こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、川越とその周辺の高校に通う高校生・浪人生で、「自分が今どのあたりにいるのか分からない」「今やっていることが正しいのか不安だ」と感じている人と保護者の方に向けて書いています。面談でいちばんよく出るのが、この2つの声です。
結論から書きます。立ち位置は「偏差値」では測れません。測れるのは「志望校の合格最低点との距離」です。そして「やっていることが正しいか」も感覚では判定できず、2週間で判定できる形に置き直す必要があります。その手順を説明します。
偏差値では立ち位置が分からない理由
偏差値は、その模試を受けた人の中で自分がどのあたりにいるかを表す数字です。集団が違えば同じ学力でも数字は変わり、受験者層の広い模試ほど高く出て、難関大志望者の多い模試ほど低く出ます。だから違う模試の偏差値を比べても意味がなく、公式の換算表もありません。見るべきは「同じ模試での自分の推移」だけです。
判定も同じです。A社の模試はC判定を合格可能性50%、B社の模試はC判定を40%以上60%未満と定義しています。同じ「C」でも中身が違います。C判定を「だめ」と読む人が多いのですが、定義上は五分五分です(模試の使い方の記事)。
集団によって動く数字と、会社ごとに定義が違う判定。この2つを足しても自分の位置は出ません。位置を出すには動かない基準が必要で、それが志望校の合格最低点です。
測り方|過去問1年分を「診断」として解く
過去問は仕上げではなく、最初に使う
過去問は多くの人が「仕上げ」に使いますが、立ち位置を測る目的では最初に使います。知りたいのは点数ではなく、時間内に最後まで到達できたか、どの大問・どの分野で落としたか、解けなかった問題は「知らなかった」のか「知っていたが使えなかった」のかの3つです。これが分かれば、次に何を勉強するかが決まります。
自信(自己効力感)のいちばん強い源は「自分でやってできた経験」で、励まされることより効きます。解くことが読み直すことより記憶に残ることも、多数の実験をまとめた分析で確かめられています。
どの大学の過去問を選ぶか
選ぶのはC判定が出ている帯の大学です。今の実力で半分は届く場所なので、「解ける問題と解けない問題が混ざる」状態になります。これが学習にいちばん向いた状態です。A判定の帯では診断になりませんし、E判定の帯では、解けなさが実力の情報ではなく絶望の材料になります。高い帯を目指すのはかまいませんが、出発点は別です(志望校の決め方の記事)。
大問ごとに記録する4項目
直近1年分を、受験科目すべて本番と同じ時間で解きます。途中で答えを見ません。採点したら科目ごと・大問ごとに4つを書きます。
- 得点率(点数ではなく率で。満点の違う大学と比べられるように)
- 時間内に到達したか(到達しなかった大問に印をつける)
- 落とした大問と分野
- 落とし方(知らない/使えない/時間切れ/ミスの4つに分ける)
4つめがいちばん大事です。心理学の研究では、失敗を「能力がない」と説明する人は無力感に向かい、「やり方を持っていなかった」と説明する人は次の行動に向かうことが分かっています。「知らなかった」なら覚える、「使えなかった」なら演習、「時間切れ」なら配分の練習、「ミス」なら見直しの手順。どれも能力の話ではなく、次にやることの話です(過去問の使い方の記事)。
7割を目安にする
素点でおよそ7割を「この帯は届く」の目安にします。多くの私立大学の合格ラインは換算前の素点で6割から7割の間にあり、年による変動を吸収するには7割が安全だからです。7割に届いた科目が受験科目の過半数なら一つ上の帯へ進み、届かなければその帯にとどまって落とした分野を埋め、別の年度を解きます。見落とされやすいのは「戻す」判断です。戻して7割を取り、また上げる。この往復が、最終的にいちばん高いところへ着く経路です。
合格最低点をそのまま目標にできない大学がある
ここが最大の落とし穴です。換算後の点数を公表している大学があります。小数点のついた最低点は、たいてい換算後です。設問ごとの配点を非公表の大学も多く、過去問を解いても正確な得点は出せません。
そのまま読めない大学の例
大学ごとの入試対策読本で要項と入試結果を確認した範囲では、こうなっています。
- 早稲田大学|法・商・教育・文・文化構想などで全教科の成績標準化を行い、公表値は調整後です。文学部の一般選抜は200点満点で136.0点ですが「素点で7割」とは読めません。見るべきは受験者平均点をどれだけ上回ったかです。標準化の記載がない理工3学部は素点の目標として読めます(基幹理工は360点満点で206〜221点、57〜61%)。
- 法政大学|公式Q&Aで「全科目において本学独自の計算式を使って得点調整(標準化)を行う」と説明され、合格最低点は標準化後、計算式は非公表です。A方式の得点率は多くが62〜75%、T日程は59〜76%ですが、素点の7割ではありません。共通テスト利用では標準化を行いません。
- 立教大学|すべての日程・科目で偏差値法の得点調整を行い、公表値は「統計処理(得点調整)前の得点」、つまり素点です。素点で読めるかわりに難易度の差がそのまま出ます。観光学科の「英語以外2科目」(350点満点)の最低点は、同じ2026年度で2月8日が286点、2月13日が208点。78点の差は問題の難易度差です。自分が受ける日程の最低点と比べてください。
- 中央大学|「偏差点」という得点調整があり、公表値には偏差点と素点が混ざっています。最低点の横に*印があれば偏差点、なければ素点です。素点で語れる理工系3学部は57.7〜66.0%です。
- 学習院大学|公表値はすべて得点調整後ですが、科目別平均点は素点で公表されるため尺度が混ざります。法学部コア試験法学科では受験者の総点平均(素点)222.7点が、合格最低点(調整後)205.8点を上回っています。比べてはいけない2つの数字です。
そのまま読める大学の例
明治大学は要項・入試結果に得点調整や成績標準化の記述がなく、青山学院大学は要項にその規定がなく素点の実数で公表されます。どちらも答案の上の目標として読めます。東京電機大学も整数で公表され、2025年度前期は300点満点で148〜204点(49〜68%)。最低点ちょうどではなく1割上を目標にします。
見分ける手順は3つ
- 小数点がついているか(ついていれば換算・調整後の可能性が高い)
- 要項とQ&Aに「得点調整」「標準化」「偏差点」の記述があるか
- 入試結果データの注記が「調整前」か「調整後」か
この3つを確認して初めて「合格最低点まであと何点」が言えます。調整がある大学では、目標は点数ではなく「同じ年度の受験者平均をどれだけ上回るか」に置き換わります(大学ごとの数字は大学別の入試対策まとめ)。
「やっていることが正しいか」を2週間で確かめる
不安の正体は、たいてい確認の単位が長すぎることです。模試で確かめようとすると答えが出るまで2〜3か月かかり、その間は不安が居座ります。ボランティア9,000人以上を対象にした大規模な実地実験では、1年間の目標を「毎週」「隔週」などの小さな単位に分けて示されたグループは、そうでないグループより活動量が7〜8%多いという結果が出ました。だから作業も確認も、1〜2週間で終わる大きさに割ります。
2週間の確認の手順
- 過去問の記録から、「落とし方」がいちばん多かった分野を1つだけ選ぶ(2つ以上にしない)
- その分野に対して、2週間で終わる作業を1つ決める。「今週は要約を10題」のように量で書く
- 目標は近づく型の言葉で書く。「落ちたくない」ではなく「大問2を時間内に」。避ける型の目標は試験不安を高め、成績を下げる方向に一貫して結びつくことが分かっています
- 「もし◯時になったら、△△をする」の形で1文にする。94件の研究をまとめた分析では、この形で計画した人は達成率が中程度から大きく高まりました(d=0.61)
- 2週間後に同じ大学の別の年度の同じ大問を解き、最初の記録と並べる
並べて見るのは同じ大問の得点率、時間内に到達できたか、落とし方の内訳が移ったかの3つです。「知らない」が減って「使えない」に移っていれば、覚える作業は効いています。次は演習です。
どれも動かなかったときは順に確認します。作業量が足りなかったのか、2週間で終わらない大きさに割ってしまったのか、「落とし方」の見立てが違ったのか。ここで「自分には能力がない」に飛ばないことが、この手順の目的です。
なお、卒業論文の完成日数を学生に予測させた研究では、平均の予測33.9日に対し実際は平均55.5日でした。「今回どうなりそうか」より「前回どうだったか」を先に思い出してください。記録があれば、次の計画は実績値で組めます。
週1回の振り返りで見る3つの数字
週に1回、決まった曜日に10分だけ立ち止まります。見る数字は3つで足ります。
- 8〜10時間眠れた日が、7日のうち何日あったか|睡眠は勉強の予定を組む前に先に確保します。「終わったら寝る」ではなく「この時刻に寝る」です
- 実績時間をメモできた回数|学習の区切りごとに、かかった時間を1つ書くだけです。これが次の計画の材料になります
- 解いた過去問の年度数|1年分ごとに塗りつぶす欄を作ります。ゴールに近づいていると感じるほど人は努力を増やす性質があるので、「過去問をあと2年分」が常に見えている状態を作ります
数字が悪かった週があってもかまいません。食事・睡眠・タスク管理・誘惑管理・時間管理の5つを一度に整える必要はなく、いちばん崩れている1つから直すだけで他も連動して整うことがあります(受験期の自己管理の記事)。振り返りが3週続けて「ほぼゼロ」のときは、学校の先生や家族に今の生活リズムを話してください。
それでも不安が残るときの考え方
手順を回しても不安が消えないことはあります。まず、情報を集めれば集めるほど不安になる人は一定数いて、それは性格の問題ではありません。人は「不安を生む情報」「思い込みと矛盾する情報」を無意識に避けることが分かっています。過去問を解けないのは怠けではなく、この防衛です。
だから「全部調べる」ではなく、項目を決めて、埋まったら止めます。必須は6つで、全校あわせて2時間以内が目安です。試験科目と配点、4つの締切(出願・試験日・合格発表・入学手続き)、入試方式(2つまで)、学費、1年次のカリキュラム、過去問1年分(実際に解く。眺めるだけは不可)。掲示板や動画の合否体験談は、あなたの情報ではありません。
決まっていないことは、まだ決めなくてよいです。進学センサス2025(大学進学者2万7千人以上が回答)では、興味を持った大学は平均4.67校、最終的に出願したのは2.42校でした。興味を持った学校の半分以上は、出願しないまま候補から外れます。それが普通の経路です。不安の1位は「将来やりたいことが分からない」(33.5%)でしたが、進路の心理学では興味は「自分にもできそうだ」という感覚のあとに生まれることが分かっています。順番の問題です。
入口も一つではありません。令和7年度の集計では、大学入学者全体の53.6%が学校推薦型選抜か総合型選抜で入学し、私立大学に限ると61.6%です。一般選抜だけを前提に「無理」と考えるのは、入口の半分を見落としています。
そして、つらさが続くときは一人で抱えないでください。学校の先生や保護者の方、専門の相談窓口に話してください。この記事で書けるのは、勉強の設計と行動のしかたまでです。
川越校舎の面談でやっていること
EIMEI予備校の面談では、「今の実力はどのくらいですか」に偏差値で答えることをしません。かわりに志望校の合格最低点がどういう性質の数字か(素点か、調整後か)を先に確認し、過去問1年分の記録と並べます。大問ごとの得点率と落とし方の内訳が1枚にあれば、次の2週間で何をするかは決まります。その材料として大学ごとに入試対策読本を自作しているので、「この大学の最低点は、そのまま目標にしてよいのか」をその場でお答えできます。
無料体験では、解いた過去問と記録をお持ちいただければ一緒に読み解きます。まだ解いていない方は、どの大学のどの年度から始めるかを決めるところからご一緒します。
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EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
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※研究・統計の数値は読本『志望校の決め方』『受験期の自己管理』、大学別の数値は大学別の入試対策読本(各大学の要項・公式Q&A・入試結果資料を確認した年度の記述)によります。入試制度は毎年変わります。出願前に最新の募集要項でご確認ください。
