こんにちは、EIMEI予備校の二神です。
この記事は、文学部・文化構想学部・人文系の学部を志望している高校生と保護者の方に向けて書いています。「漢文は要るのか」「小論文が要るのはどこか」「併願で対策はどれくらい重なるのか」。この3つに、自作の入試対策読本の実測値で答えます。読本は大学ごとに作っていますが、今回は人文系の記述があった10大学を比べました。
この記事で扱った大学と、扱えなかった大学
- 扱った10大学…早稲田(文・文化構想)/慶應義塾(文)/明治(文)/青山学院(文)/立教(文)/中央(文)/法政(文・国際文化)/学習院(文)/成蹊(文)/東洋(文)
- 扱えなかった2大学…埼玉大学と東京電機大学。読本に文学部系の記述がないため、この記事では触れません。
以下の数字は読本の実測値です。年度や方式で条件が変わるので、出願前には必ず当該年度の募集要項でご確認ください。
1.文学部系でだけ出る科目・形式がある
まず、いちばん大きな結論から書きます。多くの大学で、漢文は「文学部系の志望者だけが解く大問」として存在します。
漢文が出るのは、ほぼ文学部系だけ
- 中央大学…漢文が出るのは文学部だけ(20点固定)。ほかの学部では3年間で1度も出ていません。古文は共通選抜・法・文・経済・商の5系統で30点固定です。
- 明治大学…漢文が独立大問として出るのは文学部だけ。2024年度『近古史談』、2025年度『貞観政要』と杜甫詩、2026年度『後山談叢』と3年連続です。
- 立教大学…大学が出題意図に「漢文は2月11日の文学部日程のみ出題」と明記しています。全学部日程の国語11冊に、漢文の独立大問は1つもありませんでした。
- 学習院大学…文学部コアは3年とも漢文が出ましたが、法・経済系の6冊は0問です。法政大学も、調べた9冊で漢文が出るのは冊子207の文学部志望者とT日程の文学部日本文学科の2つだけでした。
- 早稲田大学…文学部は現代文2・古文・漢文の4大問。文化構想学部は漢文の独立大問こそありませんが、大問三が現古漢融合(『方丈記』と『池亭記』、『今昔物語集』と『本朝文粋』と白居易など)で、返り点と訓読の設問は必ず出ます。
逆に、文学部系でも漢文が要らない大学があります。成蹊の文学部A方式は要項の範囲が「漢文を除く」。東洋の文学部前期も漢字・評論・古文の3題で漢文はなく、青山学院も確認した11冊で漢文の独立大問はゼロでした。
返り点や句法の入り口は古文・漢文の勉強法の記事にまとめてあります。出典のジャンルごとの読み方は古典作品の頻出ジャンルの記事が下地になります。
古文の「出る/出ない」も学部で切れている
成蹊大学は、国語の冊子12冊で古文の大問と記述があるのは文学部A方式だけ。法・経営・E方式は現代文だけの全問マークでした。青山学院の全学部日程は大問一・二が全学部共通で、大問三(古文)だけが日本文学科・史学科・比較芸術学科の受験者に追加されます。
小論文が入るのは2大学
- 慶應義塾大学 文学部…小論文が90分100点で、満点350点のうち28.6%。要項の科目説明は「資料を与えて、理解力、発想力、論理的構成力、表現力を総合的に問う」。2025年度の課題文は思想系雑誌に載った人文学の論考でした。法学部・経済学部の60分より長いぶん、読ませる分量も多いと考えられます。
- 法政大学 文学部日本文学科…T日程で英語ではなく「小論文」を選べます。しかも課題図書型で、大学が事前に課題図書を公表し、当日に本を配付します。2027年度T日程の課題図書は村上春樹『東京奇譚集』(新潮文庫版)、出題範囲は巻頭から巻末までと公表されています。
外国語の選択肢と、選択科目の制約
- 慶應義塾 文学部…外国語は英語(独自試験)/英語(外部試験利用)/ドイツ語/フランス語の4択。英語外部試験が使えるのは慶應で文学部だけです(英検CSE総合スコア2500以上。換算方法は非公表)。
- 立教大学…2月11日の文学部日程だけ、英語が立教の独自試験になります。この日は外部試験のスコアも共通テストの英語も使えません。裏を返すと、4技能スコアがなくても文学部なら受けられるということです。
- 選択科目の制約…中央の文学部は政治・経済を選べず(日本史探究・世界史探究・数学の3択)、立教の文学部は「地理歴史・数学」のみで公民を選べません。成蹊の文学部A方式は日本史と世界史の2つだけで、数学を選べません。
- 学習院大学…文学部心理学科・教育学科のプラス試験は理系型で、理学部コアと同じ数学Ⅲ込みの問題を解きます。「文学部だから文系範囲だろう」と考えると足をすくわれます。
2.大学ごとの違いを、実測値で並べる
同じ「文学部の国語」でも、時間と分量がここまで違います。
国語
- 学習院 文学部コア…4大問150点90分、配点は45+45+40+20で21〜24ページ。法学部コア系は2〜3大問の100点60分で13〜16ページですから、文学部だけ大問が1〜2題多いことになります。
- 早稲田 文学部…4大問(現代文2/古文1/漢文1)、28〜30問、75点90分。分量に対して90分は非常に厳しく、漢文(5〜6問)を先に短時間で回収する順序が有効です。
- 早稲田 文化構想学部…3大問(現代文2素材の比較/現代文1題/現古漢融合1題)、24〜26問、75点90分。大問一が必ず「現代の評論+近代文語文」で、明治の文語文が3年とも出ています。
- 明治 文学部…現代文評論1+古文1+漢文1の3大問、60分。記述は口語訳2問前後・書き下し・返り点と古典側に集中し、明治の5学部で最も重くなります。現代文を20〜25分で抜けないと最後の漢文が空欄のまま終わります。
- 中央 文学部…現代文・古文・漢文を60分で処理する、中央でもっとも時間が厳しい設計です。
- 成蹊 文学部A方式…評論+古文+漢字(読み3・書き3)の3題、60分150点。評論と古文に字数指定の記述が1問ずつ(30〜60字)、漢字6問はすべて手で書きます。
- 東洋 文学部前期…漢字の識別5問+評論10問+古文10問の3題、全問マーク60分、解答数39〜42。記述はありません。
- 青山学院 日本文学科B方式…確認した3年分すべてで大問が一つだけ。番号すら振られていない国文学系の長い評論の中に、古文の原文と和歌が大量に引用されています。
現代文の側の準備は現代文の勉強法の記事を参照してください。
英語
- 早稲田 文学部・文化構想学部…Ⅰ空所補充14問/Ⅱ内容一致10問/Ⅲ文挿入7問/Ⅳ会話文7問/Ⅴ英語要約1問。設問番号1〜38まで両学部・3年とも一致、75点90分。記述はⅤだけで、4〜10語で要約を完成させます。
- 慶應義塾 文学部…120分150点、辞書2冊まで持ち込み可(慶應で辞書が使えるのは文学部だけ)。大問は実質1題で、約2,100語の評論1本に対し、下線部和訳2問・日本語の内容説明2問(100〜120字+50〜75字)・英作文1本。それでも平均点は150点満点の67.13点=44.8%でした。
- 立教 2月11日(文学部)…マーク33問+記述6問、読む総語数は約3,000語。記述は「30字以内の下線部和訳1問」と「空所に1語を補う5問」だけ。この30字以内は、練習しないとまず字数オーバーします。
- 明治 文学部…5大問、100点60分。Ⅰが「二つの文に共通して入る1語」、Ⅱが語形変化・派生語で、記述1語記入が計9〜10語。綴りまで正確でないと点になりません。
- 中央 文学部…大問は4つだけで、1,400語の長文1題に70点が乗ります。ここを落とすと挽回できない構造です。
- 法政 文学部(冊子207)…同じ冊子でも解く範囲が違います。表紙に「文学部(哲・日本文・史)は大問Ⅰ〜Ⅲの3題を60分」「経営学部・人間環境学部はⅠ〜Ⅳの4題を90分」と明記。過去問は必ず3題60分で計ってください。
- 成蹊 文学部A方式…整序10問(不要語入り)/会話/物語/長文の4大問。成蹊で和訳が出るのは文学部だけです。
- 青山学院 英米文学科…2025年度の改編でリスニングが全方式廃止。現行のA方式はⅠ長文/Ⅱ下線部和訳2箇所/Ⅲ英作文50語/Ⅳ文法語法で、A方式にも和訳と50語の自由英作文があります。
地歴と論述
見落とされやすいのが地歴側の記述量です。青山学院の文学部史学科は、独自試験が小論文ではなく「世界史探究」「日本史探究」そのもので90分150点。大問Ⅳが論述で、日本史は300字程度+指定語句4〜5語必須、世界史は350字以内で指定語句5〜7語をすべて使います。
明治の文学部は日本史で史料3/3・地図3/3・図版2/3と資料の使用が全学部でもっとも濃く、中央の文学部も史料の量が突出しています。学習院で日本史の論述があるのは文学部コアだけ、成蹊で日本史に記述があるのも文学部だけです。
3.併願で対策が重なる大学と、別に時間が要る大学
重なる(ここは効率がいい)
- 早稲田 文+文化構想の英語…形式が完全に同じで中身だけが違うので、互いの過去問がそのまま使えます。3年分しか手元になくても実質6年分です。国語は文が4大問90分、文化構想が3大問90分と別ですが、要求される芯(近代文語文、和漢の教養、短答の記述)は共通で、学習は共用できます。
- 立教の全学部日程…大学が「同一試験日で同じ試験科目の場合は、学部を問わず同じ問題」と明言しています。経済学部志望でも文学部の過去問が使えます(2月11日だけは例外)。
- 学習院のプラス試験…プラス試験は他学部のコア試験と同じ問題で、81冊で対応が安定していました。文学部英語英米文化プラスなら法学部コアの過去問が教材になります。
- 青山学院の国語…英米文学科C方式と日本文学科A方式は問題一〜三が共通です。法政も、同じ番号の冊子の学部群は完全に同じ問題を解きます(国際文化学部は法学部Ⅱ日程・キャリアデザイン学部と冊子216で同一)。
別枠の時間が要る(ここは足し算になる)
- 慶應義塾 文学部…辞書2冊で全記述の英語、90分の人文系小論文、地歴。ほかの大学と共有できる部分がいちばん少ない試験です。100〜120字の日本語記述は、現代文の要約力に近い技能として別に鍛える必要があります。
- 青山学院 文学部史学科…300〜350字の指定語句つき論述。マーク中心の勉強では届きません。
- 法政 文学部日本文学科(T日程)…課題図書を読み込む時間が丸ごと別に要ります。学習院の文学部心理・教育プラスは数学Ⅲ込みの理系型で、文系の学習計画とは別物です。
- 漢文の要否…中央・明治・立教2/11・学習院・法政・早稲田を受けるなら漢文が要り、成蹊・東洋・青山学院だけなら要りません。ここで学習時間が数十時間単位で変わります。
グループ単位の比較は早慶上理の英語比較の記事もあわせてどうぞ。
4.何から手をつけるか
順番を決めておくと、秋以降の迷いが減ります。
- 出願できるかどうかを先に確認する。選択科目の制約(中央文に政経なし、立教文に公民なし、成蹊文に数学なし)と、外国語の選択肢です。ここが合わないと、どれだけ勉強しても出願できません。
- 漢文の要否を確定させる。併願校を並べて、1校でも要るなら早めに始めます。返り点・句法・書き下しは量としては大きくありません。学習院の文学部コアなら、漢文だけで20点が確定している配点です。
- 古文の土台を固める。古文はほぼすべての文学部系で必要です。学習院は9冊すべてで文学史が最後に必出。作品名・作者・時代・ジャンルの対応は、知識で取り切れる配点です。
- 第一志望の形式で、時間を計って解く。法政文学部なら3題60分、明治文学部なら3大問60分、早稲田文学部なら4大問90分。本番と違う条件で練習していると、演習の意味が半減します。
- 記述の型を決める。30〜60字(成蹊・中央)、100〜120字(慶應文)、300〜350字(青学史学科)では、書く技術そのものが別です。自分に必要な字数帯だけを繰り返してください。
大学別の全体像は大学別 入試対策読本のまとめ記事から、各大学の記事に入れます。
5.大学別のオリジナル予想問題を、どう作っているか
EIMEI予備校では、英語の予想問題を大学別に自作しています。文学部系では早稲田大学 文化構想学部のものがあります。作り方は3段階です。
- 形式を実測値でそろえる。読本には大問構成・設問数・語数・記述の条件まで記録してあります。早稲田文化構想なら、Ⅰ空所補充14問/Ⅱ内容一致10問/Ⅲ文挿入7問/Ⅳ会話文7問/Ⅴ英語要約1問という設問番号1〜38の構成と、「書き出しが与えられ、4〜10語で完成させ、本文から3語以上を連続して借用しない」という要約の条件をそのまま再現します。形式が合っていない演習は、本番の予行になりません。
- テーマを、その大学の「購読誌」に合わせる。私大20大学の入試英文、長文パッセージ約860本を分析すると、素材の好みが学部ごとに分かれます。早稲田の文・文化構想は人文評論一色で、宗教復興と世俗化、徳川期の大衆文化、心霊主義の流行史といったエッセイが並びます。立教の文学部日程は心理学と文化史の二本柱。東洋は32本中11本が歴史・文化系、成蹊は19本中5本が文学・物語系です。
- 次年度の予想テーマを、その延長線上に置く。早稲田文化構想なら、商学部で既出の生成AIと著作権が創作論へ波及する筋、文学部2026年度に出た記憶・注意の認知科学の続き。立教の文学部日程なら、2025年度に2本出た音楽・芸術の科学、時間の心理学、文学と環境(エコクリティシズム)。予想問題の英文は、この線で選びます。
予想は的中がゴールではありません。その大学が好む知のジャンルを日本語で先に理解しておけば、外れた英文が出ても「知の隣町」から入っていけます。狙いは山当てではなく、初見の英文を初見にしないことです。
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「自分の併願だと漢文は要るのか」「記述は何字を練習すればいいのか」が気になった方は、一度お話ししましょう。文学部・人文系は、受ける学部と方式が決まった瞬間に、やるべきことが具体的に決まる入試です。そこが決まらないまま秋を過ごすのが、いちばんもったいないと思っています。
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EIMEI予備校について
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