やりたいことが分からなくて学部が決まらない高校生へ 学部の絞り方と学年別の期限|川越の個別指導塾

こんにちは、EIMEI予備校の二神です。

この記事は、「やりたいことが分からなくて、学部が決まらない」という高1・高2・高3の人に向けて書いています。川越校舎の面談でも、いちばん多い相談です。答えるのは、やりたいことが決まっていない状態から、学部を絞るところまで何をするかです。志望校を1校に決めて出願までもっていく手順は志望校の決め方にあるので、この記事はその手前だけを扱います。

「やりたいことが分からない」は、いちばん多い状態です

大学進学者2万7千人以上が回答した調査では、進路を決めるときの不安の1位は「将来やりたいことが分からない」で33.5%でした。情報が足りないことへの不安より多い。およそ3人に1人が、この状態のまま進路を決めています。

同じ調査で、興味を持った大学は平均4.67校、資料を取り寄せたのは6.29校、最終的に出願したのは2.42校でした。興味を持った学校の半分以上は、出願しないまま候補から外れています。決まっていない状態から始めて、途中で入れ替えるのが普通の経路です。学校で書く進路希望調査も、書き換えが前提の書類です。

ただ、止まっていると勉強の中身も決まりません。決めるのではなく、候補を2つに絞って、その2つを実際に調べる。ここから動かします。

「やりたいこと」以外に、学部を絞る入口は4つあります

どれか1つでかまいません。4つを通ると、だいたい系統が2つに絞れます。

①得意・不得意な科目から入る

いちばん現実的な入口です。系統によって、入試で必要な科目が決まっています。

  • 文学・人文系は英語・国語・地歴(または数学)で、国語重視の方式が多い。法学・政治系は英語・国語・地歴公民で、数学でも受けられる大学が多い。
  • 経済・経営・商は英語・国語・数学または地歴公民。数学を選んだほうが有利な大学があります。
  • 理学・工学系は英語・数学(数Ⅲまで)・理科1〜2。情報・データサイエンス文系型の入試も理系型の入試もあります。
  • 外国語・国際系は英語重視で外部試験の利用が広い。看護・医療技術系は英語・国語または数学・理科1に面接。教育系は国公立で共通テスト5〜7科目、私立は3科目。芸術・体育系は実技・小論文・面接の比重が大きい。

調べ方は1つです。気になる系統の大学の募集要項から、試験科目と配点を書き写す。1校5分で終わります。科目が合っていなければ、他の情報を集めても意味がないからです。数Ⅲを使うのか、理科は何科目か。ここが決まれば明日からの勉強が決まります。候補が同点なら、受験科目が今の得意科目に近いほうを選ぶ。それで進めてかまいません。

②苦にならない作業のしかたから入る

学部はテーマで選びがちですが、4年間実際にやるのは作業です。1年次に何をするかを作業の型で並べます。

  • 長い文章を読んで書く…文学・人文系。文献の読み方、歴史学・哲学・心理学の入門、外国語。レポートが多い。
  • 規則と事例を突き合わせる…法学系。憲法・民法・刑法の入門と判例の読み方。
  • 数と記号を扱う…経済・経営・商。ミクロ・マクロ経済、簿記・会計、統計。
  • 人に聞いて集める…社会・メディア・福祉系。社会調査法、メディア論、社会福祉の制度。
  • 手を動かして作る・測る…工学系の製図・プログラミング・実験、理学系の基礎実験。
  • 外に出る…農・生命・環境系のフィールド実習。看護・医療技術系は解剖生理から始まり、実習が早い。
  • 言語を集中的に訓練する…外国語・国際系。専攻語の訓練、地域研究、留学準備。

調べ方は、気になる系統の大学の「1年次の必修科目の一覧表」を1枚だけ見ることです。公式サイトのカリキュラム表に載っています。基準は「面白そうか」ではなく、「これなら4年間続けられそうか」です。

③学部で何を学ぶかの中身から入る

中身に触る方法は3つ。1年次のカリキュラム表シラバス(15回の授業計画と評価方法。試験かレポートか発表かで作業のしかたが分かります)、その系統で何が問題になっているかです。

3つめは、小論文の出題テーマがそのまま関心の一覧になります。医療・看護系なら医療倫理、地域医療、予防と健康格差。教育系ならいじめと不登校、教育格差。経済・経営・法系なら働き方、社会保障、AIと仕事。社会・国際系なら多様性と共生、移民、SNSと世論。情報・理工系なら生成AIの倫理、個人情報。環境・農系なら気候変動、食品ロス。読んで「この問題を4年間考えていられるか」を見てください。

④卒業後の職業の幅から入る

就職率や年収の比較は見ません。学部・個人・景気の影響が大きく、材料として粗すぎます。見るのは「資格や免許が学部と結びついているか」だけです。

  • 学部で進路がほぼ決まる系統…医・歯・薬・獣医、看護・医療技術は国家試験が出口。教育系は教員免許、建築は一級建築士のルートが学部に紐づき、心理は公認心理師のルートがある大学があります。
  • 幅が広い系統…経済・経営・商は就職先の幅がもっとも広い。法学系は公務員・企業法務・金融、法科大学院という道があります。
  • 大学院まで含めて考える系統…理学系は大学院進学率が高い。工学系はメーカー・建設・IT・インフラ、農・生命系は食品・製薬・環境と技術職の公務員です。

資格に結びつく系統だけは、早めに判断したほうがいい。入試科目が重く、面接や小論文のある方式も多いからです。幅の広い系統なら、卒業後を今決める必要はありません。

学部の名前だけでは、中身は分かりません

  • 同じ「経営学部」でも、数学を多用する大学とほとんど使わない大学があります。入試で数学を選べるかも、統計を必修に置くかも大学ごとに違います。
  • 同じ「情報」でも文系型と理系型があります。数Ⅲが前提の大学と文系科目で受けられる大学が、同じ学部名で並んでいます。
  • 心理は文学部の中にある大学もあります。教育系や社会系の学部に置かれていることもあり、学部名で探すと見つかりません。
  • 名前が違っても中身が近いことがあります。総合政策・環境・国際教養などの総合・学際系は、複数分野の入門を横断して2年次以降に専攻を選ぶ設計が多い。名前の違いより「いつ専攻を決める仕組みか」の差が大きいです。
  • 社会学系・メディア系・福祉系は社会調査という共通の道具を使い、1年次にやることが近いことがあります。

確かめる方法はその大学のカリキュラム表を開くことだけです。系統ごとの中身のちがいは別記事にまとめてあります。経済・経営・商の比較(数学の扱い)、理工・情報・建築の比較(文系型と理系型の分かれ方)、教育・心理・社会・福祉の比較(心理がどこにあるか)。文学・人文系、法学・政治系、国際系にも同じ形の記事があります。

興味は、調べたあとに出てきます

「やりたいことを見つけてから学部を決める」のではなく、やってみて、できそうだと感じたものが、やりたいことになります。何も調べていない段階で自分に問いかけても答えは出ません。答えが出ないのは、材料がないだけです。やることは3つ、あわせて1〜2時間で終わります。

オープンキャンパスで見るもの

施設ではありません。模擬授業を1つ受けて、最後まで座っていられたかを見ます。話の面白さではなく、扱う言葉と考え方についていけたか。そこが「合う・合わない」の中身です。あとは、1年次の必修科目の一覧をもらえるか学生に「1年生のとき何が大変だったか」を聞けるか。参加率は9割で、行かなかった人の後悔理由の1位は「必要性を感じなかった」でした。高2時点の参加率は65%なので、高1・高2で1回行けば前に出られます。

カリキュラム表・シラバス・公開講座で見るもの

候補の系統について、1年次の必修科目の一覧を2つの大学分、読み比べます。同じ学部名でも科目が違うことが、これで分かります。次に気になった科目のシラバスを1つ開き、15回の授業計画と評価方法を見ます。時期が合わなければ、大学の公開講座や動画配信の模擬授業でかまいません。もう一つ軽い方法として、その系統の入門書を最初の章だけ読み、「何の話だったか」を3文で人に説明してみる。説明できたら、その分野の言葉が入ったということです。言えなければ、まだ距離があるという情報になります。

最後に、2つの系統に「続けられそう度」を5段階でつけ、高いほうを仮の学部学科軸にします。仮置きなので、あとで変えてかまいません。

今日30分でできること:紙に5項目を書き出す

  1. 得意な科目3つと、苦にならない作業の型1つ(読んで書く/規則と事例/数と記号/人に聞く/手を動かす/外に出る/言語の訓練から選ぶ)。
  2. 気になる系統を2つ。3つ以上書けたら絞れていない印です。いったん2つに。
  3. その2つについて、大学1校分の1年次必修科目。カリキュラム表から科目名を写すだけです。
  4. 続けられそう度を5段階で。「面白そう」ではなく「4年間続けられそう」で点をつけます。
  5. 次の行動を1文で。「土曜の朝、家で◯◯大学のオープンキャンパスの日程を開く」のように、いつ・どこで・何をするかを書きます。この形で書くと実行率が上がることが、90以上の研究をまとめた分析で確かめられています。

模試のたびに鉛筆で書き直す前提の紙です。項目は増やさず、埋まったら止める。それで足ります。

決めないまま進めて大丈夫な範囲と、決めないと詰む時期

決めないままで大丈夫なものは4つです。「やりたいこと」の確定(順序が逆なので先に決めなくていい)、大学名を1校に決めること(実力校・挑戦校・安全校と方式が確定するのは高3秋)、進路希望調査に書いた大学名、そして系統を2つ持ったままにしておくこと(1つに寄せるのは高2後半から高3春)。

決めないと詰むものは3つです。

  • 文系・理系と受験科目。ここが決まらないと、理科と社会の選択も、数Ⅲを使うかも決まりません。いちばん影響が大きい判断です。
  • 資格・免許に結びつく系統に行くかどうか。医療系・看護系・教育系・建築などは入試科目が重く、あとから乗り換えるのが難しい方向です。
  • 推薦・総合型を使うかどうか。要項は例年5〜7月ごろ公開、出願は9〜11月、選抜は10〜12月に集中します。志望理由書は学部が1つに決まっていないと書けません。添削は2往復が最低ラインで、締切の3週間前に1稿を終える必要があります。

学年ごとに落とします。

  • 高1…系統に印を2つ。オープンキャンパスに1回。定期テストを捨てない(評定は年内入試で効きます)。年に3時間で足ります。
  • 高2前半…文系・理系と受験科目を決める。系統を2つに絞る。模試を1回受けて今の位置を確認する。半日。
  • 高2後半…2つの系統について大学1校分のカリキュラム表を読む。過去問を1年分、解けそうな科目だけでよいので解く。半日。
  • 高3春…志望校・方式の候補を3つ以内に。推薦・総合型を使うなら前年度の要項と課題様式を集め、志望理由書の1稿を書く。
  • 高3夏…提出書類の添削を2往復以上。挑戦する大学の過去問を1年分。
  • 高3秋…大学名と方式を確定。出願・試験日・合格発表・入学手続きの4つの締切をカレンダーに書く。入学手続きの締切がいちばん重要です。
  • 高3冬…決めた構成を動かさない。

学年別の全体像は学年別ロードマップ、学部と志望校が決まったあとに調べる項目は志望校が決まったら調べることにまとめています。

決めた学部が合わなかったら、どうするか

心配で決められない人が多いので、事実を出します。文部科学省の調査では、大学を中途退学する理由の1位は「転学・進路変更」で22.0%、学力不振は7.3%でした。進路を変える人は一定数います。一発勝負ではありません。

同時に、この数字は辞める理由の最大が入る前のミスマッチだということでもあります。だから、入る前に1年次のカリキュラム表を1枚見ておく価値があります。4年間を守るためです。

決めきらないまま入る仕組みもあります。総合・学際系の学部は、1年次に複数分野の入門を横断して2年次以降に専攻を選ぶ設計が多い。そして、候補を消していく作業は失敗ではありません。「調べたら違った」は、進んだ証拠です。紙の5項目を書き直せば、それが「変えた」という手続きになります。

保護者の方へ

本人が決めるために足りていないのは、やる気ではなく情報です。用意できるものは3つです。

  • 候補の大学の1年次カリキュラム表。公式サイトの1ページです。印刷して渡すだけで本人の作業が半分終わります。
  • オープンキャンパスの日程と申し込み。参加率は9割で、行かなかった人の後悔理由の1位は「必要性を感じなかった」でした。日程を押さえるのは大人のほうが速いです。
  • 募集要項の試験科目と配点。1校5分で書き写せます。

費用と通学は一度だけ数字にしてください。初年度の納付金、4年間の総額、片道の通学時間を1回調べて共有する。一度も話さないと、合格したあとで問題になります。話が進まなくなったら、本人が書いた5項目の紙を見せてもらってください。1枚にまとまっていると、話が気持ちから事実に移ります。なお、本人のつらさが続くときは、勉強の設計だけで解決しようとせず、学校の先生や専門の相談窓口に相談してください。

「何から調べればいいか分からない」段階でも大丈夫です。面談では、この5項目を一緒に埋めて、次までに何を見てくるかまで決めます。

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EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

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二神大輝