この記事は、学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政(GMARCH)で数学を使って受験する高校生と保護者の方に向けたものです。文系数学・理系数学の両方を扱います。同じGMARCHでも、解答形式も出る単元も大学ごとに大きく違います。以下の数字は、EIMEI予備校が大学ごとの入試対策読本を自作する過程で集めた過去問分析データの実測値です。
先にお断りを。大学によって分析対象の冊数や大問の数え方(独立大問か、小問集合内の1項目か)が違うため、大学をまたいだ数値の単純比較はできません。同じ大学の中で単元どうしを比べる、または同じ単元で大学ごとの「出る・出ない」を並べて見る、という使い方をしてください。
まず解答形式。同じGMARCHでも作りが違う
- 学習院:12冊すべてがマークシート不使用の全問記述式。コア・プラス制度があり、文学部プラスを選ぶと理学部コア問題(数Ⅲ込み150点)を解きます。
- 明治:文系4学部(商・情コミ・政経・経営)はマークと記述の併用で60分・100点。理系は理工・総合数理・農が別問題で、総合数理は120分・200点・4〜5大問のうち2題が完全記述(明治の文系データは原資料が簡潔な要約のため参考情報)。
- 青山学院:文系は全問マーク、理工は問題1・2がマークで残りが記述、社会情報はB方式が記述で数Ⅲなし、C方式が記述で数Ⅲあり。
- 立教:文系・理系とも記述中心。大問Ⅰ〜Ⅲが文理共通で、数学科だけ第Ⅳ問が上乗せされます。
- 中央:文系9方式・理系2方式が別問題。文系学部別選抜は記述、理工学部別選抜はⅠ・Ⅱマーク+Ⅲ・Ⅳ記述で3年不変、理系の共通テスト併用方式は全記述。
- 法政:文系はA方式が3大問の記述、T日程が6大問の全問マークという二重構造が3年不変。理系は9冊すべて全問マークで証明問題は0。
記述の大学では答案の書き方まで、マークの大学では計算の速さと正確さが優先です(数学の記述と部分点)。
文系数学:大学ごとの実測値
- 学習院(文系3学部):冊子単位の分析。場合の数・確率12冊中10、微分積分(Ⅱ)12冊中8、指数対数と数と式が各6/12、数列12冊中2、ベクトル4/12。整数・統計分野・複素数平面・式と曲線は12冊すべてゼロ。
- 明治(文系4学部・参考情報):場合の数・確率は商と情コミが各3/3、政経2/3、経営2/2。微分積分(Ⅱ)は商・情コミ・政経が3/3、経営2/2。ベクトルは政経3/3、情コミ2/3。データの分析は情コミ3/3(小問集合の代表値・分散)、政経0/3。政経は大問Ⅰマーク小問集合+大問Ⅱ微積記述の2大問構成で3年固定。
- 青山学院(文系・経済B・社会情報B):文系は全問マークで、大問Ⅳが3年連続で微分積分(Ⅱ)の3/3、「放物線の接線・法線と面積」というテーマまで3年一致。場合の数・確率2/3、ベクトル2/3、数列1/3。経済B方式は場合の数・確率と微分積分(Ⅱ)が各3/3、整数2/3、ベクトル2/3、統計的推測が2025年度から独立大問Ⅲとして新規登場し1/3。社会情報B方式は場合の数・確率とベクトルが各3/3です。
- 立教(文系):大問Ⅰが小問集合、Ⅱ・Ⅲが記述大問。微分積分(Ⅱ)は記述大問で8/8、場合の数・確率とベクトルが各大問Ⅰで6/8、数列3/8、整数2/8、複素数平面と統計的推測は0/8、データの分析1/8(2026年度に新登場)。数Ⅲはありません。
- 中央(文系):17冊・59大問。場合の数・確率が独立大問として11回で59大問中最多。微分積分(Ⅱ)は主題10+融合2で計12(17冊中)、数列8(17冊中)、ベクトル計5(17冊中)、整数1/17。統計的推測は文理あわせた全22冊でゼロ、データの分析1/17、期待値が2026年度に新規登場。
- 法政(文系):45大問。微分積分(Ⅱ)が13(29%)で単元別最頻出、場合の数・確率7(16%)、「数と式・整数・複素数」の合算9(20%)、数列5(11%)、ベクトル3(7%)、統計分野は0/45。
文系で数学を使う設計は文系数学で受けるで扱っています。
理系数学:数学Ⅲの比重が大学ごとに違う
- 学習院(理学部):極限・微分積分(Ⅲ)は理学部4冊すべて(4/4)で必出。文系3学部は数Ⅲを課さず対象外。理学部4冊を含む12冊すべてで複素数平面・式と曲線・整数・統計分野はゼロです。
- 明治(理系):理工は極限・微分積分(Ⅲ)3/3で数Ⅲ比重が2024年度の約4割から2026年度に約5割へ上昇、整数2/3、場合の数・確率とベクトルが各3/3、複素数平面は3年で2回。総合数理は極限・微分積分(Ⅲ)3/3かつ毎年2題以上で数Ⅲ依存は理工学部より高いとされ、複素数・整数・数列・ベクトルが各3/3、式と曲線2/3。農学部は数Ⅲが範囲外で比重0%、極限・微分積分(Ⅲ)も0/3で、2026年度に信頼区間(正規分布表添付)。
- 青山学院(理工・社会情報C):理工は6冊で極限・微分積分(Ⅲ)が6/6、「後ろの大問ほど数Ⅲ」。場合の数・確率と三角関数が各5/6、ベクトル4/6、複素数平面と式と曲線が各1/6。マーク式の問題1・2にも数Ⅲが混入する年がある点は要注意。社会情報C方式は極限・微分積分(Ⅲ)とベクトルが各3/3、場合の数・確率3/3(毎年問題1に固定)、式と曲線1/3。
- 立教(理系):場合の数・確率は大問Ⅰで6/6の毎回必出、極限・微分積分(Ⅲ)は記述大問で6日程すべて。数列は大問Ⅰで4/6、ベクトルは記述の空間ベクトルで3/6。複素数平面は大問Ⅰで3/6、数学科だけの第Ⅳ問では6回中3回で最頻出テーマ。整数は大問Ⅰで2/6・第Ⅳ問で6回中2回(証明つき)、統計的推測とデータの分析が各2/6。
- 中央(理系):5冊・20大問。極限・微分積分(Ⅲ)が11/20(55%)で全5冊に2題以上、数列4/20(20%)、場合の数・確率3/20(15%)、整数と複素数平面が各2/5。ベクトルと式と曲線は0/5の3年間ゼロ、微分積分(Ⅱ)は1/20(5%)。
- 法政(理系):9冊・63大問で全問マーク。極限・微分積分(Ⅲ)が18(29%)、9冊すべてで大問Ⅵ・Ⅶが固定枠。微分積分(Ⅱ)11(17%)、場合の数・確率8(13%、9冊すべてに出題)、ベクトル7(11%)、数列6(10%)。複素数平面は0/9冊で3年間ゼロ、式と曲線は媒介変数表示のみ4/9。統計分野0/63。
理科との並行は理系の数学・理科で扱っています。
単元別に「出る・出ない」を並べる
- 場合の数・確率:どの大学のデータでも高頻度で、出題ゼロと記録された大学がありません。学習院で未出だったのは2024年度の法学部コアと理学部プラスの2冊のみです。
- 微分積分(Ⅱ)と数学Ⅲの極限・微分積分:前者は文系型の主役ですが中央理系では20大問中1(5%)で、理系は数Ⅲ側に重心が移ります。後者は数Ⅲが範囲の学部ではほぼ必出で最重量、明治農学部だけは範囲外で0/3です。
- 数列:明治総合数理・農が各3/3の一方、学習院は12冊中2、青山学院文系1/3。
- ベクトル:中央は文系で頻出、理系は0/5の3年間ゼロという真逆の分布。学習院も4/12と低めです。
- 複素数平面・式と曲線:明暗が最も分かれます。立教理系・明治総合数理では主要テーマ、法政理系0/9、学習院は12冊すべてゼロ。
- 整数の性質:明治総合数理3/3・青山学院経済B方式2/3の一方、中央文系1/17、学習院はゼロ。
- データの分析・統計的推測:出ているのは青山学院経済B方式・立教・明治農・中央。実績がないのは法政(0/45・0/63)、学習院(12冊すべてゼロ)、明治政経・理工です。
- 図形と計量・三角関数など:三角関数は中央文系59大問中1・法政理系63大問中5と小問集合止まりですが、青山学院理工は5/6。2次関数は中央文系59大問中0。
単元の位置づけは数学の頻出単元でも整理しています。
「定位置」がある大学は的を絞れる
毎年同じ大問に同じ単元が来る例です。
- 中央・商学部(会計・経営とも):大問Ⅳが場合の数・確率で3年とも固定、4冊中4冊。5学部共通選抜は大問Ⅰが図形と計量、大問Ⅳが微分積分(Ⅱ)で3年とも固定。
- 青山学院・文系:大問Ⅳが微分積分(Ⅱ)で3/3、テーマまで3年一致。社会情報C方式は問題1が場合の数・確率で3/3。
- 明治・政治経済:大問Ⅰマーク小問集合+大問Ⅱ微積記述の2大問構成で3年固定。理工は大問Ⅲが3年とも微積(参考情報)。
- 法政・理系:9冊すべてで大問Ⅵ・Ⅶが数Ⅲ微積の固定枠。立教・理系は大問Ⅰに場合の数・確率が6/6、記述大問に数Ⅲ微積が全日程。
過去問を解いたら、単元名と一緒に大問番号も記録を。
証明問題が出る大学・方式
- 学習院:12冊すべて全問記述式。
- 中央:理系の共通テスト併用方式は全記述で「ほぼ全題に複数の示せ・証明せよ」。文系の学部別選抜も記述で、2025年度文学部別選抜ではデータの分析が証明つき。理工学部別選抜は大問Ⅲ・Ⅳが記述。
- 立教:文系・理系とも記述中心で、数学科の第Ⅳ問は6回のうち4回が証明問題(複素数平面3回・整数2回・数列や極限2回、重複含む)。数学科以外が解く版にこの第Ⅳ問はありません。
- 明治:総合数理は4〜5大問のうち2題が完全記述。文系4学部はマーク+記述で、政経は大問Ⅱが微積の記述(参考情報)。
- 青山学院:理工は問題1・2以外が記述、社会情報B方式・C方式も記述。
- 法政・文系A方式:3大問が記述。
逆に法政理系(63大問中0)・T日程、青山学院の文系は全問マークで、証明・論証を要する設問は出題されません。
この大学を受けるなら、ここを先にやる
- 学習院:全問記述なので答案の書き方から。場合の数・確率と微分積分(Ⅱ)、指数対数・数と式。整数・複素数平面・式と曲線・統計分野はゼロなので優先度を下げられます。
- 明治:文系は場合の数・確率と微分積分(Ⅱ)が4学部共通の軸で、政治経済志望は大問Ⅱの微積記述とベクトル。理系は理工・総合数理が数Ⅲ微積中心、農学部志望は数Ⅲを外して数列・ベクトルと統計分野へ。
- 青山学院:文系は大問Ⅳの「放物線の接線・法線と面積」を型として仕上げるのが最短。経済B方式志望は整数と大問Ⅲの統計的推測を足し、理工・社会情報C方式は数Ⅲ微積(6/6)を最優先に。
- 立教:文系は記述大問で8/8の微分積分(Ⅱ)が最優先、次に小問集合の場合の数・確率とベクトル。理系は場合の数・確率と数Ⅲ微積が両輪で、数学科志望は第Ⅳ問用に複素数平面と整数の証明を別枠で。
- 中央:文系は場合の数・確率から入り、方式に応じて大問Ⅰの図形と計量・大問Ⅳの微分積分(Ⅱ)を型で固めます。理系は数Ⅲ微積が中心で、ベクトルと式と曲線は優先度を下げられます。
- 法政:文系は微分積分(Ⅱ)から。A方式(記述3大問)とT日程(マーク6大問)で必要な力が違うので、方式を決めてから練習の形を選びます。理系は数Ⅲ微積の計算を速く正確に。
複数のGMARCHを併願するとき
共通してやれることは、場合の数・確率、微分積分(Ⅱ)、数Ⅲの極限・微分積分(数Ⅲを課す学部の場合)の3つ。分けるべきことは次の4つです。
- 解答形式。全問記述(学習院など)と全問マーク(法政理系・T日程、青山学院文系)では練習の形が違います。
- 複素数平面と式と曲線。立教理系・明治総合数理では主要テーマ、法政理系・学習院ではゼロ。組み合わせ次第で必要な時間が変わります。
- 整数の性質。明治総合数理3/3や青山学院経済B方式2/3の一方で、学習院は12冊すべてゼロ。
- 統計的推測・データの分析。青山学院経済B方式・立教・明治農には実績があり、法政・学習院ではゼロ。
ベクトルは中央が文系で頻出・理系でゼロなので、中央の文系と理系を両方考える人は、同じ大学でも別の計画になります。
2027年度からの範囲の変更
- 明治・政治経済学部:2027年度から範囲が追加され、原資料は「過去問に前例のない完全新規分野」と明記しています(参考情報)。
- 明治・総合数理学部:統計的推測が2027年度から必須化予定とされています。
「今ゼロだから今後も出ない」とは限らない分野です。志望校の最新の入試要項を必ず自分で確認してください。分析データは過去の出題実績で、これから変わる部分は要項側でしか確認できません。
残り数か月の進め方
- 大学・学部・方式を書き出す。方式ごとに別問題の大学が多く、大学名だけでは準備が決まりません。
- 解答形式を確認する。演習で答えだけ合わせるのか、過程まで書くのかがここで決まります。
- 共通の3単元を先に仕上げる。場合の数・確率、微分積分(Ⅱ)、数Ⅲの極限・微分積分。そのうえで、分かれる単元を受ける大学の分だけ足します(受けない大学の分は足さない、という引き算も同時に)。
- 定位置がある方式は、その大問を型として詰める。青山学院文系の大問Ⅳ、法政理系のⅥ・Ⅶなど。
- 記述の大学を受けるなら証明を週1回は書く。微分積分の増減表を使った証明、数列の数学的帰納法、整数の論証など。
- 最後は自分の手で直近数年分の過去問を解く。この記事の数字は出発点で、当てはまるかは解いて確かめます。
進め方に不安がある場合は数学の勉強法から先にご覧ください。勉強が思うように進まない状態が続くときは、学校の先生や保護者の方、専門の窓口に相談してみてください。
あわせて読みたい
EIMEI予備校について
EIMEI予備校は川越・ふじみ野・鶴瀬の3校舎で、大学受験の1対1個別指導をしています。中高一貫校の中学生から、高校生・既卒生までが対象です。大学ごとに入試対策読本を自作していて、志望校が決まっている人には、その大学の出題に合わせて何をどの順番で進めるかを一緒に決めていきます。
- 川越校舎(2026年6月開校)川越駅から徒歩5分、本川越駅から徒歩8分。自習室は朝7時から使えます。
- ふじみ野校舎 ふじみ野駅東口から徒歩1分。
- 鶴瀬校舎 鶴瀬駅西口から徒歩3分。
川越校舎の詳細・無料体験のお申し込みはこちら/ふじみ野・鶴瀬校舎のことは公式LINEからお問い合わせください。
