【川越の高校生へ】入試英語の頻出テーマ18|背景知識があると英文の読みやすさが変わる理由と、テーマごとの対立軸

こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。

この記事は、単語も文法もやったのに長文で点が伸びない高校生と、「英語は何をやらせればいいのか」と考える保護者の方に向けて書いています。

結論から書きます。入試英語の長文は、語学の試験であると同時に「教養の試験」でもあります。英文の多くは海外の科学誌・新聞・評論・大学教科書からの抜粋で、受験生は毎回、初見の英語で初見の学問的テーマに向き合わされます。だから読解力は、語彙力・文法力に背景知識を掛け合わせたものになります。

同じテーマが、大学のレベルを越えてくり返し出ます

私は英語科の教材として、全国約190大学・約2,600題の入試英語問題から415題・1,005本の長文パッセージを抽出し、テーマを1本ずつ分類した読本(「入試英語の教養 頻出テーマ読本」)を自作しています。対象年度は2007〜2026年度です。

分野別の内訳は次のとおりです。

  • 歴史・文化・人類学 125本…食の世界史、文化財返還、考古学
  • 脳科学・心理学 119本…記憶、幸福、習慣、時間感覚
  • 医療・健康 105本…睡眠、長寿、近視、公衆衛生
  • エッセイ・伝記/文学・物語 101本…体験記、物語文
  • 環境・気候変動 76本…温暖化、プラスチック、食品ロス
  • 以下、科学技術74本、社会・格差71本、言語66本、生物65本、経済64本、教育55本、AI44本、哲学・倫理40本。

驚いたのは、同じテーマが、難関国立大でも私立大でも医療系単科大でも、装いを変えてくり返し出ていることです。レベルが上がれば英文は難しくなりますが、話題そのものは共通しています。背景知識は志望校がどこでも無駄になりません。

大事なのは「丸暗記」ではなく「論の型」です

ここを誤解すると失敗します。覚えるべきは用語や数字ではありません。覚えるのは、そのテーマで議論がどう展開するかという「型」です。読本を書きながら見えてきた型は、大きく5つでした。

  • ①定説→見直し型…有名な説を紹介し、後半でその再検証を示す。
  • ②悲観の統計→希望の事例型…前半で危機の数字、後半で現場の取り組み。
  • ③進歩が新しい問題を生む型…解決が次の問題を連れてくる。
  • ④二つの善が衝突する型…どちらも正しい価値が対立し、正解が出ない。
  • ⑤能力の話か、責任の話か型…技術の話が途中から制度・倫理の話に変わる。

この型を知っていると、段落の展開が予測でき、未知の単語を文脈から推測でき、選択肢の吟味が速くなります。以下、読本の18章から、テーマごとの論点・対立軸・キーワードを紹介します。

心と脳のテーマ:受験生自身の話でもあります

記憶と学びの科学

核になる主張は「記憶は録画ではなく、思い出すたびに作り直されるもの」です。脳は出来事を丸ごと保存せず、断片を分散して蓄え、思い出す瞬間に再構成します。だから記憶は変わり、目撃証言が当てにならないこともくり返し確かめられてきました。

もう一つの関門は注意です。注意を向けなかった経験は「忘れた」のではなく、そもそも最初から記憶されていない。キーワードは間隔反復・手書き・紙で読むこと、そして睡眠中の固定化(記憶は眠っている間に長期記憶へ編み込まれる)です。

慶應義塾2026で記憶の再構成と注意、成蹊2025・順天堂2025で手書きと脳が出ています(慶應義塾大学の入試対策読本の記事)。

睡眠

対立軸は「意志」対「体内時計」。睡眠を支配しているのは根性ではなく約24時間周期の概日リズムで、朝型・夜型(クロノタイプ)も生物学的に実在します。思春期には体内時計が後ろにずれるため、「10代の始業時間は早すぎる」という指摘と、始業を遅らせた学校で成績や健康が改善した例が定番です。

スマートフォンと注意の経済学

まずマルチタスクは存在しないという論点。起きているのは高速の切り替えで、そのたびに脳は手数料を払っています。次にアテンション・エコノミー。SNSが無料な理由は広告収入で、広告の価値は画面を見つめる時間で決まる。つまりあなたの注意が商品です。

そして論争。SNSと若者のメンタルヘルスの関係を因果とみる研究者と相関にすぎないとみる研究者が対立しており、入試はこの論争そのものを出題します(東京都立大は対立する研究を並べて読ませました)。道具には設計思想があり、設計は人間の心理を利用しうるという構造をつかむことが武器になります。

幸福・先延ばし・退屈

  • 幸福…逆説が主題です。幸福を強く追い求める人ほど不幸になりやすい。左右する最大の要因は収入や学歴ではなく人とのつながりの質で、孤独は喫煙に匹敵する健康リスクとして扱われます。近年は happiness に代わり well-being が主役の語です。
  • 先延ばし…正体は怠け癖ではなく感情の問題。不快な感情から逃れるために目先の快適さを選ぶので、意志ではなく仕組みで縛ります。習慣は「きっかけ→行動→報酬」のループとして自動化され、意志力をほとんど使いません。マシュマロ実験の再検証(我慢できるかどうかは家庭の経済的安定や大人への信頼に左右されていた)は①の型の代表例です。
  • 退屈…何もしていないとき脳はデフォルトモード・ネットワークを働かせ、記憶を整理し無関係な情報を結びつけます。鍵は収束的思考と拡散的思考の対比で、スマホで注意を埋めることは拡散的思考の時間を奪います。

退屈の効用や職場の「余白時間」は明治2025で、先延ばしに関わる外国語効果の実験も明治2025で出ています(明治大学の入試対策読本の記事)。

いのちと地球のテーマ:対立軸がはっきりしています

長寿と老化/感染症と公衆衛生

老化の論点は「老化は病気か、それとも進化の管轄外で蓄積した劣化か」。自然選択は繁殖期を過ぎた個体に関心を持たないという進化生物学の説明と、老化を治療可能とみる近年の研究が対立します。キーワードはスーパーエイジャーブルーゾーン、そして高齢化を「負担」ではなく市場と知恵の資源とみる長寿経済です。

公衆衛生の原型はジョン・スノウです。1854年のロンドンで、細菌の存在すら知られていない時代に、死者の家を地図に記して共同井戸を突き止め、ポンプの柄を外させて流行を止めた。原因の完全な解明を待たずとも、パターンの観察から命を救う介入はできる——これが「疫学の誕生」です。ここに衛生仮説(清潔すぎる環境が免疫系を訓練不足にした)が③の型として重なり、ワクチン忌避では争点が科学から信頼へ移ります。

動物の心/絶滅と保全

動物の心では方法論が対立軸です。単純な仕組みで説明できる行動を安易に高度な心で説明してはならないという節度(モーガンの公準)と、逆に連続性を軽視する擬人化恐怖症への批判。地味な実験手続きの描写を正確に読み取らせる出題が多く、最大の論点は「言語は人間に固有か」です。

保全の英文は②の型そのもの。六度目の大量絶滅遺伝的多様性の喪失(個体数が回復しても多様性を失った集団は病気や環境変化への抵抗力を失う)という危機の記述から、必ず現場の物語へ進みます。危機の描写だけで終わる文章はほとんどありません。キーワードは生態系サービス脱絶滅の賛否です。

気候変動/プラスチックと使い捨て社会

最重要の概念は気候正義(climate justice)です。温室効果ガスをほとんど出していない地域が洪水に襲われ、被害は国内外の貧困層に集中して格差を広げる。原因への寄与と被害の大きさが逆転しているという不公正が軸です。対策の側にも論争があり、ジオエンジニアリングのリスク、電気自動車の環境負荷論争、ティッピング・ポイント(海洋循環AMOCの急停止リスク)まで押さえます。「対策にも副作用と論争がある」という視点があれば、どこから出ても対応できます。

プラスチック・ファストファッション・食品ロスは3点セットで一体に理解します。共通する転換は線形経済から循環経済へ。食品ロスは世界の食料の約3分の1が捨てられる一方、10億人近くが栄養不足という矛盾が主題で、飢餓は生産量ではなく分配の問題という結論に着地します。

ことば・文化・未来のテーマ:正解のない問いが好まれます

言語と思考/変わりゆくことば

サピア=ウォーフ仮説は言語学の百年論争です。「言語が思考を決定する」という強い主張は退けられた、しかし言語が思考にゆるやかな影響を与えることは次々に示されている——この「強い主張は否定、弱い影響は肯定」という着地の形を知っておくと、選択肢の言い過ぎを見抜けます。母語は思考の透明な容器ではなくうっすら色のついたレンズです。キーワードはコードスイッチング消滅危機言語(約7,000ある言語の多くが危機にあり、失われるのは単語帳ではなく生態系の知識や世界の分類の仕方)、手話は文法を備えた完全な自然言語であるという論点です。

言語変化の対立軸は規範主義記述主義。正しい用法を定めるべきか、実際の使われ方を記録すべきか。現代の辞書編纂は後者に舵を切り、辞書は規則集ではなく地図だという英文が出ています。そしてこの種の英文は最終的に「ことばと権力」に着地することが多い。訛りが能力の低さとみなされる差別、標準化と社会階層。ここが見えていれば筆者の立ち位置をすぐつかめます。

サピア=ウォーフ仮説の再検討は慶應2026、コードスイッチングは早稲田2026で出題されています(早稲田大学の入試対策読本の記事)。

食の世界史

歴史・文化系125本の最大の山です。集計ではコーヒーの歴史が少なくとも5大学、茶の歴史が4大学グローバル化・貿易・宗教・労働・科学というあらゆる主題がカップ一杯に濃縮されているからです。

効く論点を3つ。ロンドンのコーヒーハウスは1ペニーで誰もが議論に参加できる「1ペニー大学」と呼ばれ、新聞・保険・株式取引所を生みました。19世紀のアメリカで最も飲まれていた茶は日本の緑茶で、明治期の対米輸出は日本経済を支えたものの紅茶に取って代わられます。カカオは、過去のロマンと児童労働・貧困・気候変動という「ほろ苦い」現在が対比されます。

文化財は誰のものか

④の型の代表です。大英博物館のエルギン・マーブルズ返還論争では、賛成論(持ち出しの経緯に正統性がない、文化財は元の文脈でこそ意味を持つ、彫刻群を再統合できるのはアテネだけ)と反対論(当時の法では合法、返還の連鎖が始まれば世界の博物館は空になる、ロンドンだからこそ多くの人が無料で見られる、保存技術と安全性)が並びます。早稲田2026は賛成の論説と反論を並べて読ませました。歴史的正義と普遍的アクセス、二つの善が衝突するときどう考えるか。暗記で済む正解がないからこそ入試に向きます。第三の道として長期貸与や共同管理も出てきます。

人類の長い物語/AIと生きる

人類史は常に「定説への挑戦」という形で出題されます。約1万年前の農耕革命は進歩だったのか。骨の分析によれば初期の農耕民は狩猟採集民より小柄で栄養状態が悪く、感染症に苦しみ、労働時間はむしろ延びていた。ほかに調理仮説(調理で消化の負担が減り、浮いたエネルギーが脳の拡大に回った)。時間スケールの比喩が出てきたらビッグヒストリー型です。

AIは44本と本数は少ないものの、増加率では全分野トップ。重心は「AIに何ができるか」から「AIと人間はどう付き合うべきか」へ移りました。仕事については「仕事が丸ごと消えるのではなく、仕事の中身が組み替えられる」が共通の構図で、機械への恐怖はラッダイト運動以来の歴史として相対化されます。中身の理解ではデータが偏れば判断も偏る(顔認識の精度差、学習データの英語偏重)。倫理では責任の所在「能力の話」か「責任の話」かを見分けるだけで、議論の見通しが良くなります。

AIのバイアスは法政2025、ケインズの「週15時間労働」予測とAIは青山学院2026で出ています(青山学院大学の入試対策読本の記事)。

18のテーマは、実はつながっています

睡眠は記憶を固定し、スマホは注意を奪い、注意は幸福を左右する。農耕革命は食の世界史へ、公衆衛生は気候正義へと続く。入試英語が試しているのは、この「つながった知の地図」を持っているかどうかです。

具体的な進め方の目安

やることは2つです。

  1. 先に日本語でテーマを通す…18テーマなら週2テーマで9週、1テーマ20〜30分の読み物として入れます。高1・高2で英語が伸び悩んでいる時期にこそ向きます。
  2. 長文を解いたら、テーマを特定して読み直す…その英文が18テーマのどれに当たるかを探して読み直します。「この話、知っている」という感覚を積み上げるのが目的です。

注意点が2つ。ひとつ、背景知識は語彙力・文法力の代わりにはなりません。構文が取れない段階でテーマ知識だけ増やすと、知っている単語を拾って話を作る読み方になります。土台があるうえで背景知識が速さと正確さを押し上げる、という順序です。

ふたつ、各テーマの「対立軸」と「結論の形」をノートに1行ずつ書き出してください。気候変動なら「軸=原因を出した者と被害を受ける者のずれ/結論の形=対策にも副作用がある」。この1行が選択肢を切る基準になります。

川越で、背景知識をどう入れていくか

ここまでの内容は一人でもやれます。つまずきやすいのは、志望校がどのテーマをどの形式で出すのかの確定と、読んだ知識を実際の英文で使えているかの確認の2点。前者は学部・方式・日程の単位で過去問を見る必要があり、後者は自分の答案からは見えません。EIMEI予備校では、この2つを1対1の個別指導で扱っています。

あわせて読みたい

無料体験・個別説明会のご案内

EIMEI予備校の川越校舎は、川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分自習室は朝7時から使えます(2026年6月開校)。学校が始まる前に、テーマ読本を1本読んでから英文を1題解く、という回し方がしやすい環境です。グループ校舎はふじみ野・鶴瀬にあります。

無料体験・個別説明会では、志望している大学・学部・方式を書き出し、その大学の長文でどのテーマが出ているかを一緒に確認します。そのうえで、単語・構文の土台と背景知識のどちらを先に詰めるべきかをお伝えします。高1・高2でも大丈夫です。

EIMEI予備校 川越校舎の無料体験・個別説明会はこちらから

※この記事のテーマ分類と出題例は、EIMEI予備校が自作している「入試英語の教養 頻出テーマ読本」(約190大学・約2,600題から415題・1,005パッセージを抽出し分類、対象年度2007〜2026年度)にもとづきます。同書は入試問題本文の翻訳・転載ではありません。出題傾向は年度によって変わります。受験にあたっては各大学の最新の募集要項と過去問でご確認ください。

EIMEI予備校について

EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。

  • 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
  • ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
  • 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。

川越校舎の詳細・無料体験のお申し込みはこちら/ふじみ野・鶴瀬校舎のことは公式LINEからお問い合わせください。

📩 二神大輝 の更新をメールで受け取る
新しい記事が公開されたらお知らせします(いつでも解除OK) ・ 読者 2
この記事が役に立ったら、いいね!

この記事を書いた人

二神大輝