こんにちは、EIMEI予備校で英語科を担当している二神です。
この記事は、経済・経営・商・総合政策などを志望している高校3年生・既卒生と、その保護者の方に向けて書いています。併願先には似た名前の学部が並びますが、同じ「経済学部」でも試験の性格はまったく違います。数学必須の方式、数学では受けられない学部、日本語の論述が出る学部が同居します。
材料は、私が自作した大学別の入試対策読本(東洋・青学・中央・東京電機・学習院・法政・慶應・明治・立教・埼玉・成蹊・早稲田)です。過去問の冊子を実際に読んで数えた値だけを書きます。
大学ごとを横に並べると、性格を決めているのは①数学で受けられるか、②記述・論述・小論文があるか、③英語が満点の何割かの3点でした。いずれも選択科目を決める段階で判断すべきことです。
1. 数学必須か、数学が選べないか
いちばんはっきりしているのが慶應義塾大学の経済学部です。A方式は数学必須で募集400名、B方式は地理歴史必須で募集200名。併願はできません。入学後の履修コースも方式で決まります。さらに2027年度から小論文が休止され、数学または地理歴史が200点・100分に拡大して2科目400点満点に。2026年度以前の小論文の過去問は、これから受ける人には不要です。
青山学院大学の経済学部も2027年度に動きます。個別学部日程にA方式(外国語150+地歴公民100+数学60分100=350点)が新設され、B方式(外国語150+数学90分150=300点)と合わせて募集約355名のうち数学必須の方式が約235名と過半数に。加えて現代経済デザイン学科にはC方式(英語+地歴公民)が設定されません。地歴公民で受けるつもりだった人には実質的な締め出しです。成蹊の経済学部経済数理学科のA方式も、国語100・数学(必須)200・英語100の400点満点です。
逆の制約もあります。立教大学は選択科目で受けられる試験日が変わり、日本史・世界史なら5回、文系数学は2回、地理と公共,政治・経済は1回だけです。合否は日程ごとに独立して判定されるので、政経選択なら立教は1回勝負の大学になります。
成蹊の経営学部はA方式の選択科目が日本史・世界史・数学だけで、地理と政経では受けられません。早稲田の政治経済学部は共通テスト100点(国語・数学Ⅰ、A・英語・選択が各25点)+学部独自の総合問題120分100点で、共通テストの数学Ⅰ・Aが全員必須です。
数学の中身も大学で別物です
- 早稲田・商(数学型)…90分60点、3大問。文系型で最も難しく、受験者平均は60点中7.805点(13%)。
- 慶應・商A方式…範囲が「数学Aから図形の性質・場合の数と確率、数学Bから数列、数学Cからベクトル」に限定され、実際に守られています。
- 中央・商A/B…60分100点、4大問の全記述で大問Ⅳ=場合の数・確率が4冊中4冊。経済Ⅰ・Ⅱは3大問で、大問Ⅰは「結果のみ記入」です。
- 法政・経済学部系(冊子209・212)…この冊子だけ「途中経過も書くこと」「その指示どおりでない場合は採点の対象としない」と明記され、増減表の作成まで要求されます。答えだけでは0点です。立教の文系数学も全問記述で、毎回3〜4問に途中経過の指定があり、微分積分Ⅱが8冊すべてで記述大問になっています。
- 埼玉大学・経済学部…大問4題・全問記述で、場合の数・確率が5年とも、証明が5年中4回。
新課程の「統計的な推測」にも注意を。法政は3年間45大問でゼロ、学習院・立教・埼玉大でも出ていません。ところが明治の政治経済学部は2027年度から出題範囲に加わります。過去問に前例のない新規分野です。単元の優先順位は入試数学の頻出単元と大学別対策の記事にまとめています。
2. 大学ごとの違いを、読本の実測値で
英語 ― 時間・語数・設問数
- 慶應…商は90分・8大問でマーク46問+記述11問=57問が3年間同じ、総語数は約5,200語で1分あたり約58語。総合政策は120分で3題60問の全問マークで、英語Ⅲが1,230〜1,550語の一本で30問=配点の半分です。
- 青山学院・経済/経営…どちらも5大問ですが、経済はマークが2023年度75問→2026年度84問と増加し大問1に毎年図表が1点。経営はマークが4年間つねに40問ちょうどで経済の約半分、そのかわり記述が3問です。
- 明治・政治経済/商…政治経済は60分で設問60〜65問と1問1分を切る速度勝負。商は80分で総語数が4学部中最多、表紙に「あいまいな綴り方は不正解とする」とあり、語形変化8語を手で書かせます。
- 中央…商A/Bは80分150点で長文2題(1題900〜1,100語級)105点+自由英作文80語以上15点。総合政策は90分150点の全問マークで設問文がすべて英語、1,100語級の長文2題。国際経営は90分200点で英語200点に国語100点と、10学部で英語の比重が最も高い。
- 早稲田・商…90分、会話文1題+長文4題でマークが100問超、記述が5〜6カ所。整序英作文の箇所は3年で3→4→6カ所と増加。
- 学習院…法・経済・文・理で3年間同じ7大問150点90分の型です。
- 成蹊…経営A方式は全問マークで、Ⅱが実在企業のケース。経済A方式は2023〜2025年度が国語との融合冊子で、2026年度に英語単独(長文2題・計2,700語前後)に変わりました。
- 東洋…60分100点、全問マーク、解答数37〜45。同じ試験日なら学部が違っても問題は一字一句同じ。埼玉大学の前期は教養・経済・教育の3学部共通の1冊で、5年とも長文2題+120〜150語の自由英作文、和訳も要約もゼロです。
記述はどこに、何字あるか
- 慶應・経済…前半Ⅰ〜Ⅲ(解答番号1〜33)が先に採点され、基準に達した人だけ後半が採点されます。その境目が冊子17ページ目に「ここからは解答用紙Bを使用しなさい」と印刷されています。英作文には「異なる見解に言及して反論する」「著者名と出版年を記す」という条件つき。
- 青山学院…経営は大問5で英文と図表2〜3点を読み、数値を使って日本語150〜200字で説明する記述が毎年。2025年度は「共通点は答えず、相違点とその理由のみ」でした。失点の多くは英語力ではなく設問条件の読み違いです。経済は和訳+30語程度の自由英作文で型が定着しています。
- 中央・商…3年連続で80語以上の自由英作文(15点)。「金融教育を必修にすべきか」など賛否二択型で、中央で英作文が出るのは商だけです。
- 学習院は記述が25字以内の部分和訳・抜き出し・和文英訳だけ、法政は英語17冊すべて全問マークで記述ゼロ。逆に埼玉大学・経済の国語は全問記述で、字数指定の説明6問で合計520〜660字を書きます。
小論文・論述・総合問題
- 慶應…総合政策は2科目・各200点・各120分でうち1科目が小論文、満点の半分を占めます。商B方式の「論文テスト」は100点・70分で満点の25%。要項の説明には他学部にある「発想」「構想力」がなく、資料と図表を正確に読む力が問われます。受験者平均は62.2%と法学部の小論文(46.7%)より高い。なお商学部A方式には小論文も論文テストもありません。
- 青山学院…国際政治経済の独自試験は「論述・総合問題」70分100点で、英文資料とグラフが入ります。経営は2027年度から科目名が「総合問題」(90分150点)へ。中身は2023〜2026年度の英語そのものなので、従来の過去問がそのまま最良の教材です。
- 早稲田・政治経済…学部独自試験は120分100点の総合問題1本で、受験者平均は60.628点(61%)。
3. 数学で受けるか、社会で受けるか
まず受験回数が変わります。 立教は文系数学だと2回、日本史・世界史なら5回です。
次に、その大学で数学が「取れる科目」かを見ます。 早稲田の商学部は受験者平均が国語65%、政治・経済63%、世界史61%、日本史55%に対して数学は13%。数学型なら、数学で稼ぐのではなく英語と国語で確実に取る設計に。逆に数学で3割取れれば平均を引き離せます。
答案の書き方まで要求されるかを見ます。 法政の経済学部系、立教、埼玉大学は途中経過や増減表を書かないと点になりません。一方で東洋の文系数学は全問マークで部分点なし。同じ「数学で受ける」でも鍛える技術が違います。
社会で受けるなら、科目が学部に縛られます。 中央の政治・経済は、3年分15冊で計算問題が出たのは経済学部Ⅰ・Ⅱだけでした。共通選抜・法学部別・商学部は3年間ゼロ。経済Ⅰは年に2〜4問で、需給均衡、信用創造、為替換算、ジニ係数などを電卓なしで処理します。しかも経済学部でも政治が40点あり、捨てられません。優先順位は政治・経済の頻出単元と大学別対策の記事に整理しています。
世界史も同じです。中央の経済学部Ⅰ(2/14)は本当に経済史に特化し、銀の流通、恐慌、ハンザ同盟の商業史などが並びます。ところが同じ経済学部でも選抜Ⅱ(2/15)は政治・外交・文化中心です。
合格最低点に差が出る学科もあります。 東洋大学の2026年度前期・3教科均等配点(300点満点)では、経済学科が英国数175.9点、英国地公188.8点と13点近く違いました。
4. 対策が重なる大学と、別に時間が要る大学
A ― 一つの訓練でまとめて面倒を見られる群
- 法政のA方式(経済学部系の冊子209・212、経営の冊子207・208)― 全問マーク
- 中央の総合政策・国際経営・5学部共通選抜 ― 全問マーク
- 明治の商・政治経済/東洋の前期/成蹊の経営A・E方式
この群は「標準的な英文を速く読み、選択肢を消去法で詰める」同じ力で戦えます。法政の冊子209は3年とも同じ骨格で、過去問がそのまま予行演習です。
中央の5学部共通選抜は、1回の試験で法・経済・商・文・総合政策に最大6出願まで判定を受けられます。ただし総語数が2,300語超で80分なので、マークだからと侮れません。立教も同一試験日・同一科目なら学部を問わず同じ問題で、経済学部志望でも文学部の過去問が使えます。
B ― 別枠で時間を取るしかない群
- 慶應・経済(引用つき意見英作文)/商B方式(論文テスト)/総合政策(小論文)
- 青山学院・経営(和訳・和文英訳・図表つき150〜200字論述)/国際政治経済(論述・総合問題)
- 中央・商(80語以上の自由英作文)/経済(和訳・和文英訳)
- 埼玉大学・経済(国語が全問記述、英語に自由英作文)
和訳、英訳、語数指定の英作文、字数指定の日本語論述、資料読解型の論文テストは、それぞれ別の技術です。「まとめて記述対策」はできません。 志望順位の高い1〜2学部に絞ってください。
C ― 制度の確認が先に来る群
立教の経済・経営は、大学独自の英語問題が出るのが文学部日程だけなので、英語資格スコアか共通テスト英語の確保そのものが英語対策になります。ここを勘違いしたまま秋まで来る生徒が毎年います。明治の経営学部は2026年度から学部別入試の2方式とも共通テスト併用型で、共通テストを受けないと出願できません。
GMARCH全体の英語の重なりはGMARCH併願の英語比較の記事に、東洋を含む日東駒専は日東駒専の英語の記事にまとめています。
5. 大学別のオリジナル予想問題をどう作っているか
英語の予想問題は大学別に自作しています。この系統だと慶應経済・早稲田商・青学・中央・法政T日程・東洋のぶんです。作り方は3段階あります。
第1段階は、形式を枠として固定することです。 上の実測値がそのまま設計図になります。慶應商なら90分・8大問・マーク46問+記述11問・総語数約5,200語。中央商なら80分・5大問・長文2題105点+80語以上の英作文15点。大問数、語数、設問形式、記述の字数、試験時間を本番と揃えないと、予想問題は演習の意味を持ちません。
第2段階は、テーマを選ぶことです。 別冊『私大グループ別 傾向分析と予想テーマ』を使います。20大学の入試英文の長文パッセージ約860本(2020〜2026年度)を分析し、大学ごとに「好む知のジャンル」を出したものです。
- 慶應…「現代人の生活を一歩引いて診断する」素材。経済でフードバンクの賛否、商でスマホと読解力の格差。
- 青山学院…「広く信じられている話の真偽を検証する」素材が多く、経営の消費者神経科学、経済の人口論・貧困統計が加わります。
- 中央…「制度と社会」「仕事とビジネス」「教養雑学」の三層。国際経営・商ではリーダーシップ論など実務系が出ます。
- 法政…日本社会を扱う英文が多く、空き家問題やオーバーツーリズムが定番。東洋は文化史が突出しています。
第3段階は、設問の癖まで寄せることです。 中央の商なら賛否二択型の英作文、青学の経営なら条件が細かく指定される日本語論述、学習院なら「7択から2つ選ぶ。3つ以上マークしたら0点」の内容一致。形式で落とす失点は、形式を知っていれば防げます。
予想は的中がゴールではありません。テーマを先に日本語で入れておく価値は、的中しなかった英文に対しても「知の隣町」から入れることにあります。知らない話題の1,000語と知っている話題の1,000語では、読む時間がまるで違うからです。
扱った大学と、扱えなかった大学
今回扱えたのは早稲田(政治経済・商)、慶應(経済・商・総合政策)、明治(政治経済・商・経営)、青山学院(経済・経営・国際政治経済)、立教、中央(経済Ⅰ・Ⅱ/商A・B/総合政策/国際経営)、法政、学習院、成蹊、東洋、埼玉大学の11大学です。扱えなかったのは東京電機大学で、読本の対象が理工系の学部のみだからです。
ここに書いていない数字は「確認できていない」という意味です。 出願前の確認は各大学の最新の入学者選抜要項で行ってください。大学別の傾向は大学別の一般選抜の傾向と対策まとめから、志望校と併願校の記事を続けて読んでみてください。
まず「自分の受ける方式」を紙1枚に
ここに並べた数字を全部覚える必要はありません。必要なのは、自分が受ける学部・方式について、数学が要るか/記述があるか/英語が何点か/試験時間は何分か、の4つを紙1枚に書き出すことです。それが決まれば、どの過去問を何年分回すかが決まります。
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EIMEI予備校について
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