総合型選抜の倍率の見方は?志願者・受験者・合格者と第一次選考【2027年度】

総合型選抜の「倍率」は、何を何で割ったかによって数字が大きく変わります。同じ入試でも、志願者数を募集人員で割るか、受験者数を合格者数で割るかで、2倍にも4倍近くにも見えることがあります。

たとえば埼玉大学経済学部の総合型選抜(2026年度入試の結果)は、募集人員15名・志願者33名・合格者9名でした。募集人員で割ると約2.2倍、合格者で割ると約3.7倍です。第一次選考がある入試では、一次と二次の倍率を分けて見ないと、どこが難しいのかが分かりません。

この記事では、大学が公式に発表している入試結果の表を3つ例にして、志願者・受験者・合格者・第一次選考合格者の読み方と、志望校選びへの使い方を説明します。

1. 基本情報:倍率の種類と計算のしかた

倍率の呼び方 計算のしかた・意味
志願倍率 志願者数 ÷ 募集人員。出願の段階でどれだけ集まったかを表す
受験倍率 受験者数 ÷ 募集人員。欠席者を除いた数で見る
合格倍率(実質倍率) 受験者数 ÷ 合格者数。実際に受けた人のうち何人に1人が合格したか
第一次選考の倍率 志願者数 ÷ 第一次選考合格者数。書類審査などの段階の厳しさ
第二次選考の倍率 第二次選考の受験者数(または第一次合格者数)÷ 最終合格者数。面接・小論文などの段階の厳しさ

大学によって表の見出しの名前が違い、「志願者数」を「出願者数」と書く大学もあります。表の上や下にある注記まで読むのが、数字を読み違えないための第一歩です。

2. 例1:募集人員より合格者が少ない(埼玉大学 総合型選抜)

埼玉大学は「令和8年度埼玉大学総合型選抜実施状況」として、学科ごとの募集人員・志願者数・受験者数・合格者数・入学者数を公表しています。

学部・学科 募集人員/志願者数/受験者数/合格者数
経済学部 経済学科 15名/33名/33名/9名
理学部 生体制御学科 6名/19名/19名/6名
工学部 情報工学科 5名/14名/14名/5名
合計 26名/66名/66名/20名

※2026年度入試(令和8年度)の結果。表の数字は大学の公表どおりで、倍率は記事で割り算した目安です。

経済学科は、志願倍率なら33÷15で約2.2倍ですが、合格倍率は33÷9で約3.7倍です。募集人員が15名でも、合格者は9名でした。総合型選抜では、基準に届く人がいなければ募集人員まで合格者を出さないことがあります。募集人員が多いから受かりやすい、とは限りません。

一方、生体制御学科と情報工学科は、合格者が募集人員と同じでした。同じ大学の総合型選抜でも、学科によって読み方が変わります。埼玉大学経済学部の選考内容は埼玉大学 経済学部 総合型選抜で詳しく書いています。

3. 例2:志願倍率と合格倍率がずれる(埼玉県立大学 学校推薦型選抜)

埼玉県立大学は「2026年度 埼玉県立大学入学者選抜試験結果一覧表」で、学科ごとに志願倍率・受験倍率・合格倍率を載せています。県内・県外の内訳と、男子の数(内書き)も分かる表です。

学科(学校推薦型選抜) 募集人員/志願者/受験者/合格者(倍率)
看護学科 65名/184名/184名/65名(志願倍率2.8・合格倍率2.8)
理学療法学科 20名/45名/45名/21名(志願倍率2.3・合格倍率2.1)

※2026年度入試の結果。倍率は大学の公表値。

理学療法学科は、合格者(21名)が募集人員(20名)より多かったため、志願倍率2.3倍に対して合格倍率は2.1倍と少し低くなっています。このように、大学が公表する倍率でも、割る数(募集人員か合格者か)が違えば数字が変わります。

出願状況の途中の数字に注意

埼玉県立大学は2027年度の学校推薦型選抜の出願状況も途中で公表しています。看護学科は11月4日12:00時点で出願者122名・志願倍率1.9倍、前年度の出願者数は184名でした。出願書類の受付は11月6日までだったので、この数字は締切前のものです。途中の数字だけを見て「今年は低倍率」と判断しないようにしましょう。この入試の内容は埼玉県立大学 保健医療福祉学部 学校推薦型選抜にまとめています。

4. 例3:第一次選考で大きく絞られる(慶應義塾大学 法学部FIT入試)

慶應義塾大学法学部のFIT入試は、第1次選考と第2次選考の2段階で行われます(2027年度は第1次選考の合格発表が9月15日、第2次選考がA方式9月19日・B方式9月20日でした)。大学は「2027年度法学部FIT入試 選考結果」として、学科・方式ごとの出願者数・第1次合格者数・最終合格者数を公表しています。下の表は、法律学科と政治学科の数字を方式ごとに足したものです。

方式(法律学科・政治学科の合計) 出願者数/第1次合格者数/最終合格者数
A方式 582名/163名/112名
B方式 340名/189名/96名

※2027年度入試の結果(2026年に実施済み)。数字は公表値を記事で合計したもので、倍率は目安です。大学の注記では、合格者数にA方式・B方式の両方に合格した人を含みます。

A方式は、第1次選考で582名から163名に絞られ(約3.6倍)、第1次合格者163名に対して最終合格者は112名(約1.5倍)です。出願者数÷最終合格者数では約5.2倍ですが、人数が大きく絞られるのは第1次選考の段階だと分かります。

B方式は、第1次選考が約1.8倍(340名→189名)、第1次合格者から最終合格者までが約2.0倍(189名→96名)で、第1次選考を通ったあとの第2次選考のほうが厳しい形です。同じ学部の総合型選抜でも、方式によって準備の重心が変わります。FIT入試の方式の違いは慶應義塾大学 法学部 FIT入試2027で説明しています。

5. 倍率の表を読むときのチェックリスト

  • □ 何年度の結果か(「2026年度入試の結果」なのか、今年度の出願状況なのか)を確認した
  • □ 倍率が「志願者÷募集人員」か「受験者÷合格者」かを確認した
  • □ 第一次選考がある場合、一次と二次の数字を分けて見た
  • □ 合格者が募集人員より少ない・多い学科がないか見た
  • □ 注記(併願での重複、男女の内書き、県内・県外の区分など)を読んだ
  • □ 1年分だけでなく、可能なら2〜3年分を並べて比べた
  • □ 途中経過の出願状況を、最終の数字と混同していない

6. 倍率を志望校選びにどう使うか

倍率は「どこで落ちやすいか」を知るために使う

第一次選考が書類審査で、その倍率が高い入試は、志望理由書や活動報告書などの書類の完成度が結果を大きく左右します。第二次選考の倍率が高い入試は、面接・小論文・プレゼンの練習量を増やす必要があります。倍率は受けるかどうかを決める数字というより、準備の配分を決める材料として使うのがおすすめです。

倍率が低くても油断しない

例1の埼玉大学経済学科のように、志願倍率が2倍程度でも合格者が募集人員より少ないことがあります。総合型選抜は他の受験生との比較だけでなく、大学の基準に届いているかで判定される面があります。

倍率が高くても、条件を満たす人が少ない方式もある

英語資格や評定などの出願条件が厳しい方式は、出願できる人がそもそも限られます。倍率と一緒に募集要項の出願資格も読むと、自分に合った方式が見つけやすくなります。

7. 高1・高2のうちにやっておくこと

  1. 志望校候補の入試結果ページを見つけておく:大学の入試情報のページに「入試結果」「実施状況」「選考結果」などの名前で載っています。
  2. 2〜3年分を表にまとめる:募集人員・志願者・合格者を並べ、増えているか減っているかを見る。
  3. 一次・二次のどちらが厳しいかを書き出す:書類と面接のどちらに時間をかけるかを決める。
  4. 高3の秋は出願状況の途中経過に振り回されない:最終の結果が出てから比べる。

8. よくある質問

Q. 倍率が1倍台なら、ほぼ合格できますか?

そうとは言えません。例1のように、総合型選抜では募集人員まで合格者を出さないことがあります。倍率が低くても、書類・面接・小論文の準備は必要です。

Q. 志願者数と受験者数はなぜ違うのですか?

出願したあとに欠席した人や、第一次選考で不合格になった人は受験者数に含まれないことがあるためです。数え方は大学ごとに違うので、表の注記で確認してください。今回の例の埼玉大学と埼玉県立大学は、志願者数と受験者数が同じでした。

Q. 合格者数に「両方式に合格した者を含む」とあるのはどういう意味ですか?

慶應義塾大学法学部のFIT入試のように複数の方式に同時に出願できる入試では、1人が2つの方式で合格すると、それぞれの方式の合格者数に1人ずつ数えられます。そのため、合格者数を全部足しても、実際に合格した人数より多くなることがあります。

Q. 倍率はどこで調べるのが正確ですか?

大学の公式サイトの入試結果のページや、大学が公開しているPDFが一番正確です。年度と数え方が大学の注記で確認できるからです。大学ごとの入試結果は日本大学の年内入試2027完全ガイドや明治大学の年内入試2027完全ガイドのような各大学のまとめ記事でも紹介しています。

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参考にした公式情報

入試の内容は変更されることがあります。出願前に必ず大学の公式発表を確認してください。

EMiL個別について

EMiL個別は、総合型選抜・学校推薦型選抜を専門にした1対1の個別指導塾です。EIMEI予備校の鶴瀬・ふじみ野・川越の校舎とオンラインで受講できます。志望理由書に書くことを見つけるところから、小論文・面接の練習、評定や英検の対策まで、一人ひとりの志望校に合わせて一緒に準備します。

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二神大輝