模試や過去問で、現代文だけ点数が回ごとに大きく動く。この記事は、そういう状態にある高校生・既卒生と、その保護者の方に向けて書いています。面談で「現代文は上振れ下振れが激しい」という声を複数いただくので、原因の分け方と、ブレを小さくするための具体的な手順をまとめました。
川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で日々お話ししていて感じるのは、ブレを「たまたま」で片づけてしまうと、次に何をすればいいかが決まらないということです。まず、原因を分けるところから始めます。
この記事の役割|解き方ではなく「原因の特定」
解き方そのもの、つまり選択肢の切り方や記述の書き方については、別の記事にまとめてあります。現代文の勉強法のほうをご覧ください。
この記事が扱うのは、「同じ解き方をしているのに、なぜ回によって点が変わるのか」のほうです。原因を特定して、次の2か月で何を練習するかを決めるところまでを扱います。
ブレる原因は、4つに分けられます
現代文の点数が動く理由は、だいたい次の4つに収まります。1回分の答案を見ながら、設問ごとにどれに当たるかを判定していきます。
原因1|文章のテーマを知っていたかどうか
本文が前提にしている「考え方」を知っていた回と、知らなかった回では、読む速度も正答率も変わります。語彙の問題でも読解の型の問題でもなく、前提知識の有無です。後で書くとおり、これが4つのうち一番大きく効きます。
原因2|設問形式との相性
同じ「現代文」でも、全問マークの回と、40字の説明記述が入る回では別の競技です。抜き出しが得意でも、自分の言葉でまとめる記述になると崩れる人がいます。逆に、記述は書けるのに「三つ選べ」型の複数選択で失点する人もいます。
原因3|時間配分
最後の大問が半分しか読めていない回は、読解力ではなく配分の失敗です。これは大問ごとの所要時間を実測していれば、すぐ分かります。逆に、実測していないと永遠に原因不明のままになります。
原因4|読み方が回ごとに違う
設問を先に見る回と、本文を頭から読む回が混ざっている。傍線部の根拠を探す範囲を決めている回と、なんとなく全体から選んでいる回が混ざっている。手順が固定されていないと、点数は手順の当たり外れで動きます。
いちばん大きいのは「テーマを知っていたかどうか」
EIMEI予備校では、大学ごとの入試対策読本を作る過程で集まったデータをもとに、現代文の評論を分類した読本も自作しています。対象は中央・早稲田・法政・明治・立教・青山学院・学習院・東京電機・東洋の9大学、現代文(評論)205題。年度は2018〜2026年度で、2024〜2026年度だけで178題、全体の86%を占めます。
この205題を読んで分類すると、評論が繰り返し立ち返る話題は身体・権力・社会・文化の4系統に整理できました。そのうえで、抽象度が高く、前提知識がないと文意を取り違えやすい20のテーマを抜き出しています。
同じ本が、別の大学でも出ています
ブレの正体がはっきり見えるのは、出典を並べたときです。分析の範囲内で、同じ著者・同じ本が複数の大学にまたがって出ていました。
- 岡野八代『ケアの倫理』…中央大学2026年度、早稲田大学2025年度、明治大学2025年度
- 宇野邦一『非有機的生』…青山学院大学2024年度、早稲田大学2026年度
- 山本龍彦『アテンション・エコノミーのジレンマ』…中央大学2026年度、明治大学2026年度
- 中島岳志『思いがけず利他』…青山学院大学2024年度(贈与・利他を扱う出題)
- 貞包英之…中央大学2024年度『消費社会を問いなおす』、早稲田大学2025年度『サブカルチャーを消費する』
- 矢野智司…青山学院大学2026年度『愛と創造の教育学』、明治大学2024年度(絵本論)
つまり、ケアと依存、贈与と利他、注意の経済学、消費社会論、人間と動物の境界といった話題は、大学をまたいで繰り返し現れます。この話題群を先に頭に入れておけば、「知らないテーマを引いた回」が減り、そのぶんブレが小さくなります。20の概念の中身は現代文 抽象概念の予備知識にまとめました。
なお、この分析は9大学205題という限られた母数によるもので、全国の入試現代文の傾向そのものではありません。私立文系・中堅上位校の出題に寄ったデータだとご理解ください。
設問の作りは、大学・学部・方式で違います
原因2の「相性」は、受ける大学の設問の作りを数字で知れば、相性ではなく準備の問題に変わります。読本で実際に冊子を数えて分かったことを並べます。
- 中央大学…自分の言葉で書く記述があるのは法学部だけで、2024年度=60字以内、2025年度=40〜50字、2026年度は50〜60字と20〜30字の2問。文学部は抜き出し10〜25字、総合政策は18〜65字。5学部共通選抜・経済Ⅰ・国際経営・国際情報は全問マークです。
- 法政大学…冊子207は現代文2題に各1問、30字以上40字以内で、文末が固定された穴埋め式。下書き欄つきで3年とも同じ形です。一方、冊子209(経済Ⅰ・社会Ⅰ・現代福祉)は3年連続で記述ゼロ、全問マークでした。
- 立教大学…全学部日程は4年間・5日程すべて「現代文2題+古文1題」で75分。現代文は実測で1題あたり約2,200〜3,300字。記述は毎年3〜6問で、字数指定の最大は「30字以上40字以内」でした。
- 明治大学…商学部は選択肢が5択で、26〜30字・31〜35字・35〜40字の説明記述が毎年1題。政治経済学部は4大問30〜31問に50字以内の記述、国際日本学部は60字以内が繰り返し出ています。文学部だけは漢文があり、記述は口語訳・書き下し・返り点が中心です。
- 早稲田大学…法学部は大問4題・全25問を90分で、最終問に120字以上180字以内の説明記述。商学部は同じ大学でも説明記述ゼロで、抜き出しのみです。
- 学習院大学…法学部コア系の現代文には「三つ選べ。三つ以上マークした場合は0点」型の複数選択が出ます。字数指定のある論述は9冊すべてでゼロでした。
- 青山学院大学…全学部日程は4年分すべて全問マークで、解答欄は35〜36問で安定。記述は一切ありません。
- 東洋大学…全問マーク60分。ただし「解答欄一つに複数マークする」設問が毎年あります。
ここで注目してほしいのが学習院の数字です。法学部の国語の平均得点率は52%から54%で、他学部の国語(64%から72%)より明らかに低い水準でした。同じ大学でも、設問の作りが変わると平均点そのものが変わるということです。
もう一つ。分析した範囲では、中央・学習院・青山学院・東洋・早稲田の該当学部で小説は1題も出ていませんでした。立教の全学部日程では11冊中1回だけです。志望校に小説が出ないなら、心情読解の練習に時間を使う必要は下がります。古文の出典の傾向については古文のジャンルにまとめました。
ブレを小さくする記録のしかた
原因を特定するには、設問ごとに記録を残すしかありません。1回の演習につき、次の5項目を全設問ぶん書きます。表を1枚作って、解いた直後に埋めてください。
- テーマ判定…本文の話題を一言で書き、「知っていた/名前だけ知っていた/初めて」の3段階で記録する
- 設問形式…選択(何択か)/複数選択/抜き出し(字数)/説明記述(字数)/漢字・語彙のどれか
- 所要時間…大問ごとに実測する。ストップウォッチで区切って書き留める
- 切った根拠…正解した設問も含めて、選択肢を切った理由を本文の行数で書く。「なんとなく」と書けてしまったものは、正解でも不正解扱いにする
- 外した理由の分類…原因1〜4のどれかを必ず1つ付ける
これを4回分ためると、自分のブレの主因が見えます。原因1が半分以上なら、演習量よりテーマのインプットが先です。原因3が多いなら、大問別の配分表を作り直します。原因4が多いなら、解く手順を紙に書いて固定し、毎回その順番どおりに解きます。
手順の固定は、英語の設問処理と考え方が同じです。設問を先に見て何を探すか決めてから本文に入る、選択肢は本文の言い換えを探す、本文の語句をそのまま使った選択肢はいったん疑う。この3つは現代文でもそのまま効きます。そして大問別の所要時間を毎回記録して、自分の配分表を作るという作業が、いちばん地味で、いちばん効きます。
2か月の練習の組み方
記録から主因が分かったら、8週間で組み直します。週2本の演習を軸にして、次のように進めます。
- 第1〜2週|測る…志望学部の過去問を2本ずつ、必ず時間を計って解きます。上の5項目を全設問ぶん記録。ここでは点数を上げようとせず、原因1〜4の分布を出すことだけを目標にします。同時に、志望学部の設問形式(記述の有無と字数、選択肢の数、小説の有無)を過去問から確定させます。
- 第3〜4週|テーマを埋める…原因1が多かった人は、ここが本体です。身体・権力・社会・文化の4系統から、志望学部の出典傾向に近い系統を2つ選び、その分野の新書を読みます。1冊読むごとに、対立軸を1つ、4行にまとめてストックします。演習は週2本のまま維持します。
- 第5〜6週|形式に合わせる…志望学部の記述字数に合わせて型を作ります。40字なら40字、60字なら60字、180字なら180字で、骨格を先に並べてから文にする練習を週3問。全問マークの学部なら、複数選択と「解答欄一つに複数マーク」型の設問を、設問文の読み落としゼロで通す練習に置き換えます。
- 第7〜8週|配分を固定する…大問ごとの目標時間を数字で決め、その時間でいったん切り上げる練習をします。第1〜2週の実測値と比べて、ブレ幅が縮んでいるかを確認します。点数そのものより、最高点と最低点の差が縮んだかを指標にしてください。
2か月やっても点の上下が収まらないときは、現代文だけを見ていても判断できません。他科目も含めた全体の位置から考える必要があります。そのときは模試の偏差値が上がらないときと立ち位置の測り方を合わせてお読みください。
川越で、現代文のブレをどう潰すか
EIMEI予備校の1対1指導では、まず志望学部の設問の形を確定させるところから始めます。記述の有無と字数、選択肢の数、古文・漢文の有無、小説が出るかどうか。ここが決まらないと、練習の内容が決まりません。
そのうえで、記録表を一緒に作ります。解いた答案を持ってきてもらい、設問ごとに原因1〜4のどれかを付けていく。この作業は一人だと甘くなりがちなので、講師と一緒にやる価値があります。主因が見えたら、上の8週間の組み方を、その人の残り時間に合わせて詰めます。
川越校舎の自習室は朝7時から使えます。時間を計って演習する場所としても使ってください。なお、点数のブレが長く続いてつらさが抜けないときは、勉強の設計の話だけで抱え込まず、学校の先生や保護者の方、専門の窓口にも相談してみてください。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
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