この記事は、情報系・データサイエンス系の学部に興味があるけれど、名前が多すぎて何がどう違うのか分からない、という高校生と保護者の方に向けて書いています。EIMEI予備校は大学ごとに入試対策読本を自作していて、問題冊子と要項を読み込んだ数字があります。
結論を先に書きます。この系統は名前では判断できません。入試科目の型と、1年次の必修科目で見分けます。
名前の多様さが、そのまま中身の違いです
読本で扱っている大学の中だけでも、この系統に近い名前はこれだけ並びます。
- 中央大学 国際情報学部/先進理工学部 情報工学科/社会理工学部 ビジネスデータサイエンス学科
- 明治大学 総合数理学部/情報コミュニケーション学部
- 慶應義塾大学 理工学部 学門C(情報・数学・データサイエンス分野)/環境情報学部
- 東京電機大学 情報システム工学科(システムデザイン工学部)/情報メディア学科(未来科学部)/情報通信工学科(工学部)/情報システムデザイン学系(理工学部)
- 東洋大学 情報連携学部
どれが理系でどれが文系かを名前から言い当てられる人はいないと思います。実際、この系統は文系型で受けられるところと理系型のところが混在しています。『志望校の決め方』の系統別の地図でも、この系統の入試科目は「英・数(文系型も理系型もある)・情報や理科」と書かれ、同じ「情報」でも文系型と理系型があると明記されています。中央大学は2027年4月にスポーツ情報学部と情報農学部(いずれも仮称・設置構想中)の開設を予定しており、名前は今後さらに増えます。
入試科目で見ると、4つの型に分かれます
型1 英語と国語の2科目だけ(中央大学 国際情報学部)
一般方式は英語と国語の2科目だけで、地歴も数学も要りません。英語は90分・150点・6大問・全問マーク。設問文がすべて英語で、実用資料と統計グラフ、長文2題(1題1,000〜1,200語)という構成です。国語は60分・100点・全問マークで現代文2題+知識1題、古文と漢文は出ません。大問一がまるごと知識問題で毎年15問前後・30点、配点の3割を占めます。現代文の出典は情報・AI・メディアで完全に統一されています。
型2 名前に「情報」が入るが完全に文系型(明治大学 情報コミュニケーション学部)
学部別入試は外国語100点・国語100点・地歴公民数学100点(各60分)の300点満点。選択科目は世界史・日本史・公共政経・数学の4つで、地理では受験できません。国語は現代文2題+古文1題で漢文なし。数学の範囲は数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cです。
型3 数学が重いが理科が要らない(明治大学 総合数理学部)
学部別入試は数学200点(120分)+外国語120点(70分)の320点満点で、理科はありません。数学が満点の63%を占め、明治で数学の比重が最も重い学部です。
型4 数学と理科の理系3科目
東京電機大学は3科目300点満点(各100点)が基本形ですが、同じ大学の情報系でも学科ごとに中身が違います。情報通信工学科は「数学(数Ⅲまで)・英語・理科(物理/化学)」、情報システム工学科と情報メディア学科は3科目めに国語も選べ、情報システムデザイン学系は数Ⅲか数学Ⅱ・Bを選択したうえで3科目めが理科か国語です。
慶應義塾大学の理工学部は理科200点(120分)・数学150点(120分)・外国語150点(90分)の500点満点。理科は物理と化学が両方必須で、生物を選ぶ道はありません。出願時に学門を1つ選び第2学年で学科を決める形で、情報・数学・データサイエンス分野は学門C(募集140名)。中央大学の理工系3学部は各100点の3科目で、問題冊子が1つです。
数学はどこまで必要か
- 数学がまったく不要:中央大学 国際情報学部
- 数Ⅲ不要(数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Cまで):明治大学 情報コミュニケーション学部
- 数Ⅲが主戦場:明治大学 総合数理学部は数Ⅲの比重が4〜5割強で極限・微分積分(Ⅲ)が毎年2題以上。中央大学の理工系は全20大問中11大問=55%が数Ⅲの微積分と極限。慶應義塾大学 理工学部は極限・微分積分(Ⅲ)が3/3年
記述の重さも違います。明治大学の理系型で完全記述が課されるのは総合数理学部の後半2題だけで、証明が毎年出ます。東京電機大学は全16冊すべて記述式で、問題1が答えのみ40点、問題2・3が途中式も書く各30点という構成が固定です。
「データの分析」と「統計的な推測」が出るかどうか
統計が必要だろうと考えるのは自然ですが、入試で出るかは学部でまったく違います。
- 明治大学 情報コミュニケーション学部:データの分析が3/3年。2026年度は平均値・第2四分位数・分散の比較
- 明治大学 総合数理学部:統計的な推測は3年とも0/3。ただし2027年度入試から出題範囲に数学Bの「統計的な推測」が追加されます。過去問に前例のない新分野です
- 中央大学:統計的な推測は3年間・全22冊でゼロ、データの分析は1/17
- 慶應義塾大学 理工学部:統計的な推測もデータの分析も3年とも0/3。理系4学部で唯一の「両方ゼロ」です
一方で場合の数・確率は、読本で分析したどの大学のデータでも高頻度で、出題ゼロの事例が見当たりません。慶應義塾大学では文系4学部とSFCの12冊すべてで出ています。統計を心配する前に、ここを固めるのが順番です。単元ごとの分布は数学の頻出単元の記事でも扱っています。
理科が要る大学・要らない大学
- 理科なし:中央大学 国際情報学部/明治大学 情報コミュニケーション学部/明治大学 総合数理学部/慶應義塾大学 環境情報学部
- 理科または国語を選べる:東京電機大学のシステムデザイン工学部の全学科、未来科学部の情報メディア、理工学部の情報システムデザイン学系
- 理科が必須:慶應義塾大学 理工学部(物理と化学が両方。生物選択では受験できません)/東京電機大学 情報通信工学科/中央大学 理工系3学部
東京電機大学で「国語か理科か」を選べる学科は、国語のほうが準備が軽い場合があります。古文・漢文は範囲外で、確認した10冊すべてが科学論・科学哲学系の評論(統計とリスク、AIロボット倫理、パラダイム論など)だからです。読本は2科目とも過去問を1回解いて、7割に届きそうなほうを選ぶことを勧めています。
英語の作りも大学ごとに別物です
- 中央大学 国際情報学部:90分・150点・6大問・全問マーク。3年間で形式の変更が最も大きい学部で、2025年度から発音問題を廃止して実用資料読解を新設し、満点も130点→150点に
- 明治大学 総合数理学部:70分・120点。4大問の構成が3年とも完全に同じで、記述は英語1語×3だけ。あとは英問英答です。英文5本で17〜19ページを70分なので、明治の理系3学部でもっとも速読が要求されます
- 慶應義塾大学 環境情報学部:120分。3題60問すべてマークで記述はゼロ。英語Ⅲが1,230〜1,550語の一本で30問=配点の半分。3題合計3,680〜4,280語、1分あたり31〜36語です
- 東京電機大学:60分・100点。長文40点+文法語法20点+日程で型が変わる2題(各20点)。2月1日・2日はTypeA、2月3〜5日はTypeBで大問3・4の形式が変わります。日程を選ぶ前に両方を1回ずつ解いてください
文系から情報系に行けるか
行ける入口はあります。ただし「入りやすい」という意味ではありません。中央大学の国際情報学部は英語と国語の2科目。明治大学の情報コミュニケーション学部は英語・国語+1科目。慶應義塾大学の環境情報学部は第1時限に「外国語」「数学」「外国語および数学」「情報および数学」から選び、第2時限が小論文という2科目・各200点・各120分です(「情報」単独では受験できません)。中央大学が2027年度に予定しているスポーツ情報学部の文系型は英語80分+国語60分+数学70分(数Ⅰ・数A)という組み合わせです。
英語の資格があれば入口はもう一つあります。中央大学の国際情報学部の英語外部試験利用方式ではスコアが150点に換算され、英語の個別試験を受けません。明治大学の全学部統一入試にも、総合数理学部などでスコアに応じて8割・9割・満点相当が付与され、当日の英語が免除される方式があります。
中央大学の国際情報学部の一般方式は合格最低点175点(250点満点)=70.0%、倍率6.4倍(受験922名→合格143名)。理工系が素点で6割強なのに対し、2科目の学部は7割前後が必要です。1科目の失敗を取り返す場所がないからです。英語外部試験利用方式は募集5名で8.0倍。文系型の数学で受ける選択肢は文系数学で受けるの記事も参考にしてください。
学部選びは、名前ではなく1年次の必修科目で見る
『志望校の決め方』は、次の手順を示しています。1〜2時間で終わります。
- 気になる系統に2つまで印をつける(3つ以上は絞れていない印)
- 各系統について、1年次の必修科目の一覧表を1校分読む。「面白そう」より「4年間続けられそう」で判断する
- 可能なら模擬授業を1つ受ける(オープンキャンパスや動画配信でも可)
- 2つに「続けられそう度」を5段階でつけ、高いほうを仮の軸にする。同点なら受験科目が今の得意科目に近いほう
この段を飛ばすと何が起こるかも数字で出ています。文部科学省の調査では、大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」で22.0%、学力不振の7.3%の3倍です。調べる項目も、読本は全校あわせて2時間以内で、試験科目と配点(1校5分で書き写す)、4つの締切、使う入試方式を2つまで、学費、1年次の必修科目の一覧表、過去問1年分の6項目で止めることを勧めています。やりたいことが決まっていない場合はやりたいことが分からないの記事も読んでください。
併願の組み方
理工系との併願
成立しやすいのは、同じ大学で同じ問題を使う場合です。中央大学の理工系3学部は問題冊子が1つなので基幹理工の応用化学と先進理工の情報工を同じ日に併願する組み方ができ、学部をまたいでも検定料の減額対象です。東京電機大学は前期が5日間から自由に選べ、1日につき最大4学科・学系まで同時出願できます。同じ日なら学部が違っても同じ冊子なので、1枚の答案で最低点の違う複数の学科の判定を受けられます。
逆に成立しにくい例もあります。明治大学の理工学部と総合数理学部は併願できますが、理工は90分・120点・3大問で答えのみ、総合数理は120分・200点で後半2題が完全記述です。読本は「両方受けるなら別々に対策を」と書いています。慶應義塾大学の理工学部は学門を1つしか選べません。
経済・経営系との併願
文系型で受けるなら科目がそのまま重なります。明治大学の情報コミュニケーション学部は英語・国語+1科目で、経済・経営系の文系3科目と学習計画を共用できます。中央大学では国際情報学部と国際経営学部がどちらも英語・国語の2科目で、英語外部試験利用方式ではスコアが国際経営200点・国際情報150点に換算されます。スコアがそのまま点になる学部を2つ並べる形です。
数学で受けるなら共通する単元から固めます。明治大学の文系型4学部はいずれも場合の数・確率と微分積分(Ⅱ)が3/3年で共通です。慶應義塾大学の環境情報学部と総合政策学部は日が別なので両方受けられますが、複素数平面と数Ⅲが出るのは環境情報だけで、ベクトルは総合政策に3年間ゼロです。
この系統を目指すなら、最低限やっておくこと3つ
- 志望学科の入試科目表を書き写す。1校5分。確認するのは数学の範囲(数Ⅲが要るか)、理科の要否と選べる科目、国語の要否、「データの分析」「統計的な推測」が範囲かの4点です
- 場合の数・確率と微分積分(Ⅱ)を先に固める。読本で分析したどの大学でも高頻度で、出題ゼロの事例がない単元です。統計的な推測の優先順位は志望校を確認してから決めます
- 英語で科学・技術・社会時事の説明文を読む量を確保する。東京電機大学の長文は気候変動やスペースデブリ、慶應義塾大学の環境情報学部は培養肉・炭素回収です
高1・高2のうちにやっておくこと
いちばん大きな分岐は数Ⅲまで進めるかどうかです。文系型(中央大学の国際情報学部、明治大学の情報コミュニケーション学部など)なら数Ⅲは要りません。理系型(明治大学の総合数理学部、慶應義塾大学の理工学部学門C、東京電機大学の多くの学科)なら数Ⅲの微積分が主戦場です。決められないうちは、数Ⅲまで進める側で計画を立てるほうが、後から選択肢を減らさずに済みます。
次に英語の外部検定です。スコアで英語の個別試験が免除される方式が複数あります。ただし有効期限は出願締切日から2年以内で、使えるのは1種類・1回のスコアだけ。中央大学の理工系では4技能すべてで基準を満たす必要があります。受ける試験を決める前に要件を確認してください。
3つめは、1年次の必修科目の一覧表を2校分読むこと。最後に、国語を捨てないこと。東京電機大学では理科の代わりに国語を選べる学科があり、中央大学の国際情報学部は英語と国語の2科目です。理系志望でも、国語が残っていることで入口が増える系統です。行き詰まることが続くときは、学校の先生や保護者の方に早めに相談してください。
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