看護・医療系の学部を目指す人へ|入試科目・小論文・面接の作りを実測値で|川越の予備校が解説

この記事は、看護・医療系の学部を受けようと考えている高校生と保護者の方に向けて書いています。

先に知っておいてほしいのは、入試科目の組み合わせが大学・学部ごとに大きく違うことです。数学と理科を同じ1枠に並べて「そこから1科目選べ」という形の大学もあります。そして小論文と面接が合否に関わることが多いのも特徴です。他の理系学部のように「英語・数学・理科で決まる」とも、文系学部のように「英語・国語・地歴で決まる」とも言えません。

以下は、EIMEIが大学ごとに自作している入試対策読本で数えた値だけで書きます。入試の作りと準備の話に限定し、医療や健康そのものの説明はしません。

科目の枠が「3科目から1つ」ということもある

科目・配点・時間まで実測できている例として、慶應義塾大学看護医療学部を見ます。2026年度の第1次は3時限、満点500点です。

  • 第1時限 外国語 300点/90分
  • 第2時限 数学・化学・生物から1科目 200点/80分
  • 第3時限 小論文 配点なし/70分

外国語は300点/500点=60%で、慶應の中で外国語比率がいちばん高い学部です(次は商学部の50%)。

もう一つは数学と理科が同じ1枠だという点です。数学(数学Ⅲなし)・化学・生物から1科目で、数学だけで出願できます。同じ慶應でも理工学部は物理と化学が両方必須(生物選択では受験不可)、薬学部は化学のみ(物理・生物では受験不可)。「同じ大学なら理科の準備は同じ」が成り立ちません。

第1次の合格最低点は500点満点の259点=51.8%で、得点総括に「統計的処理により得点の補正を行いました」と明記があります。受験者454人のうち第1次を通ったのは233人=51.3%、最終合格は166人。なお慶應は一般選抜で共通テストを使いません。

理科は生物か化学か

「医療系だから生物」と決める人が多いのですが、同学部の3年分では作業が別物です。

生物 ― 広さと処理速度

  • 記号選択・語句が7〜8割。論述は年2〜4問だけで、必ず「1行で」「2行以内で」と行数指定。小問数は年40〜48問で、80分に対し約1.8分/問。
  • 遺伝情報の発現が延べ5大問で最頻出。代謝・植物の反応と調節・進化系統がいずれも3/3。
  • 実験考察は誘導つきの論理パズル型(PCRのサイクル数と増幅倍率を数式で表すなど)。知識より数え上げと場合分けの正確さで差がつきます。
  • ヒトの恒常性は3年とも未出(免疫のみ2026年度)。ただし範囲は生物基礎と生物の全域で、未出分野は「後回しでよい」であって「切ってよい」ではありません。

化学 ― 途中過程を全部書く

  • 大問3題。「途中の計算過程を全て書きなさい」が標準で、説明記述も毎年1〜2問(50〜75字)。実験考察はほぼなし。
  • 理論化学が9/9(3年間毎年)。無機化学は9大問中3大問で言及はあるが独立した大問は3年間ゼロで、常に第1問の理論に混ざるだけ。有機は3/9(第3問に固定)、高分子・生化学が4/9。
  • 題材が生物寄り。光合成の熱化学方程式、酵素とミカエリス・メンテン式、タンパク質の一次から四次構造。2026年度の大問2はエンタルピー変化ΔH表記に統一され、旧課程の「熱化学方程式+Q」しか知らないと手が出ません。
  • 80分で1科目なので時間の余裕は大きく、そのぶん丁寧さが要ります。

選ぶ目安は論述量か持ち時間か。単元ごとの頻度は生物の頻出単元化学の頻出単元にまとめています。決めるのは授業が進んでいる科目ではなく、志望校の過去問で手が動く科目です。

数学はどこまで要るか

同学部では数学Ⅲは範囲外で、微積分は数学Ⅱ(3次関数・面積・絶対値つき定積分)のみ。ただし複素数平面・式と曲線(数学C)は出ます。

  • 大問は3年とも5題で固定、200点/80分、空欄は35個前後で1問あたり2分強。マークシートは使われません。
  • 毎年ちょうど1問だけ証明の記述。2024年が「√2が無理数であること」、2025年が数学的帰納法、2026年が「log₂3が無理数であること」。
  • 大問5は3年ともデータ・統計の確定枠(データの分析、統計的推測)。ここだけで配点の5分の1。整数の性質は0/3、確率と漸化式の組み合わせも0/3です。

読本は、慶應の医学部・理工学部が「重量級の思考と計算」なのに対し、看護医療学部は「典型問題の高速処理」だと整理しています。

英語の作り ― 難度ではなく処理速度

  • 3年とも大問7つ・設問数71問まで完全に一致。Ⅰ文法20問/Ⅱ空所補充10問/Ⅲ脱文挿入6問/Ⅳ文整序5問/Ⅴスペリング(語頭1文字を選ぶ)20問/Ⅵ語の適否判定5問/Ⅶ整序英作文(記号選択)5問。
  • 和訳も英作文も自由記述は一切なしで、すべて記号選択。設問は標準からやや易しく、71問を90分で捌く処理速度で差がつく設計です。1問あたり約75秒。大問Ⅴは他大学に例のない独自形式です。

読本が挙げる「先に固めること」は基本文法20問の取りこぼしゼロ/和訳から英単語を綴れる語彙学習/71問90分の時間配分を模試で体に入れるの3つ。分量・難度と配点が釣り合わず、取りこぼしが即失点になります。

医療・看護系の題材は7大問中1〜2題だけで、残りはエッセイ・自己啓発書・回想録からの一般題材でした。同じ大学の理系学部のテーマ名だけを挙げると、医学部は水危機、栄養精神医学、謝罪の心理学、AIのハルシネーション。薬学部は細菌説革命とパスツール、慢性炎症、オキシトシン、健康格差。読本は医学部について「医学単語の暗記より、抽象的な評論を正確に訳し日本語で要約する力が問われます」と書いています。医療系の単語集から始めるのは順番が違います。

小論文の準備 ― テーマ集めより先に手順を固める

読本『小論文・大学課題のはじめかた』の学部系統別の頻出ゾーンで、この系統に当たる「医療・看護」の欄に並ぶのは医療倫理(延命・遺伝子)、地域医療、チーム医療、予防と健康格差、患者とのコミュニケーションの5つです。テーマ名の紹介はここまでにします。読本は「準備するテーマは志望系統から5つで十分」としているので、やるべきは手順を固めることです。

1. 4つの箱

  1. 答え:問いへの直接の答えを一文で。先に答えます。
  2. 理由:2つ。1本だと薄く、3本だと1本あたりが痩せます。「自分にとって」と「社会にとって」のように別方向から立てます。
  3. 具体:理由を支える事実・経験。自分が見た・やったことを1つ以上。
  4. まとめ:答えの言いかえ。同じ言葉で繰り返しません。

2. 並べ方は4つだけ持つ

  • 基本型(答え→理由→具体→まとめ)=テーマ型と面接
  • 比較型(答え→一方の言い分→他方→理由と具体→まとめ)=賛否が割れるテーマ
  • 課題解決型(現状→原因→打ち手→効果→まとめ)=「あなたなら何をするか」
  • 経験ブロック(出来事→行動→結果→学び→つなぎ)=志望理由書

3. 課題文型は3段階

同学部の小論文は読本の分類で課題文型・70分・配点非公表です。

  1. 読みながら筆者の答え(主張)とその理由に線を引く
  2. 要約を求められたら筆者の「答え・理由・まとめ」だけを自分の言葉で組み直す(具体例は原則削る)。
  3. 意見を求められたら立場(賛成/条件付き賛成/反対)を決め、筆者が使っていない理由か具体例を自分から1つ出す

筆者と同じ理由で賛成するだけの答案は、要約と区別がつきません。

4. 資料がついたら数字は1つだけ選ぶ

読本は資料・データ型が「経済・社会・医療系に多い」と書いています。仕事は網羅ではなく選択。目立つ特徴(いちばん大きい・いちばん変化した・予想と逆)を1〜2個選び、「資料によれば〜」と根拠に組み込みます。

5. 時間配分を先に4区切りにする

読本の目安は当日60分・800字で読む・線を引く15分→箱をメモで設計10分→書く30分→見直し5分。書き始めるのはメモが埋まってからです。志望校が70分なら、自分の時間と字数で同じ4区切りを作り直してください。詳しくは小論文の書き方に書いています。

面接の準備

同学部のアドミッション・ポリシーは、小論文までを含めて「本学科の修学に必要な学力を検査する」とし、「面接では求める学生像への適合について総合的に評価する」としています。小論文が学力、面接が学生像への適合という役割分担です。

読本の整理では、面接は「話す志望理由書」です。想定問答の暗記ではなく、書いた書類のすべての行について「なぜ?」に答えられる状態を作ることが対策です。進め方は面接対策年内入試の制度と面接を読んでください。

第2次試験で小論文と面接がどう使われるか

要項の原文はこうです。「『小論文』は第1次試験の選考では使用せず、第2次試験の選考に使用する」。読み方は次のとおりです。

  • 小論文は第1次の当日(第3時限)に書きます
  • 第1次の合否は外国語300点+選択科目200点=500点のみで決まります。
  • 答案は第1次合格者についてのみ採点され、第2次の面接とあわせて最終合否に使われます。第2次で新たに小論文を書くのではありません。

日程もタイトです。第1次2月11日、発表2月17日、第2次2月20日、最終発表2月25日。第1次を受けた時点で小論文の内容は確定しているので、通過を知ってから仕上げる余地はありません。

同じ大学の医学部は逆で、小論文は第2次試験当日(60分)に書き、そのあとに調書記入と面接。問題は非公開で、学力試験ではなく人物評価の一部と大学自身が位置づけています。志望校に「1次では使わない答案」があるかを、出願前に要項で確認してください。

学部選びで確認すること

読本『志望校の決め方』は、調べる項目を固定して埋まったら止めることを勧めています。この系統で効く必須項目は5つです。

  1. 試験科目と配点を募集要項から書き写す(1校5分)。科目が合わなければ他の情報は無意味です。
  2. 1年次のカリキュラム=必修科目の一覧表を1枚読む。読本の系統別の地図は、この系統の「1年次に学ぶこと(例)」に解剖生理と早期の実習を挙げています。実習がいつから、どれだけあるかは大学ごとに違うので一覧表で確かめます。
  3. 資格は要項と大学の公式サイトで確認する。 同じ地図の「主な出口・資格」の欄には国家試験が挙げられています。どの資格に対応し何を履修する必要があるかは大学・学科ごとに違うので、この記事では制度の説明はしません。「この学科を出ると何の受験資格が得られるのか」を1校ずつ公式の記載で確認する、という行動だけをしてください。
  4. 4つの締切(出願・試験日・合格発表・入学手続き)をカレンダーに転記。手続き締切が最重要で、第2次がある大学はこの4つが二重になります。
  5. 過去問1年分を実際に解く。眺めるだけは不可です。

なぜカリキュラムまで読むのか。文部科学省の調査では、大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」で22.0%、学力不振の7.3%の3倍です。一覧表を読むのは4年間を守るためです。

迷っている人は系統を2つに絞り、それぞれ1校分のカリキュラム表を読んで模擬授業を1つ受け、「続けられそう度」を5段階でつけて高いほうを仮の軸にします。基準は「面白そう」ではなく「これなら4年間続けられそう」です。近い系統との比べ方は教育・心理・社会・福祉系の比較も参考になります。

この系統を目指すなら、最低限やっておくこと3つ

  1. 志望校の「科目枠の作り」を要項から書き写す。 1枠で何科目から選ぶのか、数学Ⅲが範囲に入るのか、小論文は第1次で採点されるのか。1校5分です。
  2. 理科・数学の選択を分母つきの頻度で決める。 同学部なら、数学は大問5がデータ・統計の確定枠で配点の5分の1、生物は遺伝情報の発現が延べ5大問で最頻出、化学は理論が9/9。
  3. 小論文は「4つの箱」と課題文型の3段階を先に固定する。 そのうえで頻出ゾーン5つに、論点(賛成・反対の言い分)と具体例を1つずつ置きます。高1・高2は月30分で足ります。経験ストック5行に10分、読み物1章+3文説明に15分、ニュースに一言に5分。

一般論で始めた準備は、志望校の1枠目に当たりません。 まず要項を1校分、手で写すところから始めてください。

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EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
  • ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
  • 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。

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二神大輝