【川越の高校生へ】世界史の頻出単元と大学別対策|地域と時代の優先順位を9大学の出題データから決める

こんにちは、EIMEI予備校の二神です。

この記事は、川越とその周辺の高校に通っていて、一般選抜で世界史を使う高2・高3生と、その保護者の方に向けて書いています。「世界史はどこから手をつければいいですか」に、地域と時代の優先順位という形で答えます。

結論を先に書きます。世界史は、どの地域・どの時代が出るかの大学差が特に大きい科目です。中国・東アジア史とヨーロッパ史はどの大学でもほぼ出ます。差がつくのは、アフリカ史・南北アメリカ史・西アジア史をどこまで仕上げるか、前近代と近現代のどちらに時間を寄せるかです。

EIMEIでは、早稲田・明治・青山学院・立教・中央・法政・慶應義塾・学習院・東洋の9大学について、過去の問題冊子を1冊ずつ読み込んで大学別の入試対策読本を作っています。この記事は、その世界史のデータを大学別ではなく地域・時代別に並べ替えたものです。なお東京電機大学は理工系の単科大学で、一般選抜に世界史がないため含まれません。

先にお断り|大学をまたいだ数字の比較はできません

以下に出てくる「3/3」「50大問中12」といった数字は、各大学を分析したときの分母・分子をそのままです。冊数も大問の数え方も大学ごとに違うので、「A大学のほうがB大学より頻出」という比べ方はできません。正しい読み方は、同じ大学の中で地域どうしを比べるか、同じ地域について大学ごとの「出る・出ない」を確認するかの2つです。

また、青山学院・立教・中央・法政・慶應義塾・学習院の6大学は年度別・大問別の集計表がある一方、早稲田・明治・東洋は短い要約が中心なので、以下では参考程度として扱います。

優先度1|中国・東アジア史とヨーロッパ史は、志望校が決まる前でも固めてよい

この2つは、9大学の資料を横断しても「まったく出ない」学部・年度が見当たらなかった地域です。志望校が固まる前に着手できる、数少ない範囲です。

中国・東アジア史

  • 学習院大学…3年10冊・50大問の集計で中国史が約12大問と単独地域では最多。殷周秦漢から隋唐宋元明清、近現代まで全期間に及びます
  • 早稲田大学の文学部…第1問が古代オリエント・エジプト、そして中国史1題が3年とも出る型が固定されています(参考程度)
  • 法政大学…A方式10冊のうち5冊で中国史。「アジア1+ヨーロッパ1+(アメリカ/現代国際/テーマ史)1」という地域配分が10冊中10冊で共通し、アジア枠の半分を中国が占めます
  • 東洋大学…2023〜24年度は4日程中3日程で大問Ⅰが中国史(参考程度)

例外的に薄いのが青山学院大学の経済学部A方式で、4年間のⅠ・Ⅱ計8大問のうち西アジア・中国を扱った大問は2つだけ。同じ青学でも全学部日程では「アジア(中国中心)がヨーロッパに次いで厚い」とされています。大学名ではなく方式まで見ないと、比重を読み違えます。

ヨーロッパ史(古代地中海を含む)

  • 青山学院大学の経済学部A方式…4年間のⅠ・Ⅱ計8大問中5大問がヨーロッパ。全学部日程でも地域配分で最も厚いのがヨーロッパです
  • 学習院大学…50大問中、古代地中海(ギリシア・ローマ)が約9大問。中世・近世が約5、近代欧米が約3で合計約17大問です。共和政ローマ、ペルシア戦争、ポリスなどで細かい人名・制度まで問われます
  • 慶應義塾大学…文学部は12大問中ヨーロッパ5で最多、法学部は12大問中4。商A方式もヨーロッパが最頻です
  • 法政大学・東洋大学…どちらも「中国1+ヨーロッパ1」が毎回の基本形です

ここまでが、志望校が1つに絞れていなくても投資して損がない範囲です。順番としては、まずこの2地域を通史として最後まで通すこと。具体的な周回の仕方・一問一答や年表の使い方は、日本史・世界史の勉強法をまとめた記事に書いたので、そちらを読んでください。この記事は「どこを厚くするか」だけを扱います。

優先度2|西アジア・イスラーム史は「頻出地域の一角」

必ず1大問という大学は多くありませんが、繰り返し出る大学ははっきりしています。

  • 明治大学…情報コミュニケーション学部で西アジア3/3、文学部でも3/3。一方で農学部はイスラーム・中国・アメリカをバランス配置と、学部ごとに位置づけが変わります(参考程度)
  • 学習院大学…「イスラーム・西アジア・インド」をまとめて約5大問。ムハンマドとウンマ、デリー=スルタン朝、ササン朝など。インド史とセットで扱われるのが特徴です
  • 東洋大学…オスマン帝国、イスラーム哲学科学史が毎年度1大問程度。2024年度の2月10日実施分は前年から一新され、文化史寄りのテーマに変わりました(参考程度)
  • 慶應義塾大学…法学部は12大問中2、商A方式はイスラーム圏が3年連続。中央大学は文学部別選抜の2025年度Ⅱがカイロの都市史・美術。法政大学は10冊中2冊で、アジア枠の中では中国史ほど固定的ではありません

王朝の興亡だけでなく、学問史・文化史・都市史の切り口で出る大学がある点が要注意です。

優先度3|アフリカ史は「後回しでよい」が最も危険な地域

地域の中で大学差がもっとも激しいのがアフリカ史です。

優先度を下げてよい側

  • 青山学院大学の経済学部A方式…4年間でアフリカが主題になった大問はゼロ
  • 青山学院大学の全学部日程…アフリカが単独大問になることはなく、必ず「帝国主義・アフリカ分割」の枠で数問だけ
  • 東洋大学…単独大問としては出にくく、他地域の大問内の1〜2問にとどまります(参考程度)

踏み込んだ対策が要る側

  • 学習院大学…50大問中約5大問。ガーナ・マリ・ソンガイ王国、サハラ交易、スワヒリ語圏、パン=アフリカ会議まで出ます
  • 慶應義塾大学の経済学部B方式…ラテンアメリカとアフリカの比重が他学部より格段に高い。コンゴ、南アフリカ、エチオピアが具体的なテーマとして挙がっています
  • 中央大学の法学部別選抜…2026年度に地域重心が「アフリカ」の大問が1題立ち、アフリカ河川の地図が付されました。経済学部2月14日方式でも2025年度の地域重心に「アフリカ含む」の記載があります

慶應義塾大学は世界史を課すのが文・法・商A方式・経済B方式の4学部だけですが、アフリカ史を主要テーマにしているのは経済学部B方式だけです(文学部は12大問中1)。学部ごとの違いは慶應義塾大学の入試対策読本の記事にまとめています。

優先度4|南北アメリカ・南アジア東南アジアは「枠の中に数問」が基本

単独大問になる大学は限られ、他地域の大問に組み込まれる形が多くなります。ただし例外があります。

  • 慶應義塾大学の経済学部B方式…ラテンアメリカの比重が突出。アルゼンチンのパンパ、チリのアジェンデ、スペイン領アメリカ、カリブ海の奴隷貿易などが挙がります
  • 青山学院大学の経済学部A方式…4年間でアメリカが主題の大問はゼロ(2023年度Ⅰで少し触れる程度)。同じ「経済学部」でも慶應とは正反対です
  • 学習院大学…東南アジア・アメリカ大陸で約3大問(シュリーヴィジャヤ、ボロブドゥール、北米先住民)
  • 中央大学…法学部別選抜は2025年度の地域重心が「インド」、2026年度は「アメリカ」でした

立教大学だけは扱いが違います。地域配分がほぼ毎回「全地域横断」で、イスラーム・南アジア・東南アジア・アフリカ・ラテンアメリカが各大問に必ず混じります。周辺地域を単独の分野ではなく、複数地域をまたぐテーマ史の一部として読む練習が要ります。

時代の重心|前近代を捨てられる大学と、捨てられない大学

地域と同じくらい効くのが、前近代と近現代(19世紀以降)のどちらに寄っているかです。

  • 慶應義塾大学の経済学部B方式1500年以前に関わる小問は3年計72小問中3問(4.2%)。時代は19〜20世紀に約8割が集中し、21世紀(香港、COP27、シェンゲン協定)も毎年出ます。古代・中世の精読より、19世紀以降の政治・経済・国際関係史に時間を集中させるほうが効率的です
  • 慶應義塾大学の文学部・法学部現代(戦後〜2020年代)が毎年必ず1大問分。法学部は時事性が強く、ターリバーン復権、ウクライナ侵攻、ガザ侵攻まで扱われています
  • 青山学院大学の全学部日程…前近代と近現代の比率が2023年度は約31対15、2024年度は約20対28、2025年度は約30対20と年度で大きく振れます(2025年度は20世紀がほぼ出ず)。ただし大問Ⅲだけは必ず19世紀以降です
  • 青山学院大学の経済学部A方式…2025年度はⅡが丸ごと戦後史。第五福竜丸、パグウォッシュ会議、スリーマイル島原発事故(1979年)、チョルノービリ原発事故(1986年)と戦後の細かい年号まで問われました
  • 立教大学…前近代と近現代はおおむね5対5ですが試験日差が大きい。2026年度2月8日は3大問中2大問が20世紀以降、2023年度2月13日と2025年度2月12日は前近代中心でした

「近現代だけ固めればいい」も「前近代は必ず出る」も、どちらも一般論としては危険です。青学や立教のように振れ幅が大きい大学を受けるなら、結局は通史全体を仕上げるしかありません。

答案の形式|同じ地域が出ても、必要な練習は別物

同じ地域が出ても、論述の有無・史料の有無・マークか記述かで、やるべき練習は変わります。

論述が毎年課される/まったくない

  • 毎年ある…早稲田の法学部(250〜300字、指定語句4つに下線必須が3年とも)、早稲田の商学部(100〜120字が3年不変)、明治の政治経済学部(220〜260字前後が3年連続)、青山学院の文学部史学科(350字以内で3年一貫、指定語句5〜7語すべて使用・初出に下線)、中央の法学部別選抜(10〜80字が3〜5問)、学習院の文学部コア(200字2題・30点)、慶應の商A方式(15〜40字を毎年2〜3題)
  • 年度で変わる…慶應の法学部は2024年度が論述なし、2025年度が300字×2題、2026年度が200字+240字。慶應の文学部は2025年度から40字以内×2題を導入
  • 字数指定がない…慶應の経済学部B方式。3年とも11〜13題あるのに字数指定が一切なく、解答欄の大きさが唯一の制限です
  • まったくない…法政(3年10冊すべてでゼロ)、東洋(全問マークで記述式自体がない)、中央の法学部別選抜以外の6方式、学習院の文学部コア以外の3学部、早稲田の文化構想・教育学部、明治の5学部、青山学院の全学部日程・経済A方式

法政は「世界史は語句記述、日本史は論述」と役割が分かれます。同じ大学でも、選ぶ科目で必要な練習が逆になります。

史料・地図・図版

  • 使わない…早稲田の法学部は史料・図版・地図が3年とも一切なし。慶應の文学部も3年とも一切なしですが、地図を見せずに「ボスニア=ヘルツェゴヴィナの首都」のように位置情報を言葉で問う設問が毎年入ります。学習院は地図問題が3年10冊で0件です
  • 濃く使う…慶應の経済学部B方式は史料が毎年10点前後、地図が毎年2〜4点(緯度経度の白地図)、グラフが毎年3〜6点。明治の文学部は史料3/3・地図3/3・図版2/3で全学部中もっとも濃く、早稲田の文化構想学部・文学部も図版が毎年5〜6点あります
  • 図像そのものを読ませる…立教は石鹸の広告、独立戦争期の風刺画、郵便切手、絵画の同定、写真の年代配列など。地図もほぼ毎回1〜2問出ます

学習院のように文章史料だけが毎冊1題(24〜32点)出て地図は出ない大学もあります。地図帳を開く時間が得点になるかどうかは、志望校で決まります(学習院大学の入試対策読本の記事)。

年代整序・正誤判定・独自ルール

  • 年代整序…東洋はほぼ全日程・各大問に1問以上で、近現代の国際政治外交史(講和・戦間期・冷戦)が主戦場。慶應の法学部は毎年3〜5問、青山学院の経済学部A方式は年代の前後判定(8択)、立教も年代配列が毎回複数出ます
  • 正誤判定…明治の情コミ・法学部は「長文から誤り1箇所を選ぶ」形式が毎年。慶應の法学部は2026年度にⅠ・Ⅱが全問4択の正誤判定に転換。学習院は誤りの語句と正しい語句を両方書かせる誤文訂正が毎冊必出です
  • 独自ルール…立教は「あてはまるものがない場合はeをマークせよ」が2023年度以降ほぼ全問に付き、4択でも実質5択になります

結局、どの順番でやるか

  1. 志望校が決まっていない時期…中国・東アジア史とヨーロッパ史(古代地中海を含む)を通史として最後まで通す。ここは9大学のどこを受けても要ります
  2. 志望校が絞れた時点…その大学・学部・方式を見て、西アジア・アフリカ・南北アメリカ・南アジア東南アジアの順位を決める。ここで初めて「捨てる/捨てない」を判断します
  3. 同時に時代の重心を決める…近現代偏重の大学だけを受けるのか、前近代も出る大学が混ざるのか。混ざるなら通史全体を仕上げるしかありません
  4. 形式に合わせて演習の種類を変える…論述があるなら字数・指定語句・下線のルールごと本番どおりに練習する。全問マークなら年代整序と正誤の精度に時間を寄せる
  5. 直近数年分の過去問を自分の手で解く…この記事の傾向が自分の受ける年度・方式にも当てはまるかを確かめてください

国語で古文・漢文が要るかどうかも、同じく学部・方式で決まります。社会と国語の負担を合わせて見積もるなら古文・漢文はどの大学で必要かの記事もあわせて読んでください。

最後に、やってはいけない一般化が3つあります。「アフリカ史は捨てていい」は学習院・慶應の経済学部B方式・中央の法学部別選抜では通りません。「近現代を固めれば足りる」も、青山学院の全学部日程では通りません。そして「大学単位で対策すればいい」。学部・方式が変われば別の試験で、立教にいたっては学部ではなく試験日で問題が決まります。

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