この記事は、東京女子大学の総合型選抜「知のかけはし入学試験」を考えている高校生と保護者に向けて書いています。来年以降に受ける高1・高2の人には準備の順番と時期を、いま高3で数学的思考力型の出願期間を迎えている人には、残りの日程で気をつけることをお伝えします。
数字や日程は、東京女子大学の公式サイトで公開されている2027年度の入学試験要項と案内ページで確認したものだけを書いています。
知のかけはし入学試験は2027年度から3つの型に広がっていく
知のかけはし入学試験は、東京女子大学が以前から行ってきた総合型選抜です。大学の発表によると、2027年度入試から名称が「知のかけはし入学試験(ディスカッション型)」に変わり、あわせて情報数理科学科を対象にした「知のかけはし入学試験(数学的思考力型)」が新しく始まりました。大学はこれを「本学初となる年内学力試験型」と説明しています。
さらに、今年6月の発表で、2028年度入試(いまの高2が受ける年)から「知のかけはし入学試験(プレゼンテーション型)」を新設することが予告されています。対象は現代教養学部の全6学科です。大学の発表資料では、ディスカッション型・数学的思考力型とあわせて3つの総合型選抜から選べると説明されているので、いまの高2以下の人は、自分に合う型を選べる見込みです。
3つの型は、見ている力がはっきり違います。
- ディスカッション型:当日の講義を聞いて、要旨・小論文・グループディスカッション・面接に取り組む。その場で考えて対話する力を見る
- 数学的思考力型:記述式の数学の試験と面接。数学の基礎力を特に重く見る
- プレゼンテーション型(2028年度から):自分で立てた「問い」を時間をかけて追究してきたことを発表する
ここからは、2027年度の要項が出ている2つの型をくわしく見ていき、そのあとで学年ごとの準備に移ります。
ディスカッション型(2027年度)の募集人員と出願資格
ディスカッション型の対象は、現代教養学部のうち情報数理科学科を除く5学科です。要項に載っている募集人員は次のとおりです。
| 学科 | 募集人員 |
|---|---|
| 人文学科(哲学・日本文学文化・英語圏文化・歴史文化の各専攻) | 17名 |
| 国際社会学科 | 9名 |
| 経済経営学科 | 12名 |
| 心理学科 | 6名 |
| 社会コミュニケーション学科 | 11名 |
人文学科は、出願の時点で志望する専攻を選びます。学科単位で見ると1桁の学科もあるので、「なぜこの学科(専攻)なのか」を書類と面接で具体的に言えることがとても大事になります。
出願資格で特に押さえておきたいのは、次の2点です。
- 2027年3月に高校を卒業見込みの女子であること(要項の出願資格は卒業見込みの人だけを挙げています)
- 調査書の「学習成績の状況」が3年1学期(または前期)までの全体で3.7以上であること。二期制で3年前期までの調査書が間に合わない場合は、2年後期までで3.7以上
これに加えて、英語の4技能試験のスコアが出願条件になっています。2024年10月以降に受けたものが対象で、1技能でもスコアがない場合は条件を満たしません。要項の基準は次のとおりです。
| 試験 | 基準 |
|---|---|
| 実用英語技能検定(従来型・S-CBT・S-Interview) | 2級以上で受験し、CSE2.0スコア1950以上 |
| GTEC(検定版・CBT) | 930点以上 |
| ケンブリッジ英語検定 | 4技能合計140以上 |
| IELTS(Academic Module) | 4.0以上 |
| TEAP(4技能パターン) | 225点以上 |
| TOEFL iBT | 42以上 |
| TOEIC L&R と TOEIC S&W | 790点以上(両方のスコアが必要) |
英検は合否ではなくスコアで判定されます。2級に合格していても、CSEスコアが1950に届いていなければ出願できません。逆に、2級の受験でスコアが基準を超えていれば対象になります。それぞれの試験で対象外になる受験形態(自宅受験版など)も要項に細かく書かれているので、受ける前に必ず目を通してください。英検の時期の考え方は英検はいつまでに、どの水準で取ればいいかにまとめています。
もう一つ大事なのが併願です。要項では、他大学との併願や、東京女子大学の学校推薦型選抜など他の方式との併願ができるとされています。合格後に入学手続をしたうえで、他大学を併願している場合は入学金以外の納入金を延納できる仕組みもあります(延納の期限は2027年2月26日)。ただし、「挑戦する知性」奨学金に採用された場合は入学を辞退できません。奨学金を申し込むかどうかは、併願の計画とあわせて決めてください。
ディスカッション型の選考内容:講義を聞いて書き、話し、答える
選考は2段階です。
第1次選考(書類審査)
英語資格・検定試験の成績、志望理由書、活動報告書、調査書で審査されます(英語以外の外国語資格がある人は任意で提出できます)。志望理由書の様式には、この入試で受験しようとした理由を1,200字以内で書くように指示があり、その中に次の2つを含めることになっています。
- これまでの経験を踏まえて、志望する学科(人文学科は専攻)で何を学びたいか
- 大学での学びを将来どう生かしたいか
様式は黒のボールペンで横書きの手書きです。消せるボールペンは使えません。1,200字を手で書くのは思ったより時間がかかるので、下書きを完成させてから清書する日程を、出願の2週間前には確保しておくと安心です。書き方の基本は志望理由書の書き方を参考にしてください。
活動報告書は、高校入学以降の活動を書く様式で、証明資料がある活動はそれを添えて出します。どの活動をどう書くかは活動報告書の書き方で詳しく説明しています。
第2次選考(試験当日)
2027年度の第2次選考は、2026年10月18日に東京女子大学のキャンパスで行われました。要項にある当日の流れは次のとおりです。
- 講義(30分)
- 講義の要旨と小論文(あわせて80分。目安は要旨15分、小論文65分)
- グループディスカッション(40分)
- 個人面接(15分程度、学科ごと)
小論文は、講義の内容と関係のある課題について、講義のメモを参考にしながら書く形式です。つまり、講義のメモの取り方が、そのまま要旨と小論文の出来につながります。グループディスカッションも講義と関係するテーマで行われます。
要項には評価の観点も示されています。自分の言葉で言い直すと、こうなります。
- 要旨:講義の要点をつかみ、筋道を立てて整理し、自分の言葉で文章にできているか
- 小論文:構成が論理的か、講義から一歩進んだ考察があるか、講義で示された論点を踏まえて主張しているか
- ディスカッション:意見に説得力があるか、他の人の意見をどう受け止めているか、議論全体に貢献しているか
- 面接:これまでの学習の理解度、関心の広さと深さ、大学での学びへの適性
ディスカッションで見られるのは「たくさん話したか」ではなく、他の人の意見を受けて議論を前に進めたかです。人の発言を短くまとめ直してから自分の意見を足す、論点がずれたら戻す、といった動きも評価の対象になると考えてよいでしょう。練習の方法は、記事の最後に挙げた集団討論・プレゼンの記事にまとめています。
大学は2019〜2026年度の過去の出題内容をPDFで公開しています。講義のテーマは、不登校と義務教育、宅配便の現状と課題、サブカルチャーなど、年度ごとに分野がまったく違います。志望学科の分野が出るとは限らないので、どんな分野の話でも要点をつかんで自分の考えにつなげる練習が必要です。講義の動画も一部公開されているので、実際に30分聞いてメモを取り、要旨を書いてみるのがいちばん実戦に近い練習になります。
数学的思考力型(2027年度新設)の中身
情報数理科学科を対象にした新しい型で、募集人員は5名です。ディスカッション型とはかなり違う試験なので、別のものとして準備してください。
- 出願資格:2027年3月31日までに満22歳未満の女子で、高校卒業(見込み)などの条件を満たす人。評定平均や英語資格の条件は要項に書かれていません
- 履修の条件:基礎学力試験の出題範囲にあたる数学の科目を、出身校で履修済みか履修中であること(調査書で確認)
- 基礎学力試験(数学):記述式80分、200点。範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A(全範囲)、数学B(数列)、数学C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)
- 個人面接:30分程度、100点(出願書類を含む)
- 合計300点で、数学の成績を特に重視すると明記されています
数学Ⅲまで範囲に入っているので、高2の終わりまでに数Ⅲを学び始めるくらいの進み方でないと間に合いません。大学のページには数学のサンプル問題も載っているので、高2のうちに一度解いてみて、どのくらいの記述量が必要なのかを確かめておくとよいでしょう。面接は30分程度と長めで、学習内容の理解度や、情報数理科学科で学ぶ意欲と目的意識が見られます。
併願についても、他大学や本学の一般選抜などとの併願ができるとされています(試験日が同じ日なので、本学の学校推薦型選抜とは併願できません)。
2027年度の日程と、今日(11月2日)時点の状況
要項で確認した2027年度の主な日程です。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| ディスカッション型 出願期間 | 2026年9月1日〜9月4日(消印有効) |
| ディスカッション型 第1次選考結果 | 2026年9月28日 |
| ディスカッション型 第2次選考 | 2026年10月18日 |
| ディスカッション型 合格者発表 | 2026年11月2日 10:00 |
| ディスカッション型 入学手続締切 | 2026年11月13日 |
| 数学的思考力型 出願期間 | 2026年11月2日〜11月6日(消印有効) |
| 数学的思考力型 試験日 | 2026年11月21日 |
| 数学的思考力型 合格者発表 | 2026年11月27日 10:00 |
| 数学的思考力型 入学手続時納入金の期限 | 2026年12月4日 |
今年の高3の人へ。ディスカッション型は今日が合格発表の日で、入学手続の締切は11月13日です。延納の手続きを使うかどうかも含めて、早めに家族と確認してください。数学的思考力型は今日から出願期間が始まっていて、締切は11月6日の消印です。志望理由書を手書きで仕上げて、速達・簡易書留で郵送する時間を逆算してください。試験日の11月21日までは、出題範囲の記述問題を時間を計って解く練習を続けるのが現実的です。
なお、2028年度のプレゼンテーション型の日程や出願資格はまだ公表されていません。大学の発表を待って確認してください。
高1・高2がいまから始める準備
ディスカッション型(または2028年度からのプレゼンテーション型)を考えている人は、出願が高3の9月上旬なので、実質的な準備期間は高3の夏休みまでです。逆算すると次のような流れになります。
高1〜高2の冬(いま〜3月)
- 評定を守る。3年1学期までの全体で3.7以上が条件なので、高1の成績から全部入ります。苦手科目を放っておかないことがいちばんの対策です
- 英語の4技能試験を一度受けておく。英検ならCSE1950以上が条件なので、2級で受けてスコアがいくつ出るかを早めに知っておくと、次に何を伸ばせばいいかがわかります
- 新聞や本で、自分の関心から少し外れた分野の文章も読む習慣をつける。講義のテーマは毎年分野が変わるからです
高2の春〜高3の夏
- オープンキャンパスや総合型選抜の説明会に行き、学科の授業や先生の研究を調べる
- 公開されている講義の動画で、30分の講義をメモし、要旨を書く練習をする
- 学校の授業や友人との話し合いで、人の意見をまとめ直してから自分の考えを言う練習をする
- 高3の6〜7月に志望理由書の下書きを始め、8月中に清書できる状態にする
プレゼンテーション型を考えている高2の人は、大学が示しているテーマが「自分が見つけた問いについて、これまでの追究で見えてきたこと」なので、探究の時間や課外活動で、一つの問いを長く追いかけておくことが準備そのものになります。
同じように少人数で丁寧に選ぶ女子大学の総合型選抜として、日本女子大学の総合型選抜や津田塾大学 総合政策学部の総合型選抜も比べてみると、自分に合う形式が見えやすくなります。
参考にした公式情報
- 東京女子大学 2027年度 知のかけはし入学試験(ディスカッション型)
- 2027年度 知のかけはし入学試験(ディスカッション型)入学試験要項(PDF)
- ディスカッション型 様式2 志望理由書(PDF)
- 東京女子大学 2027年度 知のかけはし入学試験(数学的思考力型)
- 2027年度 知のかけはし入学試験(数学的思考力型)入学試験要項(PDF)
- 知のかけはし入学試験 過去の出題内容(2019〜2026年度)(PDF)
- 2027年度入学試験より年内学力試験型を新設(お知らせ)
- 2028年度入学試験よりプレゼンテーション方式の総合型選抜を新設(お知らせ)
入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。
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