合格最低点の罠 

大学受験の指導をしていると、毎年のように
「パスナビに載ってた合格最低点は〇〇点だった!」
「赤本に書いてあるラインまでは取れてるから安心!」
そんな会話をよく耳にします。

でも―
実はその“合格最低点”、素点(実際の得点)ではないことを知っていますか?


素点とは?

まず「素点」というのは、試験で実際に取った点数そのもののことです。
たとえば100点満点中80点取ったら、その80点が素点です。


得点調整とは?

実際の大学入試では、この「素点」をそのまま使うことはほとんどありません。
大学側で「得点調整」という作業を行い、その調整後の点数を合否判定に使っています。

この調整の目的は、
科目ごとの難易度差を考慮し、公平に評価すること。

たとえば、ある年の日本史が他の選択科目に比べ極端に難しく、平均点が低かったとします。
そのままでは「運悪く難しい科目に当たった受験生」が不利になります。
それを防ぐために、大学は様々な方式で点数を調整しているのです。


得点調整の主な種類

ここで、代表的な3つの調整方式を紹介します!

① 偏差値換算方式

受験生全体の得点分布をもとに、各科目の点数を偏差値に換算し、総合得点を算出する方法。
科目ごとの平均点や難易度差を最も公平に補正できるのが特徴です。
特に私立大学や共通テスト利用入試でよく使われます。

② 中央値採点方式

その年の得点の「中央値」を基準に上下を圧縮する方法。
極端に高い・低い点数の影響を減らし、全体のバランスを取ります。
偏差値方式ほど精密ではありませんが、採点作業がシンプルです。

③ 標準化得点方式

平均点と標準偏差をもとにして、「平均=50」となるよう点数を補正する方式。
私立大学や共通テストの一部科目(特に理科・地歴公民など)で使われています。
難易度の違う年度でも、ある程度公平に比較できるようになります。


過去問では何点を目指すべき?

では、受験生が過去問を解くとき、
「素点で何点取れれば合格ラインなのか?」

これは大学によって差がありますが、
基本的な目安は――

素点で75%を目指すこと。

もちろん年度や科目によって前後はありますが、
調整後の合格最低点を上回るには、
素点ベースで7.5割程度を安定して取れる実力が必要です。


最後に

数字だけを追うのではなく、
その「数字の意味」を理解することが大事です。

合格最低点に一喜一憂するのではなく、

素点ベースで安定して取れる力を磨いていこう。

周りの声や情報に流されず、今日も一歩ずつ、合格へ近づこう。

この記事を書いた人

なおき