯の大学の過去問を1年分解く
- 上の帯でも7割に届いたら、さらに一つ上へ。届かなければその帯にとどまり、落とした分野を埋めて別年度を解く
- 模試のたびに「現在の帯」と「判定」を更新する。上の帯でC判定が出たら、その帯を「現在の帯」にする
- 出願が始まる高3の秋に、「現在の帯」を実力校、その一つ上を挑戦校、一つ下を安全校として次の段へ進む
見落とされやすいのは戻す判断です。上の帯で5割しか取れなかったとき、多くの人はそこにとどまろうとします。しかし目標設定の研究では、その目標に取り組む能力と知識がすでにあることが、難しい目標が機能する条件です。満たさない目標は、むしろ成果を下げます。
「ストレッチ目標の逆説」という言葉もあります。手の届かない目標がうまく働くのは余裕がある人だけなのに、実際に飛びつくのは余裕のない人のほうが多い。判定が厳しいときほど「一発逆転で難関校」と考えたくなり、それがいちばん危ないのです。戻すことは後退ではなく、目標を機能する位置に置き直すこと。E判定が続くときも、「志望校を下げる」ではなく「出発点の帯を決め直す」と考えてください。
目標を書く言葉も変えます。研究では避ける型の目標(落ちたくない)は試験不安を高め、成績を下げることが分かっています。「E判定を脱したい」ではなく「次の帯の英語で7割」。
第5段:実力校・挑戦校・安全校の3階層をつくる(高3の秋に1日)
最後の段は高3の秋に一度だけ。ここで初めて「大学名と方式」が確定します。進学センサスによれば、大学進学者の平均出願校数は2.42校で、1校だけに出願した人が48.4%です。併願を増やせば安心が増えるようで、実際は受験料、移動、日程の重なり、演習量が校数分だけ増えます。帯の考え方なら、現在の帯から実力校を1校、一つ上から挑戦校を1校、一つ下から安全校を1校の3校で閉じます。同じ大学に方式を変えて2回出願するのも、対策を増やさずに合格機会を増やす方法です。大学ごとの仕組みで差が大きいので、併願校の決め方に、対策が重なる併願と増える併願の見分け方を詳しく書きました。3階層が決まったら、そちらを読んでから出願校を確定させてください。
方式は2つまでに絞る
一般選抜、共通テスト利用、学校推薦型、総合型があり、同じ学科に複数方式で出願できることも多い。全部を検討すると決められなくなるので、使う方式は2つまで。材料は3つです。
- 学校の評定平均と、指定校推薦の枠があるか(私立の学校推薦型入学者の約6割は指定校です)
- 志望理由書・小論文・面接に取り組む時間があるか
- 共通テストを受けるか(共テ利用は個別試験なしで複数校に出願できる反面、合格ラインは高めです)
文部科学省の令和7年度の集計では、大学入学者全体の53.6%が学校推薦型選抜か総合型選抜で入学しており、私立大学に限ると61.6%。一般選抜だけを前提に「偏差値が届かないから無理」と考えるのは、入口の半分を見落としていることです。
4つの締切を「いつ・どこで・何を」で固定する
締切を逃す失敗は毎年起きます。防ぐのは意志の強さではなく、行動を状況に結びつけることです。「もし◯月◯日の朝になったら、登校前に◯◯大学の出願サイトを開く」のように、いつ・どこで・何をするかを1文で先に決めておくと達成率が大きく上がることが、90以上の研究をまとめた分析で確かめられています。書く締切は出願締切・試験日・合格発表・入学手続き締切の4つ。手続きの締切は、合格しても逃せば無効になるので最重要です。
いつまでに決めるか:学年別の目安
高3の秋から始めても回りますが、高1・高2から始めれば段の数を増やせます。
- 高1(年に3時間)…系統に2つ印をつける。オープンキャンパスに1回行く。定期テストの校内順位から仮の帯を置く
- 高2前半(半日)…模試を1回受け、C判定の帯を確認する。文系・理系と受験科目を決める。系統を2つに絞る
- 高2後半(半日)…出発点の帯の過去問を1年分、解けそうな科目だけでよいので解く。「知らない/使えない」を区別する
- 高3春〜夏(模試ごとに半日)…ループを回す。夏休みに挑戦校の過去問を1年分。推薦・総合型なら志望理由書に着手
- 高3秋(1日)…3校と方式を確定。4つの締切を書く。以降は大学別の過去問演習に移行
- 高3冬(週に1回の見直し)…「現在の帯」を動かさない。過去問は直近3年分を古い順に。制度を再確認する
冬に帯を動かさないのは、変更が対策の分散に直結するからです。秋に確定させるために、夏までにループを回しておく。これが、いつまでに決めるかへの答えです。大学別の演習に移る段階では、東洋大学や東京電機大学の記事のように、大学ごとに「拾う問題・後回しにする問題」を確認してから始めてください。
1枚にまとめると、やることは8行です
- C判定が出ている帯を「出発点の帯」として書く(大学名はまだ決めない)
- その帯から1校選び、過去問を1年分、本番と同じ時間で解く
- 得点率と「落とし方」の4分類を書き出す
- 系統に2つ印をつけ、カリキュラム表を1校分読み、5段階で比べて1つにする
- 受験科目の過半数が7割に届いたら一段上げる。届かなければ戻す
- 学費と片道の通学時間を一度だけ調べ、保護者と共有する
- 高3の秋に、実力校・挑戦校・安全校の3校と方式(各2つまで)を確定する
- 4つの締切を「いつ・どこで・何を」の形で書く
この8行が埋まれば、志望校は決まっています。埋まらない欄が「次に調べること」です。逆に、全大学の偏差値ランキング比較、就職率・年収の比較、違う模試の偏差値の換算、やりたいことの確定は、いまやらなくてよいこと。入試制度・日程は毎年変わりますので、最後は必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。
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EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
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