この記事は、明治大学を第一志望または併願先に考えている高校生・既卒生と、その保護者の方に向けたものです。「明治の英語をどう対策するか」が決まらないまま秋を迎えた人に読んでほしい内容です。
先に結論を書きます。明治大学に「明治の英語」という一つの試験はありません。学部と方式の数だけ別の試験があり、ここを取り違えると努力がそのまま本番からずれます。
明治の英語には、学部をまたぐ共通問題が一つもありません
明治の一般選抜には二つの入口があります。学部ごとに別の問題を解く学部別入学試験と、全学部が同じ問題を解く全学部統一入学試験です。この二つは試験日も問題も別で、学部別の傾向分析を全学部統一に当てはめることはできません。
学部別のほうは、さらに細かく分かれています。私が自作している明治大学の入試対策読本では、2024〜2026年度の学部別入試の英語の問題冊子10学部ぶん29冊を確認しました。その結果、複数の学部が同じ問題を使っている組み合わせは一つもありませんでした。冊子の表紙には単独の学部名だけが印字されています。つまり明治の過去問は、受ける学部のものだけが本番と同じ形式です。
配点も違います。英語は文学部と情報コミュニケーション学部が100点、法・商・政治経済・経営・農が150点、理工と総合数理が120点、国際日本学部が200点で満点350点の57%を占めます。同じ大学の中で英語の重さが倍違うのです。以下の配点・試験時間は2026年度のもので、毎年変わりますので自分が受ける年度の要項で必ず確認してください。
学部・方式ごとの英語の中身
法学部/商学部/政治経済学部/経営学部
法学部はⅠ・Ⅱとも長文で、文法語法も会話文も3年とも出ていません。150点・70分。毎年出るのは下線部の言い換え選択(5〜9問)、英問英答(3〜5問)、内容一致(3〜5問)、日本語50字以内の要約・説明。和訳・英訳・自由英作文はゼロです。
商学部はⅠ文法語法・語彙14〜15問、Ⅱ空所補充8〜9問、Ⅲ・Ⅳが長文。学部別方式150点、英語4技能試験利用方式は300点に傾斜し、どちらも80分。記述は動詞の語形変化8語のみですが、冊子の表紙に「あいまいな綴り方は不正解とする」と明記されています。総語数は文系4学部で最多です。
政治経済学部はⅠ長文、Ⅱ長文、Ⅲ会話文の空所補充15問で3年とも同じ。150点・60分に対して設問が60〜65問あり、1問1分を切ります。記述は語形変化4語と日本語説明(30字→15字→25字)だけで、長い記述の練習は要りません。
経営学部は150点・70分。2024・2025年度がⅠ長文、Ⅱ長文、Ⅲ文法語法15問、Ⅳ会話文5問でしたが、2026年度に形式が大きく変わりました(後述)。
文学部/情報コミュニケーション学部/国際日本学部
文学部はⅠ共通語補充(記述3語)、Ⅱ語形変化・派生語(記述6〜7語)、Ⅲ長文、Ⅳ長文、Ⅴ物語の空所補充で3年とも同じ。100点・60分、1語記入の記述が計9〜10語です。Ⅰは「二つの文に共通して入る1語」で、break、even、issue、light、season、address のような多義語の知識がそのまま点になります。
情報コミュニケーション学部はⅠ長文、Ⅱ長文(内容一致8〜10問)、Ⅲ会話文の脱文挿入5問で3年とも同じ。100点・60分。記述は語群から語形を変えて1語書くだけ(4〜5語、ブロック体指定)。特徴は下線部の意味説明で、選択肢がすべて英文であることです。
国際日本学部は2024年度が5題、2025・2026年度が4題(Ⅰ長文、Ⅱ長文、Ⅲ文法語法10問、Ⅳインタビューの空所補充10問)。200点・80分。毎年出るのは文法語法10問(前置詞・イディオム・仮定法・比較)、13択・重複不可のインタビュー空所補充、和文英訳の空所補充です。
理工学部/総合数理学部/農学部
理工学部は長文読解のみ(2024年度2題、2025・2026年度1題)。文法単独問題・会話文・英作文は3年ともゼロ。120点・60分で、記述が4問→5問→6問と毎年増えています。中身は和訳が毎年1文(うち2回は指示語の内容を明示する条件つき)、字数制限つきの日本語説明(10〜20字、7〜12字)、1語抜き出し、英単語1語の補充、原形記入です。
総合数理学部はⅠ長文と関連英文、Ⅱ長文(図表つき)、Ⅲ長文の空所補充10〜11問、Ⅳ会話文で3年とも同じ。120点・70分。記述はⅡの最終問の英語1語×3だけ。英文5本で17〜19ページを70分ですから、もっとも速読が要求されます。Ⅳの最後の「空欄(A)〜(L)に定型表現を一括で入れる」大型問題も毎年出ます。
農学部はⅠ超長文(設問14〜17問。冒頭に発音・アクセント)、Ⅱ会話文、Ⅲ二つの文に共通する語の補充6問。150点・60分で45問前後、しかも1,000語級の超長文と800語級の会話文があります。3年とも出ているのは発音・アクセント(3〜4問)、多義語1語の補充(6問)、整序英作文(2箇所)。pernicious、itinerary といった語も出ます。
文法・語法の独立問題は、出る学部のほうが少ない
「明治だから文法問題集を1冊」という判断は、学部によっては無駄になります。
- 出る:国際日本学部(Ⅲ文法語法10問、3/3)、商学部(Ⅰ文法語法・語彙14〜15問、確認できた2年とも)
- 出ていたが消えた:経営学部(2024・2025年度はⅢに15問。2026年度に独立大問ごと消滅)
- 出ない:法学部(0/3)、情報コミュニケーション学部(0/3、整序英作文もなし)、理工学部(0/3)。政治経済・総合数理・文・農も、大問構成に文法語法の独立大問はありません
発音・アクセントはもっとはっきりしています。29冊のうち、発音・アクセントが確認できたのは農学部の3冊だけでした。農学部では毎年3〜4問の固定枠がある得点源ですが、それ以外の学部では対策の必要がない分野です。自由英作文も29冊のどこにも出ていません。
長文のテーマは学部ごとに固定されています
29冊を通して見えたもう一つの事実が、題材の偏りです。法学部はⅠが社会・法・人権系でⅡが人文・自然系。商学部はデジタル読書と脳、退屈と創造性。政治経済学部は感染症、ジェンダー、ファストファッション、孤独。経営学部は企業倫理、賃金格差、AIと仕事の未来。文学部は光害とlikeの用法。情報コミュニケーション学部は睡眠と外国語で考えること。農学部は食料生産と人口、気候観測の歴史です。
私は全国約190大学の入試英語(2007〜2026年度)から415題・約86万語のコーパスを作り、1,005本の長文をテーマ別に分類した読本と単語帳も自作しています。この分類と明治の題材を重ねると、読み慣れておくべき領域が学部ごとに特定できます。
- 情報コミュニケーション・商・文:心理・脳科学(104題)と教育・学習(55題)。brain、cognitive、bias、attention、boredom、creativity
- 政治経済・農:環境・気候変動(76本。集計でも「気候変動」が単独最多)と生物・生態系(65本)。climate、emission、biodiversity、habitat、livestock
- 経営:経済・仕事・消費(64本)とAI・情報技術(44本だが増加率は全分野トップ)。wage、inequality、automation、algorithm、ethics
- 国際日本・法:言語(66本)、歴史・文化・人類学(125本で最多)、社会・格差・多様性(71本)。dialect、indigenous、heritage、discrimination、rights
この重なりは偶然ではありません。読本に記録している出題例では、明治は「外国語で考えると意思決定のバイアスが弱まる」実験(2025年度)、「口語のlikeが文法化した」英文(2025年度)、「職場の余白時間が創造性を高める」研究(2025年度)、世界経済フォーラムの「仕事の未来」報告書(2026年度)を実際に出しています。テーマを日本語で先に知っておくと、初見の英文が「知っている話を英語で確認する作業」に変わります。
記述が出る学部は、答案の形で練習してください
- 語形変化・1語記入:商8語、文9〜10語、政治経済4語、情報コミュニケーション4〜5語、理工の原形記入。綴りが合わなければ0点。occurred、benefited、lying のような語は手で書いて覚えてください
- 多義語1語の補充:文学部Ⅰ(3語)と農学部Ⅲ(6問)が同じ「二つの文に共通して入る1語」の形式。この2学部では多義語が最優先の投資先です
- 日本語の要約・説明:法学部50字以内、政治経済学部30字・15字・25字、理工学部10〜20字と7〜12字。字数が違えば書き方が違います。50字は該当箇所を圧縮する型、15字は言い換え一語句の勝負です
- 和訳:理工学部のみ毎年1文。指示語を補って訳す練習を答案の形で
- 部分英作文:経営学部(指定語を各1回使って5語)と国際日本学部(2箇所で計10語)
2026年度に形式が変わったのは経営学部です
経営学部は2026年度に英語の形式が大きく変わりました。文法語法の独立大問15問が消え、共通テスト型の図表・実用文読解が2大問25問入り、冊子も19ページから29ページに増えました。問われるのは、グラフ・散布図、掲示、履修案内のメール、奨学金の要項といった資料から必要な情報を探す速さです。共通テストの第1問・第2問に近い性格ですから、共通テストの対策がそのまま生きます。
ですから経営学部志望者は、2026年度の過去問を最優先にしてください。2025年度以前は実戦演習ではなく「長文の素材」として使います。和文英訳の空所補充は3年とも出ていますから、ここは必ず練習を。なお経営学部の学部別入試は2方式とも共通テスト併用型で、共通テストを受けないと出願できません。方式ごとの要件は、受ける年度の要項で必ず確認してください。
複数の学部を併願するなら、準備の順番はこうなります
明治の学部別入試は1日1学部で日程が並び、重なりがありません。ただし学部を増やせば、その数だけ形式の練習が増えます。
- まず、全学部で重なる中身から固める。多義語とイディオムの言い換え力、長文の速読処理、前置詞と動詞の語形変化。構成がまるで違う組み合わせでも、語彙と読解力は共用できます
- 次に、第一志望の学部の形式だけを繰り返す。明治は形式が3年間ほとんど動いていないので、量をこなすより同じ3年分を3周するほうが効きます
- そのあとで、併願先の「そこにしかない形式」を足す。農学部の発音・アクセント、国際日本学部の文法語法10問と13択のインタビュー、総合数理学部の会話文の定型表現。ここは共用できません
- 全学部統一も受けるなら、その過去問を別に用意する。学部別では代替できません。全学部統一のほうが先に行われますので、年明けはそちらを優先します
逆に言えば、形式の練習が間に合わない学部は、出願しても得点になりません。3年分を回し切れる学部の数で併願先を決めてください(学部別入試の違いはこちら)。
ここから3か月の優先順位
- 1か月目:自分の学部の形式を紙に書き出し、1年分を時間を計って解く。大問構成、設問数、試験時間、記述の種類と字数を書き出してから、いちばん古い年度を通しで解きます。時間が足りないのか、読めていないのか、記述で落としているのかが分かります
- 2か月目:落としている場所を、3年とも出ている形式から潰す。法学部なら言い換え選択と50字、政治経済学部なら正誤判定、国際日本学部なら文法語法10問です
- 3か月目:大問ごとの持ち時間を固め、最新年度を本番と同じ時間割で解く。文学部ならⅠ・Ⅱを各5分で抜けてⅢ・Ⅳに20分ずつ、政治経済学部なら長文1題20分。本番で決めるのではなく、いま決めておく作業です
並行して、志望学部のテーマ領域の語彙と背景知識を毎日少しずつ入れてください。直前期は共通のアカデミック語彙と、頻出テーマ2〜3分野に絞るのが現実的です。
明治を受けるなら、最低限やっておくこと3つ
- 受ける学部の大問構成・設問数・試験時間・記述の有無を、いま紙に書き出す。明治は形式が固定されているので、この1枚が最後まで使えます。これがないまま過去問を解いても、点数が上下するだけで何を直せばよいか分かりません
- 語形変化と綴りを、書いて覚える。商・文・政治経済・情報コミュニケーション・理工の5学部で1語記入の記述が毎年出ます。商学部は綴りの厳格さが冊子に明記されています
- 志望学部の頻出テーマを、日本語で先に読んでおく。背景を知っている英文は、未知の単語を推測させ、段落の展開を予測させます。読解力とは、語彙力・文法力に背景知識を掛け合わせたものです
ここに挙げた配点・試験時間・出題形式は、2024〜2026年度の問題冊子と大学公表資料にもとづきます。入試制度は毎年変わりますので、出願前に自分が受ける年度の要項で必ず確認してください。つらさが続くときは、一人で抱えずに学校の先生や保護者の方に相談してください。
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