この記事は、青山学院大学を受ける高校生・既卒生と保護者の方に向けて書いています。青学の英語は、入口が違えば別の試験です。EIMEI予備校(川越・ふじみ野・鶴瀬)で自作している入試対策読本から、青学の英語だけを取り出して整理します。
英語の準備は、入口で変わります
青学の一般選抜は入口が三つ。2026年度の実質倍率は一般方式(全学部日程+個別学部日程)5.3倍・合格者5,282人、共通テスト利用3.9倍・合格者5,676人。合格者の半分以上が共通テスト利用から出ています。
- 共通テスト利用…独自試験はなし。対策は共通テストそのものです。
- 全学部日程…11学部が同じ日に同じ問題。全問マークで、和訳も英作文も出ません。
- 個別学部日程…学部・方式ごとに日も問題も別。和訳・英作文・日本語の論述が出ます。
- 英語資格を使う入口…国際政治経済学部B方式と、文学部英米文学科D方式。
個別学部日程で英語以外の教科を独自試験で課すのは、経済・理工・社会情報B/C方式・文学部の一部の四つのルートだけ。残りは総合問題・論述・小論文に置き換わります。英語だけが教科の試験として残る場面が非常に多いのです。しかも科目名が「外国語」でなくても英語は入ります。英米文B方式の総合問題は大学の説明ではリスニングと英語のライティング、法学部B方式には英文読解と英語での論述、国際政治経済学部には英文資料が入ります(青学の入口別の記事)。
入口・学部別の大問構成と時間と配点
全学部日程 ― 4年間動かない40問
外国語は80分150点。文系は満点350点なので英語だけで43%、理工と文学部の一部は400点満点で37.5%。どの学部でも最大配点。構成は2023〜2026年度で設問数まで不変。Ⅰ長文読解10問/Ⅱ長文の空所補充15問/ⅢPart I誤り指摘5問/ⅢPart II文法語法5問/Ⅳ会話文5問の計40問、全マーク、記述ゼロ。唯一の変更はⅢPart Iで、2023年度の整序英作文が2024年度から誤り指摘に変わり、整序は3年連続未出です。
経済学部 ― 90分で80問超
外国語は90分150点。マークは2023年度75問、2024年度80問、2025年度83問、2026年度84問と増え続け、これに記述が2〜4問。大問1 文章+グラフ5問/2 短文3本の要旨6問/3 文法語彙5問+和文付き語句整序5題(1題2マーク・計15マーク)/4 長文+下線部和訳/5 会話文+30語程度の自由英作文。記述は直近2年とも「和訳+30語の英作文」で、和文英訳も発音も4年間ゼロです。
経営学部 ― マーク40問+記述3問
科目名は「外国語(読解)」で90分150点。マークは4年間つねに40問ちょうど、かわりに記述が3問(下線部和訳・和文英訳・図表付き長文の日本語記述)。日本語記述は2026年度に150字から200字へ増えました。2027年度から独自問題は「総合問題」90分150点になり、共通テストの国語100・地歴公民か数学100・英語50と合わせて400点満点に。大学はその中身を「英語の長文読解を中心として基礎力・総合力を問う問題、ならびに企業・社会に関して思考力や表現力を日本語で問う問題」と説明しています。
文学部英米文学科 ― 全方式に記述があります
- A方式(外国語60分150点)…Ⅰ長文10問/Ⅱ下線部和訳2箇所/Ⅲ英作文50語/Ⅳ文法語法5問=マーク15問+記述3箇所
- B方式(外国語80分150点)…上記+Ⅴ第2長文5問=マーク20問+記述3箇所
- C方式(外国語80分200点)…上記+Ⅴリスニング10問・音声2回=マーク25問+記述3箇所
- D方式…英語で書く論述60分100点だけ
2025年度に全方式のリスニング(音声1回)と会話イディオムが廃止され、文法語法5問が新設されました。A方式も含め全方式に記述があります。A方式とB・C方式は同じ年度でも問題が完全に別です。和訳は2025年度から2箇所に増え、2026年度は大問Ⅰの設問が文完成型から「According to the essay, why…?」型になりました。
理工学部・社会情報学部 ― 記述併用と全問マークで正反対
理工の外国語はA方式80分150点(450点満点中)、B方式60分100点(500点満点中)。確認できた3年分すべてで、Ⅰ長文+下線部A・Bの和訳/Ⅱ英英定義から単語を綴る10語(記述)/Ⅲ文法語法20問/Ⅳ会話文10問/Ⅴ整序英作文4問が小問番号まで一致し、マーク49問+記述12箇所。和訳には毎年条件が付き、2025年度は「カタカナを使ってはならない」。
社会情報学部は正反対で全50問マーク・記述ゼロ。語彙10/空所補充10/誤り指摘10/長文3本×5問=15/会話文5という構成が4年分すべて一致。A方式は外国語200点のみ、B方式+数学150、C方式+数学250、D方式+総合問題200で、どの方式でも英語200点が軸です。外国語の試験時間は読本に記載がないので要項で確認してください。
英語資格・検定スコアが使える入口と、その扱い
- 国際政治経済学部B方式(3学科)…独自試験の論述・総合問題100点+英語資格・検定試験15点の115点満点。2026年度の合格最低点95〜96点=得点率82.6〜83.5%は高く見えますが、読本は「15点がほぼ満点で加算される受験生が多いので、実質は論述で8割前後」と読んでいます。
- 文学部英米文学科D方式…英語資格・検定試験を出願資格とし、独自試験は英語で書く論述60分100点だけ。2026年度は受験者203人・合格者48人・倍率4.2倍。
ただし読本には、国際政治経済学部B方式について「配点15点」と「出願資格」の両方の説明があります。出願条件なのか加点なのか、どの試験のどのスコアが何点になるのかは書かれていません。独自試験の代替という記述もありません。受ける年度の要項で必ず確認してください(外部スコアの記事)。
設問形式の内訳を分母つきで見る
- 全学部日程 40問中…読解25問=62.5%、文法語法10問=25%、会話文5問=12.5%
- 社会情報 50問中…語彙・空所補充20問=40%、誤り指摘10問=20%、長文15問=30%、会話文5問=10%
- 理工 マーク49問中…文法語法20問=約41%。ほかに記述12箇所
読解が6割を超えるのは全学部日程だけ。個別学部日程に進むほど、語彙・文法・記述の比重が上がります。
長文のテーマ傾向と、頻出テーマのデータ
- 全学部日程…Ⅰは2023年度が紀行文、2024年度が生成AIとアート、2025年度が合成生物学、2026年度がシリコンバレー。Ⅱは3年連続で人物伝でしたが2026年度は空飛ぶタクシーの技術記事。
- 経済…大問1に毎年かならず図表1点(日銀短観のDI、貧困率など)。大問4の長文はiPS細胞、スペインかぜ、料理と人間関係で、経済系とは限りません。
- 経営…監視資本主義、キャッシュレス決済、所得格差と健康。ビジネス・社会科学で一貫。
- 英米文…新大陸の植民、図書館の歴史、感情認識AI、日系人強制収容、単数形のthey。英米の歴史・文化・言語が主戦場。
- 社会情報…自動化と雇用、GPTの技術史、高血圧の疫学、AIと人権。情報・社会科学に完全特化。
ここに頻出テーマのデータを重ねます。2007〜2026年度の入試英文を415題・約86万語のコーパスにして集計すると、パッセージ数が最多なのは歴史・文化・人類学で125題、次いで心理・脳科学104題、医療・健康86題。AI・情報技術は直近2年で急増中です。英米文なら歴史・文化・人類学(ancient、colonial、indigenous)と言語論、社会情報ならAI・情報技術(algorithm、surveillance)と社会・格差、理工なら心理・脳科学と環境、経営なら経済・仕事・消費に絞れます。経済学部は別枠で、大問1で問われるのは経済の知識ではなくグラフを説明する英語(increase、decline、percentage point、peak、plateau)です(大学別の英語の比較)。
入口ごとに「1分あたり何語読むか」を出す
語数を実測で出せるのは英米文学科です。大問Ⅰが約1,250〜1,450語、B方式の第2長文が850〜900語、和訳素材のⅡが400〜700語。試験時間で割ります(設問文と選択肢は除く)。
- A方式…1,650〜2,150語を60分=1分あたり約28〜36語。同じ60分で和訳2箇所と50語の英作文も書きます。
- B方式…2,500〜3,050語を80分=約31〜38語。読む量が最多です。
- C方式…読む英文はA方式と同じで80分=約21〜27語。別にリスニング10問。
ほかの学部は語数の記載がないので、「1問あたりの時間」に置き換えます。
- 全学部日程…80分で40問=1問2分。読解25問に50分、Ⅲ・Ⅳの15問に20分(1問80秒)。ⅢとⅣを20分で片づけられるかが、読解に使える時間を決めます。
- 経済…90分でマーク84問=1問約64秒。大問1〜3の26マークを15分(1マーク約35秒)で抜け、残り75分を長文と英作文に残します。
- 経営…90分で43箇所=1箇所約2分。200字の記述に20分置くと、残り70分で40問と和訳2種。
- 理工…A方式は80分で61箇所、1箇所約1.3分。B方式は60分なので、同じ型なら約1分まで詰まります。
この数字は過去問を解く前に紙に書いてください。時間切れの原因は、読む速度より配分を決めずに解き始めることのほうが多いです(1分あたりの語数の記事)。
英語がいちばん重い学部 ― 文学部英米文学科
全学部日程では募集5名・受験者212名で倍率10.6倍、合格最低点274.0/350=78.3%。募集5名の学科を全学部日程だけで狙うのは分の悪い賭けです。個別は共通テスト併用のA方式が倍率2.6倍で340.0/450=約75.6%、C方式が5.5倍で236.0/300=約78.7%。第一志望なら主戦場は個別学部日程です。やることは、①1,300語級の論説を英米の歴史・文化・言語学のテーマ知識込みで読み切る、②下線部和訳(複文・関係詞が狙われる。訳す形の構文解析を毎週)、③50語の自由英作文、④C方式志望ならリスニング。2024年度以前の過去問にあるリスニングと会話イディオムは飛ばしてかまいません。
複数の学部を併願するときの準備の順番
- 入口を確定させる。共通テストを使うか、独自試験は教科か総合問題か、記述はあるか。
- 全学部日程を土台にする。11学部が共通問題なので過去問は1種類で足り、記述の練習も不要。効率が最も高い入口です。
- 第一志望の個別を1つ足す。記述のある方式(英米文・経済・経営・理工)は書く練習を週単位で。
- 共通して効くものと別物を分ける。理工と社会情報の併願で共通に効くのは文法語法と会話文だけ。理工の記述と社会情報の難語彙は別枠です。
- 形式の差を洗い出し、過去問は方式まで確認する。整序英作文は全学部日程では2024年度以降未出ですが経済では毎年5題。英米文のA方式とB・C方式、理工のA・B方式は過去問が2種類必要。
青学を受けるなら最低限やっておくこと3つ
- 文法語法と誤り指摘。全学部日程のⅢで10問、理工のⅢで20問、社会情報は第2問10問+誤り指摘10問。狙われるのは可算・不可算と単数複数、比較級と原級の混同、受動態の形、熟語の前置詞です。
- 句動詞のコロケーションと口語イディオム。全学部日程のⅡでは、単語集レベルの語彙より nothing short of、drop out of のような表現がそのまま得点になります。Ⅳの会話文は4年間「言い換え」一点張りで、会話表現を100〜200個覚えれば5問取り切れます。
- 自分の入口の記述を手で書く。英米文なら和訳2箇所+50語、経済なら和訳+30語、経営なら和訳+和文英訳+200字、理工なら条件つき和訳+綴り10語。全学部日程と社会情報だけなら記述はゼロなので不要です。
残り3か月の優先順位
- 1か月目…入口を確定し、志望方式の過去問を1年分、時間を計って解きます。点数は気にせず、形と時間の感覚をつかみます。そのうえで文法語法と誤り指摘を1周。全学部日程の文法パートは数年を置いて同じ項目が再び出ます(2023年度Ⅲ33番と2026年度Ⅲ32番はほぼ同じ)。反復が効きます。
- 2か月目…いちばん落としている大問だけを埋めます。句動詞・熟語と会話表現はこの時期に。テーマ語彙は2〜3テーマに絞り、記述のある方式は週1本、時間を計って書きます。
- 3か月目…2年分目・3年分目を解き、3回分を並べます。1回の点数はぶれますが、3回並べれば毎回落としている大問が見えます。目標は合格最低点の得点率に5ポイント足した水準です。
合格最低点や倍率は年によって動きます。出題形式・配点・試験時間・英語資格の扱いは、受ける年度の入学者選抜要項で必ず確認してください。勉強が進まない時期が続くときは、一人で抱えず学校の先生や保護者に相談してください。青学を受けるなら、「どの入口で何分で何問を解くのか」を紙に書くところから、川越校舎で一緒に始めましょう。
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